[免許の更新手続き]

今回海老原さんがパラオに行った目的は、無線運用の他に、4月29日で切れるT88JJの免許の更新手続きを行うことだった。運用2日目の3月17日(金)、海老原さんは、空港2階にあるテレコムのオフィスにでかけた。すると以前に訪れた部屋では大掛かりな改修工事が行われており、別の部屋に移転して業務が行われていた。

たまたま前回の渡航時にお世話になった女性担当官であるアサヌマさんが在所していたので、免許の更新手続きに来たことを伝え、用意してきた書類一式を提出した。すると最初に、この更新手続きは、海老原さん自身のものなのか、他人から依頼されたものかを聞かれ、添付しているパスポートのコピーで本人の申請書であることを確認された。合わせてJR3KFX高木さんの新規申請も行ったが、郵送でなく訪問しての申請のため、こちらも問題なく受理された。

この時、アサヌマさんは機嫌がよかったのか、若い職員にコーヒーを持ってこさせて、しばしの雑談となった。アサヌマさんからは海老原さんらのパラオでの運用状態や、日本でのアマチュア無線の様子、さらに海老原さんが住む観光地・京都の様子などを聞かれ、30分程度お邪魔した。最後に、「今日は免許発給担当のベケベケマッドさんが出張に出ていないため、免許はすぐには発給できないが、次の月曜日まで滞在しているのなら、渡せる様にします」言ってくれた。

しかしながら、海老原さんは月曜日の早朝の便で帰国する予定のため、郵送料金を支払って、郵送での発行をお願いした。帰る際、アサヌマさんはわざわざオフィスの外まで見送ってくれたという。その後、帰国して10日ほどで経つと、更新された免許が自宅に届いた。内容を確認すると、特に願い出てはいないのに、免許期間が2年になっていた。さらに、パラオでの免許の有効期間は、更新手続きを行った日からの1年間であるのに対し、海老原さんの場合は、申請日ではなく、古い免許の有効期限である4月29日からの2年が有効期間となっていたという。

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海老原さんが受領した2年間有効の更新免許。

[レンタカー]

今回も島内の移動手段としてレンタカーを借りることにし、前回と同じレンタカー屋に車の手配を行った。「右ハンドルがいいか、左ハンドルがいいか」、また「セダンかワンボックスか」などを聞かれ、半年の間に、貸し出しできる車種が増えた印象を受けた。ただし、レンタル料金は半年前と同じで、保険料込み1日60ドルだった。

3月17日はレンタカーで午前中にテレコムに行き、午後からは、三好夫妻の目的である、JLRSでの運用の下見と観光に出かけた。前日までは天気がもうひとつだったが、17日は快晴だった。この日の昼食はPPR(パラオパシフィックリゾート)のレストランで摂り、このホテルに設置されているレンタルシャック用のアンテナタワーが完成したと聞いたので、敷地内を探してみた。無線用のタワーだからすぐに見つけられるだろうと思っていたが、なかなか見つからなかった。

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PPRで撮影した写真を使ったT88JJのQSLカード。

[クランクアップタワー]

そこで、海老原さんはフロントに行き、電気設備のメンテナンス関係の責任者である曽根さんを呼び出してもらいタワーへの案内をお願いした。PPRの北端に並んでいるゲストルーム群を通り越して、うっそうとした樹木の茂った急斜面を100mほど登ったところに、樹木を30平方米ほど伐採したスペースがあり、そこにワカマツ製作所の14mのクランクアップワターが建っていた。ジャングルの中にあるといった感じで、いくら探しても見つけられなかった理由が分かった。

また、そこにたどり着くまでの間に、前日の雨で登坂斜面がぬかるんでいたり、旧日本軍の塹壕(ざんごう)跡があったり、砲弾でえぐられたスリバチ状の大きな穴があったりして大変だった。ときどき、蛇も出るとのことだった。海老原さんらはスニーカーの軽装だったので、ホテルへ帰ってからの靴掃除が大変だったという。「昼間であの状態だから、深夜便で到着した場合、タワーの所まで行くのが困難なため、翌朝までは、手動ハンドルによるタワーのクランクアップはできないだろう」と判断した。

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クランクアップタワーを見上げる、左から曽根さん、JA3UB三好さん、JR3MVF三好さん。

設置場所はちょっとした丘の上なのでロケーションは抜群だったが、タワーの運搬はもちろん、穴掘りやコンクリートの打設が大変だったとのことで、建設時に使われた、車の入れる道から100mほどの索道がまだそのまま残っていた。この索道を使って機材やコンクリートを運び上げたと説明があった。それよりも、このあたりには、太平洋戦争当時の多くの不発弾が残っているとのことで、現地人の職人が穴掘りを嫌がったと聞いた。

[JA1BRK JA1HGYとアイボール]

今回のパラオでの運用に先立って、知人であるJA1HGY間下さんから、「ほぼ同じ日程で、JA1BRK米村さんと2人でホテルニッコーパラオから運用します」と連絡をもらっていた。そのため、3月18日(土)、海老原さんら3人はホテルニッコーパラオを訪問して夕食を共にし、無線の話題からダイビングの話題までアイボールQSOを楽しんだ。

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ホテルニッコーパラオでアイボールQSO。

その後、彼等のシャックを見学させてもらったが、間下さんと米村さんは、無線機、1.9〜50MHzまでのアンテナ、ローテーター、ポール、パソコン、それにダイビング用具一式などを日本から持ち込むにあたり、荷物が1人あたり60kgを越えたので、やむなくコンチネンタル航空のビジネスクラスを利用したとのことだった。

結果的にはコンディションが良く出力100ワットでも良く飛んで無線運用は十分に楽しめ、海老原さんは免許の更新ができ、また三好夫妻は、次回運用の下見ができ楽しく快適な4日間を過ごせた。