データ系通信と音声系通信のローカルレピータは1.2GHz帯を使用しています。データ系通信の伝送速度は128Kbpsで占有周波数帯幅は約130KHz程度になりますので144MHz等低い周波数帯では周波数区分上使用できません。音声系通信は伝送速度が4.8Kbpsで占有周波数帯幅が5.5KHzと従来のアナログFMより狭帯域のため、占有帯域的には従来のアナログFMの使える周波数帯で使用可能です。

データ系通信と音声系通信を同時に使うことが多く、アンテナはそれぞれ相互の影響を少なくするよう一体型のアンテナになっています。

ローカールレピーターとアンテナ

データ系通信と音声系通信を多重化して送る幹線系通信レピータは10GHz帯で一つの筐体にまとめられていて、送信出力は1W/2Wとなっています。

今までの幹線系通信の実験では、10GHz帯で90cmのパラボラアンテナ、ゲイン36dB、出力1Wで気象条件を含めて約20Kmが限度ではないかと思われます。周波数が高いため、遠距離では大雨や霧の影響を受けて通信が止まる可能性があります。

幹線系レピーターとアンテナ

多重化の方法など詳細は後で説明します。

10GHz帯のアナログFMの音声系通信等では、このアンテナを使うと100Km以上通信できると思われますが、幹線系通信では伝送速度が10Mbpsで占有周波数帯幅が10.5MHz程度になり音声のような狭帯域通信に比べて通信距離は極端に短くなってしまいます。

実際のレピータサイトの構成は右図1にようになります。デジタルデータ系通信と音声系通信はそれぞれ別のレピータで動作し、アナログFMレピータのようなコンベンショナルのレピータも図1のように接続可能です。

図1のようにレピータサイトにモデムをおき、有線回線に接続するとインターネットへアクセスできます。またサーバーを接続するとそれぞれの端末よりこのサーバーへアクセスできるようになります。

図1 レピーターサイトの構成

レピータサイトのより具体的な詳細を図2に示します。黄緑色のボックスは従来のアナログシステムで、このデジタルシステムへの接続が可能な様子を表しています。従来のアナログシステムとのビットレート変換やプロトコル変換の機器は現在開発中です。

図2 レピーターサイトの詳細

図3はD-STARのデジタルデータ系通信、デジタル音声系通信および幹線系通信の部分の構成と接続を示しています。それぞれのレピータサイトにはコントローラが必要ですが、デジタルデータレピータにこのコントローラが含まれています。このレピータよりデータ信号と音声信号を多重化して幹線系通信レピータに送ります。逆に幹線系通信のレピータから来た信号はこのコントローラで分けられて、データレピータと音声レピータへ送られます。

青色のボックスは最小限のシステムを表していますが、黄緑色のボックスで示すようにデータレピータ/音声レピータは合計4台まで増設でき、また幹線系通信レピータはもう1台増設可能です。

後から増設するデータ/音声レピータにはコントローラが不要なため含まれていません。

図3 レピーターサイトの接続