デジタルデータ系通信は一つのデジタルデータレピータを通して相手方とデータ通信することができます。既に述べたように、データ系通信はインターネットと同じTCP/IPのプロトコルを使って通信します。

実際には無線通信機ID-1の10 Base-Tの端子にパソコンを接続し、パソコンが持っているTCP/IPのプロトコルで通信します。従ってインターネットで扱うことのできる画像やテキスト、音声等すべてが通信可能です。

もちろんレピータを通さずに直接相手方と通信することもできます。

ローカルレピーター経由のデータ通信

デジタル音声系通信はデータ系通信と同様に一つのデジタル音声レピータを通して相手方と通信することができます。

音声系通信はデータ系通信と異なり、リアルタイム性が必要です。データ系通信では多少応答に時間遅れが生じても通信に大きな影響はありませんが、音声系通信では、こちらからの呼びかけに対して長い時間遅れがあったり、またはその遅れが不規則であったりすると快適な音声系通信ができません。このため、D-STARではデータ系通信と音声系通信を別の系統に分けて通信するようにしています。

インターネットを経由した音声系通信は、伝送速度が4.8Kbpsと狭帯域のため通信可能になっています。また、データ系通信によるVoIPの音声系通信は、使うこと自体は許容されますが、アマチュア無線では回線容量の関係でVoIP音声系通信はあまり快適ではないかも知れません。

音声系通信もレピータを通さず直接相手方と通信することができます。

ローカールレピーター経由のデジタル音声通信

データ系通信や音声系通信のレピータの集まっている所をレピータサイトと呼んでいますが、このレピータサイト間を接続するのが幹線系通信でアシスト局と言います。

D-STARではこの幹線系通信に10GHz帯の周波数で伝送速度10Mbpsの通信を行っています。10Mbpsの伝送速度はデータ系通信および音声系通信の使用頻度の概算と、市販のイーサネット10 Base-Tの機器や部品が入手容易なことなどによって決定されました。

使用周波数は、伝送速度10Mbpsの信号を送信可能な帯域を持つ周波数帯になります。現状では10GHz帯と5.6GHz帯でその条件を満たすことができます。10GHzを超える周波数帯ではこれより広帯域のバンドが多いのですが、このような高い周波数帯になると通信距離が短くなり幹線系通信としての中継が困難になります。

レピータサイトを結ぶ幹線系通信

レピータサイト間を繋ぐ幹線系通信はアシスト局によって4ヶ所まで接続が許可されます。この最大4レピータがアシスト局で繋がっている部分をゾーンと呼ぶことにします。各ゾーン間はインターネットによって接続することができます。

従って北海道から九州まで接続可能で、将来的には例えば、北海道の人が九州のレピータからCQを出すことができるようになります。

インターネットを経由した統合システム