[D-STARのメリット]

浅井さんはD-STARの特長として、HF機ユーザーでない遠距離の局と交信できることを挙げる。通常、国内の遠方地域や海外と交信するには、衛星通信など一部の例外を除いてはHF帯を使うしかなかった。そのため、相手がハンディ機しか持っていない局の場合は交信チャンスがなかった。それが、D-STARを利用することで、たとえばハンディ機しか持っていない東京の局と九州から交信することが可能になった。「途中がインターネットで中継されるので、あたりまえといえばあたりまえですが、このメリットは大きいです」と話す。

次は音質の良いことを挙げる。HF帯で交信する場合、コンディションによって、信号強度に強弱が発生したり、ノイズが絡んだり、はたまた混信を受けたりするが、D-STARではこのようなことが一切なく、ローカルレピータの電波が十分な強度で入感しているエリア内では、常にメリット5で受信できる。たとえば北海道の局との交信でも、あたかもアナログレピータ経由で熊本県内の局と交信しているかのような具合である。

[D-STARの運用]

浅井さんは、自宅にいる時、常にローカルレピータのJP6YHNをワッチしているが、20時から22時くらいの間は積極的に運用を行っている。毎日夕食後に1時間程度ウォーキングを行い、帰宅後は風呂に入って、その後に運用を行っている。以前は、北海道のレピータから沖縄のレピータまで順番にCQを発信していたこともあったが、最近では、応答率の良いレピータを狙ってCQを出している。

浅井さんは、これまでにD-STARを使って異なる約200局と交信しているが、まだ海外の局とはQSOしていない。HF帯で常に海外とはQSOしているので、あえてD-STARを使って海外とのQSOをしたいとは思わないという。なお、ハンディ機では使い勝手が良くないため、次はモービル機あるいは固定機の購入を検討している。

[D-STARコンテストに参加]

アイコム主催のD-STARコンテストは2009年から始まった。浅井さんは2009年の時は参加しなかったが、友人局から「コンテストに出てなかったね」と言われたことと、2009年ハムフェアのアイコムブースで、第1回D-STARコンテストの結果が発表された際、自分のコールサインが無くて残念に思い、来年は絶対に出ようという気になった。

2010年6月に開催された第2回D-STARコンテストでは浅井さんは国内レピータ(JR)部門に参加し、初日から積極的にオンエアした。ローカルレピータJP6YHNから「CQコンテスト」が聞こえれば必ず応答対応し、夜は北から順に全国のレピータから「CQコンテスト」を出した。その結果、98QSOで国内全10エリアとも交信でき、1200点を獲得した。特に、国内の全ボーナス局(アイコム関連の社団局)との交信を達成したのは浅井さん他数局しかいなかったため、快挙であった。

2010年8月のハムフェアのアイコムブースで、第2回D-STARコンテストの結果が発表された。JR部門の上位は、わずかな得点差の中に10局がひしめくという激戦であったが、浅井さんは堂々3位の入賞であった。「来年はさらに上位を目指したいです」と抱負を語る。

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浅井さんが受賞した3位の賞状。

[D-STARのアワードを獲得]

2007年、JARL東海地方本部が、D-STARの活性化を狙い、1年間の期間限定でD-STAR JAPANアワードを発行した。このD-STAR JAPANアワードには2種類の賞があり、それらは「D-STAR10局賞」と「D-STARレピータAJD賞」という名称で、「D-STAR10局賞」はD-STARを使って異なる10局と交信することで達成できる入門的なアワード、「D-STARレピータAJD賞」は、日本国内の10コールエリアに設置されたD-STARレピータ局を使ってそれぞれ1局と交信することで達成できる少々難易度の高いアワードであった。

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D-STAR 10局賞。

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D-STARレピータAJD賞。

交信有効期限は2007年1月1日〜12月31日と設定されたため、浅井さんは、2007年に入ると、さっそくアワード獲得に向けてチャレンジを開始した。まずは「D-STAR10局賞」を達成し、すぐに申請して発行番号2番で受賞。次に「D-STARレピータAJD賞」を達成し、こちらは発行番号4番で受賞した。これだけ若い番号のアワードを受賞したということは、まさに浅井さんの努力に結果と言える。

[D-STAR以外のアワード]

40年以上、一度も休むことなくアマチュア無線を続けている浅井さんは、国内局、海外局を合わせて3万局以上(延べ交信数は4万回以上)とQSOを行っている。そのためQSLカードを2万枚以上所有しているが、一番力を入れているDXCCを除いて、D-STAR JAPANアワード以外は、ほとんど申請していないという。これまでに申請したのは、JARL創立70周年記念アワード、DXCCミレニアムアワードなど、ごくわずかである。

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JARL創立70周年記念アワード。