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No.157 電蓄からデジタルオーディオまで 第59回

オーディオフェアから見たオーディオ市場の変遷
2000年代は、オーディオ市場の復活にかけて様々なチャレンジが続いた。1990年代にピークを迎えたオーディオ市場は様々な要因が重なり縮小傾向にあった。インターネットによる音楽配信との関わり、少子化、ライフスタイルの多様化など、これまでのオーディオ市場では経験のない様々な課題が登場してきた。業界団体である日本オーディオ協会が毎年開催しているイベント「OTOTEN」の歴史を振り返っても、オーディオ市場復活にかけての様々な努力の跡が見える。

毎年大勢のオーディオマニアが訪れ盛況だったオーディオフェア
「OTOTEN」の主催者である一般社団法人日本オーディオ協会が創立されたのは、その前身である日本オーディオ学界(中島健蔵会長)が1952年10月にソニーの創業者である井深大氏の尽力で創立されたことに始まる。そして創立間もない12月4日には東京・有楽町の都立電気研究所で第1回「全日本オーディオフェア」を開催し、NHKの協力のもとで第1、第2放送の2波を用いたステレオ再生実験を行った。これ以降、毎年開催され1990年まで39回続いた。1991年の第40回から展示会の名称を「オーディオフェア」に改め、1997年の第46回まで毎年開催された。会場は、東京都立電気研究所に始まり科学技術館、TOCビル、東京国際見本市会場、サンシャインシティ、東京国際展示場の順に変わっているが、オーディオがブームになっていた頃は、晴海・東京国際見本市会場の広大な会場がオーディオマニアで埋まるほど盛況だった。

1990年代後半になるとオーディオブームも下火になり始める
しかし、1990年代後半になるとオーディオブームも下火になり始め、1998年から「オーディオエキスポ」に改称し開催したものの、来場者や出展者の減少が続き、2001年に東京ビッグサイトで開催された「オーディオエキスポ」(通算50回)を最後に途切れた。だが、一旦休止したものの、2003年から「A&Vフェスタ」に改称し、パシフィコ横浜を会場に再開された。2003年は入場料が一般1.000円であったが、翌年からは無料として来場者をより多くするようにしている。この「A&Vフェスタ」は、2009年まで続いた。

「A&Vフェスタ」から「オーディオ&ホームシアター展(音展)」へ
実は2009年の「A&Vフェスタ」は2月21日~23日かけてパシフィコ横浜で開催されたが、これとは別に同年の11月13日~15日に秋葉原で「オーディオ&ホームシアター展in Akiba2009」も開催された。これが「オーディオ&ホームシアター展(音展)」のスタートで、以後「A&Vフェスタ」に取って代わることになる。さらに2017年からは、「OTOTEN」となり、「OTOTEN・AUDIO・VISUAL-EXHIBITION 2017」とのタイトルで「音と映像」のAV総合展となった。2018年には「OTOTEN・AUDIO-VISUAL-FESTIVAL 2018」として開催された。これが第1回「全日本オーディオフェア」(1952年)から現在の「OTOTEN」(2018年)までの歴史である。

その時代時代のオーディオ界の課題やテーマを反映
初回の「全日本オーディオフェア」から今日の「OTOTEN」までの変遷を見ると、その時代時代のオーディオ界の課題やテーマが見えて来る。1952年に開催された第1回「全日本オーディオフェア」から数年間は、LPレコードが普及し始めた時代でハイ・フィデリティーの探求が課題だった。さらに、ラジオ放送もステレオ化への努力がなされた。多くの音楽愛好家はLPレコードの再生機器を"オーディオ"と呼ぶより"ステレオ"と呼ぶのが一般的な時代であった。

1960年代に入ると地方都市でも開催されるようになる
1960年代に入ると、東京での開催だけでなく地方都市でも開催されるようになる、1965年には「第1回北海道オーディオフェア」が札幌市で開催された。そして1966年には「第2回北海道オーディオフェア」に加え、「第1回九州オーディオフェア」が開催された。
東京の科学技術館で1996年開催の第15回「全日本オーディオフェア」にはオーディオ機器メーカーだけでなく大手家電メーカーもステレオセットを出品するなど47社が出展した。さらに、1968年には大阪で第1回「関西オーディオフェア」が朝日新聞ビルで開催され28社が出展した。この頃はステレオコンポーネントの出展が増えて来た時代で、出展各社はデモンストレーションを通じて音質の良さをアピールした。

本格的なオーディオブームが到来した1970年代
1970年代入ると本格的なオーディオブームが到来した。1970年には東京、大阪、札幌に加えて名古屋で「東海オーディオフェア」が開催された。1971年には「第4回九州オーディオフェア」、「第7回北海道オーディオフェア」、第20回「全日本オーディオフェア」が東京・五反田のTOCで開催された。第20回「全日本オーディオフェア」では、参加企業も増え62社が出展、4チャンネルステレオに関心が集まった。また、1972年の第21回「全日本オーディオフェア」はオーディオファンが10数万人も訪れ、オーディオブームとなる。さらに、1973年の第22回「全日本オーディオフェア」には、サラリーマンや学生だけでなく小学生や子供連れ、女性の姿も多くオーディオの大衆化時代に突入、オーディオブームは一段とヒートアップする。

1975年開催第24回「全日本オーディオフェア」は入場者数20万人突破
さらに、1975年開催の第24回「全日本オーディオフェア」には、68社が参加、入場者も20万人を突破、会場の五反田TOCでは、対応できないほど手狭になる。会場では4チャンネルステレオ、ノイズリダクション、バイノーラルシステムのデモが行われ盛況だった。これを受けてオーディオ協会では1976年から「国際化に対応し、大規模会場で年1回、秋期に開催する」ことを決めた。

そして1976年開催の第25回「全日本オーディオフェア」は、東京・晴海の東京国際貿易センターで10月21日~27日に開催した。参加79社へと拡大、この年から入場有料化となった。出展内容もPCM録音実験、各種ノイズリダクション、エルカセットの展示などが行われた。

名称
1952年~1991年 全日本オーディオフェア
1991年~1997年 オーディオフェア
1998年~2001年 オーディオエキスポ
2003年~2009年 A&Vフェスタ
2009年~2016年 オーディオ&ホームシアター展
2017年~ OTOTEN
全日本オーディオフェアの変遷


参考資料:JAS journal(日本オーディオ協会編)、ソニーHP、ソニー歴史資料館、BCN RETAIL、JEITA・HPほか


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