無線機大手2社、アイコムと日本無線 海外販売で協業
プライベートLTE/5Gを使ったトランシーバーシステムを両社で構築 警察・消防などへの導入狙う

アイコム株式会社(本社:大阪市平野区、代表取締役社長:中岡洋詞、東証プライム、以下アイコム)と日本無線株式会社(本社:東京都中野区、代表取締役社長:小洗健、以下JRC)は、プライベートLTEを活用したトランシーバーシステムの海外販売で協業します。IPトランシーバーに強いアイコムとプライベートLTEシステムの構築を強みとするJRCの両社の強みを生かし、閉域網での通話システムを構築します。販売はアイコムの海外子会社3社(北米、欧州、豪州)を通じて行います。


プライベートLTEの海外市場において日本の無線機大手2社が協業し、事業活動を推進するのは、業界初(両社調べ)の取り組みとなります。各国の警察・消防など社会の安全を守るパブリックセーフティー分野、鉱山、電力、鉄道などの産業分野では、高速、セキュアな専用ネットワークを構築するため、次世代通信規格のLTE、5Gへの移行が進展しています。さらに高い通信性能を持つ5Gは、自動車、ヘルスケア、スマートシティなど、幅広い分野への新しいサービスやアプリケーションの活用が期待されています。


映像伝送、先進コンピューターテクノロジー(AI、VR、IoT)などDX化が進む現在、LTE/5Gの高速無線通信の需要の高まりに合わせ、アイコムのユーザーデバイス、通話アプリケーション技術、JRCの基地局とネットワーク技術のそれぞれの強みを統合することで、端末からインフラ、アプリケーション、サービスまでをセットにした、トータルソリューションを提供できるようになります。このような両社の強みとグローバル販売チャネルを組み合わせて、世界のパブリックセーフティー分野、産業分野でお客様が抱えるさまざまな課題を解決し、多様なニーズに対して柔軟に対応するソリューションを提供します。


今後、アイコムとJRCは、それぞれの技術を高めながら、多様な顧客ニーズに柔軟に対応することができるユニークかつ高信頼性のプライベート無線ネットワークを提供していきます。共にさらなる成長を目指し、世界の市場をリードしていきます。


アメリカ・フロリダ州で3月25日〜28日(現地時間)に開催されるIWCE(International Wireless Communications Expo)のIcom AmericaブースとJRCブースにおいて、今回提供するソリューションのデモ展示も行います。

プライベートLTEについて

プライベートLTEは、携帯電話などで用いられているLTE無線通信規格を使い、公衆網とは独立した専用の無線ネットワークシステムです。高い通信性能と安全、確実な通信を実現します。例えば、警察・消防などの公共安全分野、工場や建設現場、山間部や海上などの公衆網の電波が届かない環境での通信に用いられます。

IPトランシーバーについて

IPトランシーバーは、ボタンをひとつ押すだけのシンプルな操作で、複数の相手と同時に連絡ができる従来のトランシーバー通信と同様の機能を、LTE回線(LTE公衆網、プライベートLTE)を使って広いエリアで実現できる通信端末です。

今回協力するシステムについて

アイコムのIPトランシーバー端末IP503H LITEと、JRCのプライベートLTEシステムTactical LTE Box JRL-174などで構成するものです。アイコムは、2018年からLTEキャリア回線(公衆網)を活用したIPトランシーバーを製造しています。JRCのプライベートLTEシステムと組み合わせることで、プライベートLTEトランシーバーシステムの提供が可能となりました。また、販路としては、海外8箇所(アメリカ、ドイツ、スペイン、オーストラリア、カナダ、ブラジル、中国、ベトナム)に販売拠点をもち、売り上げの7割を海外市場で上げているアイコムの販売網を活用します。海外へのプライベートLTEシステムの販売をさらに強化することになります。

各社の役割

アイコム株式会社
・プライベートLTEシステム用端末(トランシーバー):IP503H LITEの供給
・当社海外子会社ならびに販売代理店での販売活動

日本無線株式会社(JRC)
・プライベートLTEシステムの供給

両社マネジメントのメッセージ

日本無線株式会社(JRC)の5Gプロジェクト室 室長・佐藤克彦は「弊社のプライベートLTE可搬型基地局は、世界の安心・安全分野のお客様から高い評価を得てきました。アイコム様のプライベートLTEトランシーバー端末との組み合わせにより、競争力を高めるとともに、お客様のニーズにさらに応える、より価値の高い製品とサービスを提供できようになります。世界のプライベートLTEだけでなくローカル5G分野でも大きく事業機会を広げ、新しい市場を創出していきます」と述べています。


また、アイコム株式会社の海外営業部長・寺崎真也も、以下のように期待を込めます。寺崎「プライベート無線分野でのJRC様との協業はさらにビジネスチャンスを広げるものになるだろうと考えています。長年積み重ねてきたトランシーバーの操作性や堅牢性についての知見が、今回の機種にも生かされています。レガシーな通信ツールですが、ボタンを押すだけで即時に多人数に連絡できるというトランシーバーの優位性は、プライベートLTEを必要とするマーケットでも必ず発揮されるものと考えています。また、当社は5G関連の商材も製造しており、将来的にはこの分野での協力も検討しています」。

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