松下電器産業(現パナソニック)などがSDメモリーカード発表

1997年7月にソニーがメモリースティックを発表してから、約2年後の1999年8月に、松下電器産業(現パナソニック)、サンディスク(現ウエスタン・デジタル)、東芝による共同開発規格としてSDメモリーカードが発表された。そして2000年1月は「SDカードアソシエーション(SD Card Association, SDA)」が設立された。その結果、メモリーカード市場は、それ以前からあった日米が協調して規格統一を行ったパソコン用小型カードのPCカード、アメリカのサンディスクが開発したコンパクトフラッシュなどが共存することになった。

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SDカードの登場でメモリーカード市場は規格競争激化

従来のメモリーカードより小型・薄型で、家電製品まで幅広く活用可能

PCカードとコンパクトフラッシュは、主に、ノートパソコンやデスクトップパソコンの外付け記憶装置として開発されたものであるが、メモリースティックやSDメモリーカードは、携帯電話やオーディオ機器、デジタルカメラ、テレビなど家電製品まで含めた幅広い用途を考慮した規格となっている。カードのサイズもメモリースティックやSDメモリーカードは、PCカード、コンパクトフラッシュに比べて小型・薄型であるのが特徴。

デファクトスタンダードとして、生き残りをかけた戦いが始まる

小型・薄型化と記憶容量は相反するだけに、メモリースティックやSDメモリーカードの記憶容量アップが必要になって来る。メモリーカードを使用する機器側もより小型・薄型で、しかも記憶容量がMBからGBへと、より大きなものを要求するようになって行った。この要求を満たさなければデファクトスタンダードとして生き残ることが出来ない。

急速な大容量化ニーズ応えるためMBからGBへ大容量化

こうして家庭用VTRやフロッピーディスクなどと同様の規格戦争が起きた。メモリースティックは、発表時、外形寸法21.5mm×50mm×2.8mmで、長さは単3乾電池と同じだった。記憶容量は4MBと8MBでスタートしたが、その後128MBまでの大容量化が行われた。しかし、急速な大容量化ニーズ応えるためにはMBからGBへの大容量化が必要だった。しかも後発のSDカードとのデファクトスタンダード競争に勝利するためには、そのままでは対応できない。

ソニーがメモリースティックPROやメモリースティックDuoを発表

このためソニーは、2003年1月に新規格のメモリースティックPROを発表した。メモリースティックPROは、サンディスクとソニーの共同開発したもので、外形寸法は従来型メモリースティックと同じ21.5mm×50mm×2.8mmだが、メモリースティックと比べて、記録容量の拡大、転送速度の向上、著作権保護技術Magic Gate機能が強化されていた。メモリースティックは最大容量128MBだったが、メモリースティックPROでは最大記憶容量32GBとなった。最大転送速度は160Mbpsとなり、動画のリアルタイム記録などにも可能となった。一方、カードサイズの小型・薄型化に関しては、2000年4月に発表した、外形寸法20mm×31mm×1.6mmのメモリースティックDuoで対応した。このころ人気の出ていたソニーのゲーム機PSP(プレイステーションポータルブル)に採用され、やがてDuoサイズがメモリースリックの標準サイズとなって行った。

SDカードが64GB以上の記憶容量に対応、最大2TBまでの規格も

一方、SDカードは、後発なだけに小型・薄型、大容量化で勝っていた。標準のSDカードサイズは24×32×2.1㎜で、mini SDカードでは20×21.5×1.4㎜、さらにmicro SDカードでは11×15×1.0㎜と、様々な小型機器にも対応できるメリットがあった。2006年の2006 International CESで、SDメモリーカードの規格限界容量である最大32GBのSDHCカードが発表された。さらに、2009年1月にSDカードアソシエーションで64GB以上の記憶容量に対応する規格SDXCカードが決定され、より大容量化ニーズに応えられるようになった。また、ファイルシステムexFATを採用すれば記憶容量を最大2TBまで可能で大容量化でリードすることになった。

SDカード推進グループも携帯型オーディオプレイヤーを発売

ポータブルデジタルオーディオ機器においては、ソニーがメモリースティックウォークマンを1999年12月に発売したが、SDカードを推進していたグループでは、2000年から2001年にかけて、パナソニック、東芝、日本ビクターから携帯型オーディオプレイヤーを順次発売している。さらに、パナソニックは、2005年4月にD-snapシリーズを発売している。D-snapシリーズではSDメモリーカードのアプリケーションフォーマットとして規格化されたSD-Audioを採用している。SD-Audio は、SDメモリーカードに採用されていたCPRMによる著作権保護機能を利用して音声データファイルを暗号化する規格。このCPRMは、デジタルオーディオの普及による著作権侵害対策に苦慮していたアメリカレコード協会が中心となり、デジタルオーディオの著作権保護規格策定団体(SDMI)が設立され、そこで制定されたものだった。

参考資料:JAS journal(日本オーディオ協会編)、日本ビクターの60年史、SOUND CREATOR PIONEER、ソニーHP、ソニー歴史資料館、パナソニックHP、JEITA・HP、「MDのすべて」(電波新聞社)ほか