D-STARはアマチュア無線のデータ系通信、音声系通信をデジタル化して通信するためのマルチメディア通信システムです。

D-STARはJARLが開発したデータ系通信と音声系通信を組み合わせて、それぞれのレピータサイトを幹線系通信で接続できる統合的なデジタル通信システムです。

このシステムはオープンシステムで誰でも通信に参加することができます。また、アマチュア無線の特徴から秘話通信は使用できません。

アマチュア無線のデジタルシステムの条件

D-STARはアマチュア無線にマッチした次のようなコンセプトで作られています。

端末がシステムに厳しく拘束されないこと。
これは携帯電話のように使用時に即そのシステムに登録しないと使用できないようなものではアマチュア無線にふさわしくなく、基本的な通信に必要な部分以外は周波数など自由に選択できる条件を残しています。

インターネットと整合性があること。
インターネットが国際的に多く使われている現在では、アマチュア無線も整合性があることが便利で、使用するアプリケーションのソースも多く、データ系通信のプロトコルはインターネットと同じTCP/IPを使用します。

一般のアマチュア無線家でも制作可能なこと。
アマチュア無線のシステムのため、メーカーの特殊な技術者だけで製作可能なシステムではアマチュア無線としてふさわしくなく、ある程度の技術のあるアマチュア無線家が製作可能なことが必要です。

単独の1システムでも動作し、インフラの整備で順次増設可能なこと。
携帯電話のようにインフラの整備が完全に整わないと動作できないようなシステムはアマチュア無線になじまず、最初はデータ系通信用のレピータ一つでも運用でき、その後増設できるようなシステムが必要です。

アナログ系等の従来のシステムとも通信の可能性があること。
新しいデジタル通信システムだけしか通信できないのではなく、従来のシステムとも適当なインターフェースをつけると通信できることが必要で、原理的にそのように動作することが確認されています。

D-STARシステムは128Kbpsのハイスピードデータ通信と4.8Kbpsのデジタル音声通信が利用でき、データ系通信、音声系通信それぞれのレピータを経由した通信と相手方と直接の通信もできます。

データ系通信は送信と受信を交互に行うシンプレックスで、音声系通信は従来のアナログFMと同様なセミデュプレックスで中継します。

データ系や音声系のレピータを設置している場所をレピータサイトと呼ぶことにします。D-STARでは、それぞれのレピータサイトを接続する広帯域の幹線系通信があり、データ系通信と音声系通信の信号を多重化して送ることができます。このため、従来より異なった広域の相手方とデジタル通信をすることができます。