[ARDF]

ARDF(Amateur Radio Direction Finding)は、アマチュア無線の電波を使った方向探索競技のことをいう。指向性のあるアンテナと受信機を使って、競技地域内に隠された5台の無線送信機(TX)から発射される電波を受信し、あらかじめ決められた時間内で、いかに多くのTXの数を、いかに早く探し出すかを競う競技である。

競技として確立する以前のARDFは、「FOXハンティング」と呼ばれていた。これは、狐(隠した送信機)をハンティングする(見つけ出す)ことから名付けられ、アマチュア無線の遊び方の1つとして、昔から全国各地で行われていた。その頃は確立されたルールがなく、主催者が独自にルールを決めていた、その後、競技として統一したルールが制定され、「FOXテーリング」という名称になった。

[FOXテーリングの全国大会で優勝]

このFOXテーリングの時代に、熊本県八代市の河川敷で、FOXテーリング全国大会が開催された。全国各地から50人ほどの選手が参加したが、浅井さんもこの大会に出場し、OT部門で優勝を成し遂げた。周波数は144MHz帯で、アンテナはFOXテーリング専用に開発された市販品を使ったという。浅井さんはその後講習を受けて、FOXテーリングの審判員の資格も取得した。

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全国大会で優勝し授与されたメダル。

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FOXテーリング審判員証。

FOXテーリングは日本独自のルールだったが、ARDFという世界規模のルールが採用された後、浅井さんは再度講習会を受講してARDF審判員の資格を取得したが、この頃には自身が競技者として出場する機会は無くなって審判オンリーとなり、最終的には裁定長まで務めた。「当時は九州管内で開催される大会にはだいたい出向きましたが、最近は頼まれることも無くなりました」と話す。

[ミニARDF]

JARL熊本県支部では、最近、子供を対象としたミニARDFを開催している。これは「宝探し大会」と言う名称で、熊本城内を会場に実施しているが、小学生以下が対象なので、TXは見つけやすくしている。またTXの数も3つに絞り、特別に作った受信機を持たせて探させているという。

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「宝探し大会」のスタートの様子。

この催しは、熊本市立博物館が主催しJARLがお手伝いするという形を取っており、博物館が「市政だより」などの広報誌に開催案内を載せて参加者を集めてくれる。2009年は、天気が悪かったにもかかわらず30人くらいの参加があったという。ミニARDF(宝探し大会)の他には、電子工作教室も開催し、これまでにラジオ、イルミネーション、クリスマスツリーなどを作った。

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TXを見つけた競技者。

浅井さんら県支部のスタッフは、子供にエレクトロニクスに興味を持ってもらえればとの思いでこれらのイベントを開催しているが、「材料費は市が出してくれるし、半田ごてなどの工具も市が用意してくれ、市がバックアップしてくれるので助かっています」と話す。県支部のホームページを担当している浅井さんは、技術指導ではなく、ホームページのための取材をメインに毎回参加しているという。

[永年会員表彰]

県支部の行事ではないが、毎年5月に開催されるJARL通常総会に浅井さんはよく参加しており、ほとんどの場合は、土曜日に熊本を出発し前夜祭に参加して1泊し、日曜日に総会に出席してその日の最終便で帰ってきている。2008年、高知市で開催された第50回通常総会(愛称 よさこい高知総会)では、会員歴40年の永年会員表彰を受けた。

JARL通常総会以外の催事としては、毎年8月のハムフェアにも出かけている。特に現役時代は、なるべく出張日程が合うように調整し、出張に合わせて会場である晴海の東京国際見本市会場に向かったという。その後会場が東京ビッグサイトに変わってからも何回か参加した。パシフィコ横浜で開催されていた時代には一度も行く機会が無かったが、会場が東京ビッグサイトに戻り会期が2日間に短縮されてからは、ほぼ毎年参加している。ハムフェアには金曜日に熊本を出発し、2泊して土日共に参加し、日曜日の夜に帰ってくる。「最近では、金曜日の夜に東京で熊本出身の連中とミーティングを行っています。今年2010年は15人も集まりました」と話す。

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2010年もハムフェアに参加。後列右端が浅井さん。

[西日本ハムフェア]

毎年3月に行われている西日本ハムフェアは、2011年に10回目の開催となる。これまで福岡県と熊本県で開催されてきたが、ここ数回は連続して、熊本県玉名郡長洲町にあるユニバーサル造船有明事業所の体育館で開催されている。近所での開催であることから、浅井さんは毎年参加している。会場ではいつもD-STARコーナーに詰めて、プレゼンテーションビデオの上映やパネル展示、さらに、デモンストレーション運用や、カタログの配布、各種相談への対応まで行っている。

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熊本D-STARクラブで出展したD-STARコーナー。

2010年、浅井さんはDXCCフィールドチェッカーの資格を取得したため、2011年の西日本ハムフェアからはJARLのブースで、DXCC申請者が持参したQSLカードのチェックを行うことになっている。「私はいつもスタッフとして参加していますが、西日本ハムフェアが成功しているのは、事務局のJE6ONQ井上さんが、いつも一生懸命やってくれるからだと思っています」と話す。