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No.154 電蓄からデジタルオーディオまで 第56回

2003年にサービス事業を検討する企画会社「エニーミュージック企画」設立
2002年頃からアップルの音楽配信サービスに対抗して、国内でもインターネットからオーディオ機器に直接音楽を配信するサービスを目指した動きが出てきた。そして、2003年にサービスの事業を検討するための企画会社「エニーミュージック企画」を設立することでケンウッド、パイオニア、シャープ、ソニーの4社が合意した。
提供するサービス「any music」は、ブロードバンド・ネットワークにつながったホームオーディオ機器に直接、音楽を配信したり、その他の関連サービスを提供したりするための総合ネットワークサービスだった。「エニーミュージック企画」は、東京都港区港南2丁目15番3号 品川インターシティに本社を置き、2003年2月1日、資本金1億円で設立4社が25%ずつ均等に出資し、代表取締役社長にはソニーの野口不二夫氏が就任した。

著作権管理・配信技術「Open MG X」を採用
この頃は、パソコンを利用した無制限な音楽ファイル交換などの影響で音楽業界は大きな被害を受けていた。この問題を解消するために著作権管理・配信技術「Open MG X」を採用し、ネットワークにつながった「any music」対応のホームオーディオ機器に直接配信することで、デジタル音楽コンテンツを著作権保護した形でユーザーに提供するのが狙いだった。
一方、ユーザーも家庭内で「any music」対応のホームオーディオ機器により簡単な操作で直接、楽曲を試聴・購入し音楽を楽しむことができた。また、ダウンロードされた楽曲をホームオーディオ機器で楽しむだけでなく、「Net MD」対応機器やメモリースティック対応機器などの「Open MG」対応ポータブル機器に転送して楽しむこともできた。

ラジオ局やコンテンツホルダーの各レーベル、各業界と連携
そして「エニーミュージック企画」では、ラジオ局やコンテンツホルダーの各レーベル、各業界と連携しながら、新しいミュージックライフスタイルの提供を目指していた。設立4社以外に、このサービス提供に賛同していたのは、オーディオ機器メーカーのオンキヨー、デノン、日本ビクター、ヤマハと、半導体メーカーのNECエレクトロニクス、日立製作所半導体グループ、富士通、三菱電機だった。そして、「エニーミュージック企画」では、「any musicサービス検討会」を設けてレーベル各社も参加し、サービス内容を共同で検討していった。
さらに、企画会社での検討後、事業会社を設立し2003年秋に「any music」サービスの開始を予定していた。その一方でソニーやケンウッド、パイオニア、シャープ4社は、これに賛同するオーディオ機器メーカーと共に「any music」対応機器の仕様をまとめ、サービス開始と同時期に製品の発売を目指した。また、まだ協賛していない企業にも賛同を呼びかけ、カーオーディオなど車載機器への対応も検討することとなった。
「エニーミュージック企画」設立について、当時のケンウッドの河原春郎代表取締役社長兼CEOは、「誰もがいつでもどこでもネットで音楽を楽しむことができる本プロジェクトの理念に共感し既に数年前からネットワークオーディオの商品化を進めるなどしており、ソフトハード両面から積極的に参画して発展に貢献したい」と賛同の理由を述べている。また、新島昭パイオニア専務取締役は、「パイオニアは、グループ理念である"より多くの人と、感動を"のもと、"sound Vision soul"のブランドスローガンを掲げておりany musicにより業界全体の活性化を目指したい」と述べている。濱野稔重シャープ代表取締役専務は、「1ビットデジタルアンプ等のデジタル技術の応用に取り組んでおり、1ビットやネットワーク等デジタル技術を結集したユビキタスネットワーク時代の新しいオーディオ商品の開発を目指していく」と企画会社への期待を述べている。

2004年2月に音楽配信事業会社「エニーミュージック株式会社」を設立
予定からやや遅れたが2004年2月に企画会社から発展し、音楽配信事業会社である「エニーミュージック株式会社」を設立した。エニーミュージック株式会社は「エニーミュージック企画」に出資したケンウッド、シャープ、ソニー、パイオニアの4社に加え、オンキヨー、ディーアンドエムホールディングス、日本ビクター、ヤマハの計8社で構成されていた。

出資会社 出資比率
ケンウッド 15.90%
シャープ 15.90%
ソニー 15.90%
パイオニア 15.90%
オンキヨー 9.10%
ディーアンドエムホールディングス 9.10%
日本ビクター 9.10%
ヤマハ 9.10%
「エニーミュージック」への出資会社及び出資比率(資本金6億円)

音楽配信の事業会社が2004年5月20日よりサービス開始
エニーミュージック株式会社は、エニーミュージック対応オーディオ機器への音楽の直接配信をはじめとした、ブロードバンド・ネットワークにおける総合音楽サービスプラットフォーム「Any Music」を2004年5月から開始した。そして、国内主要レーベル各社が共同出資している音楽配信事業会社である「レーベルゲート」のサービス「Mora(モーラ)」と、システム連携及び音楽配信サービスで業務提携を行った。配信できる楽曲は国内主要レーベルが当初約3万8千曲を準備しており、楽曲価格はシングル158円から、アルバムは1050円から提供された。また音楽の直接配信以外にも、FM放送事業者やCD物販事業者とも業務提携を行った。FM放送事業者と業務提携したことにより、全国的にFMオンエア中の楽曲情報閲覧が可能になった。さらにCDのオンライン購入や楽曲のダウンロード購入も可能となった。CDのオンライン購入に関しては、HMVジャパンと業務提携を行いスタートしている。


参考資料:JAS journal(日本オーディオ協会編)、ソニーHP、ソニー歴史資料館、BCN RETAIL、JEITA・HPほか


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