ハイレゾロゴ認証機種は2019年3月末で1974機種に

ハイレゾロゴを付加することができるハイレゾロゴ認証機種は2019年3月末で1974機種となっており前年同月の1553機種から27%ほど急増している(日本オーディオ協会調べ)。内訳は「ヘッドホン/イヤホン」が圧倒的に多く、650機種で全体の32.9%を占め前年比30%増となっている。これに次ぐのが「カーオーディオ」の201機種で、前年からの伸び率では60.8%と急増している。以下、「AVアンプ/レシーバー」が166機種、「ステレオアンプ」116機種、「DAC」115機種、「スピーカー」100機種と続く。この他、「携帯ヘッドホンアンプ」95機種、「携帯オーディオプレーヤー」72機種、「スマホ/タブレット」64機種、「ネットワークオーディオプレーヤー」49機種、「ホームシアターシステム」40機種、「据置ヘッドホンアンプ」37機種、「BDプレーヤー」33機種、「セットステレオ」31機種、「スピーカー」29機種などとなっておりハイレゾ対応機器は順調に増加している。

 

オーディオ製品の売り場ではBluetooth搭載機器が人気を呼んでいる

ワイヤレス伝送規格Bluetooth搭載のワイヤレス機器販売で増加

また、音楽を楽しむ方法として家庭内だけでなくアウトドアでも楽しむことや、室内でもワイヤレスで楽しむ人が増えていることからこれに対応した動きも出ている。この傾向は以前からあったが、アイホンがイヤホンを接続するワイヤードイヤホン端子を無くしたモデルを発売したのを契機に、ワイヤレス伝送規格Bluetooth(ブルートゥース)搭載のワイヤレス機器の販売が増加したといわれる。

そして2008年頃になると、ヘッドホン、スピーカー、パソコン、車載機器などでBluetooth機能に対応した機器が増えてきた。Bluetooth機能内蔵により、屋外ではBluetooth機能対応ヘッドホンでコードを気にすることなく音楽を楽しんだり、家ではBluetooth機能対応スピーカーで再生したり、Bluetooth機能対応のカーステレオと組みあわせて音楽を楽しむといったケーブルに制限されない自由なリスニングスタイルが広まってきた。 

2018年11月に「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」制定

こうしたユーザーニーズを反映して、2018年11月にワイヤレス伝送規格Bluetooth搭載機器を対象とした「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」が制定された。これによりハイレゾの条件にマッチしたワイヤレス機器についてもハイレゾが認証されるようになった。これを機にハイレゾ認証製品の増加に拍車がかかった。その代表的な製品には、ソニーのウォークマン「NW-ZX300G」やJVCケンウッドのAVナビ「MDV-M906」、パナソニックのヘッドホン「RP-HD610N」などがある。

Bluetooth搭載においては、ソニーの場合2008年3月に発売した“ウォークマン”「NW-A820シリーズ」2機種をはじめ、2011年10月発売の、“ウォークマン”史上最高音質を実現した「NW-A860シリーズ」、「NW-S760シリーズ」などで対応しており、早くから取組んでいた。そして「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」が制定されたことで、2018年11月に「NW-ZX300G」を認証製品として発売した。この頃にはソニー以外にも多くのメーカーがオーディオ機器へのBluetooth搭載に取組んでいた。

Bluetoothの生立ちと発展の歴史を見るとパソコンから始まっていた

リスニングスタイルの変化に大きな影響をもたらしたBluetoothだが、その生立ちや、発展の歴史を見てみるとパソコンや携帯電話などがスタートとなっている。実はBluetoothは数mから数10m程度の距離の情報機器間で、電波を使い簡易な情報のやりとりを行うために開発されたものだった。1998年5月にエリクソン、インテル、IBM、ノキア、東芝の5社によってBluetooth SIGが設立された。その後1999年7月にBluetoothバージョン1.0が発表されている。後にマイクロソフト、モトローラ、3COM、ルーセント・テクノロジーの4社が加わり、さらにアップル、ノルディック・セミコンダクターなども加わった。Bluetooth SIG加盟会社を見るとオーディオメーカーではなく、パソコンや、通信機器、半導体メーカーが名を連ねており、パソコンや携帯電話などに使われる規格として開発、採用された経緯が見られる。Bluetoothの国際機関IEEEにおける規格名は、IEEEC802.15.1となっている。

初期の頃、Bluetoothは2.4GHz帯を使用してノートパソコン等のマウス、キーボードをはじめ、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレットでの文字情報や音声情報などの比較的低速度のデジタル情報の無線通信を行う用途に採用された。その後、毎年のように新しいバージョンが発表され、通信速度の向上や機器間のペアリング簡略化、電池寿命の長時間化、家電製品・オーディオ機器への応用など改良が進んだ。

Bluetoothはデンマーク王の功績をたたえネーミングされた

Bluetoothの名称だが、日本語に直訳すると「青い歯」となり何となく奇妙な名前で、機器間における通信規格の名称としては不思議に思われる。これは、スウェーデンのエリクソン社の技術者が命名したもので、ノルウェーとデンマークを交渉により無血統合し、文化の橋渡しをしたデンマーク王であるハーラル・ブロタン・ゴームソンの死歯が青黒い灰色だったので「青歯王」と呼ばれたことに由来している。Bluetooth誕生以前は、パソコンや通信機器業界では様々な規格が開発され業界が混乱していた。こうした混乱を解消するために、世界標準となる規格を制定して混乱を避ける必要性に迫られていた。そして、交渉により無血統合を果たしたデンマーク王の偉業にちなんでBluetoothとネーミングされたわけで、乱立する無線通信規格を争うことなく平穏に統合したいという願いが込められてのものだった。


参考資料:JAS journal(日本オーディオ協会編)、電波新聞、ソニーHP、ソニー歴史資料館、BCN RETAIL、JEITA・HP、e☆イヤホンHP、PC Watch HP他