[実施日程決定]

免許申請書も発送し、計画が進んでいったので、一度参加者が集まって詳細を決めることになり、2007年2月25(日)に京都市内南部のファミリーレストランに集合した。まず日程は、航空券の予約状況を考慮して、出発を7月29日、帰国を8月6日と決定し、すぐに航空券を手配することにした。また、会計担当、広報担当、機材調達担当、現地での観光やダイビングなどのアクティビティ担当などを決めた。

ホテルについては、JH8BKL河瀬さんに頼んで定宿であるポンペイ島のサウスパークホテルを仮押さえしてもらった。実際に現地へ行ってみたらこのホテルは無線の運用に適した素晴らしいロケ―ションに建っていた。また河瀬さんからもらった、バンド毎のアンテナの最適設置場所や、アンテナ設置に使えるマストの置き場所などの情報は非常に的確だった。

航空券の手配については、京都市内の旅行代理店に勤務するJH3QNH山下さんの娘さんが、色々と手を尽くして親切に対応してくれた。料金についても相談に乗ってくれ、安価な料金を設定してくれたため、誰からも異存は出なかった。合わせて保険の手続きも山下さんの娘さんにお願いした。

[IC-706]

トランシーバーは全員が所持して使い慣れているアイコムのIC-706で統一し、これを3台持っていくことにした。リニアアンプはこの時点ではIC-2KLとFL-7000の1台ずつを予定していたが、最終的にはIC-2KLを2台持っていくことになった。アンテナはメインとなる14/21/28MHz用は京都クラブが所有しているナガラの3エレメントトライバンド八木が候補にあがったが、組み立てが複雑であることと、再現性が良くないため取りやめ、新たに2エレメント程度のトライバンドHB9CVを購入することにした。

photo

ミクロネシアで活躍中のIC-706。

その後、4月の京都クラブの総会で購入の承認を得て、ミニマルチの2エレメントトライバンドHB9CVを購入した。また、WARCバンド用としては京都クラブが既に所有しているナガラの10/18/24MHz用ロータリーダイポールを持って行くことにした。このアンテナは組み立が簡単で、今まで何度も移動運用で使っているので再現性は実証済だった。50MHzは2エレメントHB9CVとした。なお、7MHz以下のローバンドはワイヤーダイポールとし、特に1.8MHz用は過去に何度か海外での使用実績がある海老原さんのアンテナを持っていくことになった。

[IC-2KL]

リニアアンプについては早い段階から、今回の渡航メンバーではないがJH3FJG早越さんからIC-2KL 1台の提供の申し出があったが、4月になってもう1台提供できるとの連絡があり、電源部を考慮してもFL-7000よりは軽量になると判断して、早越さんからから2台借りることにした。ただし、電源部だけは1台分の提供しかなく、IC-2KLにDCを供給するための48V電源が別に1基必要となった。

上手い具合に、JH3QNH山下さんから、出力が16Vのスイッチング電源が3セットあるが、これを直列接続すれば動作するのではないかという申し出があり、動作確認することにした。電源ケーブルのコネクタはアイコムから取り寄せ、翌5月の定例打ち合わせの際、JA3OIN橋本さん宅の倉庫で実験をしてみたところ上手く48V電源として動作したため、これを使うことにした。また、この電源は3つに分けて3人のスーツケースに分割収納することができるため、持ち運びにも至適だった。

もう1台の電源のある方のIC-2KLについても、長期間使用されていないものだったため、念のため海老原さんのシャックでバードのパワー計と1kWのダミーロードを接続して動作確認を行ったところ、問題なく500Wが出力されていることが確認でき、これで2台のリニアアンプをミクロネシアに持っていける目処が立った。

photo

海老原さんのシャックで動作確認中のIC-2KL(右)。

[ホームページ]

今回のDXペディションでは、当時外国人によるDXペディションでは少しずつ増えてきていたオンラインログを稼働させることを計画し、JF3PLF杉浦さんと、今回の渡航メンバーではないが京都クラブのサーバーを管理しているJF3LGC馬渕さんの2人が中心となって、まずは、京都クラブのサーバー内に、「V6 DX-pedition」専用のサイト(http://www.ja3yaq.ampr.org/~v6/)を立ち上げた。

photo

V6 DX-pedition のホームページ。

このホームページには、運用期間、運用場所、使用するコールサインとオペレーター紹介、QSLインフォメーション、ログサーチ、準備段階の写真、ミクロネシア連邦の紹介、京都クラブの紹介などの他、京都クラブやミクロネシア関係サイトへのリンクを掲載した。「各サイトへのリンクは、もちろん掲載許可を得ました。ミクロネシア連邦ポンペイ州観光局とのリンクと、写真の使用は「ミクロネシア政府観光局」の注釈を入れることでOKを頂きました。これらの手続きはすべて杉浦さんのご尽力で可能となりました」と海老原さんは説明する。ログサーチについては、DF3CBのソフトを使って、杉浦さんとJI6DUE野原さんが協力して立ち上げた。

広報については、「V6 DX-Pedition」サイトでのPRの他にも、関西ハムフェスティバル会場でのビラの配布、さらに広報担当の海老原さんは、内外のDX情報誌や主なDXクラブなどにメールを送ってPRを行った。初めて発給されたV60というプリフィックスへの関心も高く、ホームページのアクセスカウンターは毎日順調に増えていき、1ヶ月で500アクセスを超えた。それに伴い1.8MHzやWARCバンドのリクエストなどが、Eメールで海老原さんの所に届いたという。

[無線設備の最終チェック]

出発が1ヶ月後に迫った6月24日と7月1日の両日、橋本さん宅の倉庫で、持って行く無線設備の最終的な稼働試験を行った。リニアアンプは、2台のIC-2KLのうちの1台は、先に海老原さんの自宅で稼働テストを完了していたが、もう1台の16Vスイッチング電源を3台直列にして48Vを供給する方の動作確認を行った。5月に電源部だけの動作確認は済んでいたが、リニアアンプとしての動作確認はまだだったため、一番気がかりだったが、幸いにも上手く動作して安心した。

photo

16Vの電源を3台直列に接続して使用中。

そして出発4日前の7月25日には梱包と空港への発送を行った。重量超過による追加料金の支払いを避けるため、スーツケースや、アンテナ類を収納するスキー袋などの荷物がすべて23kgという制限重量内に均等に収さまる様に調整する必要があった。手荷物は1人2個まで預けられるため、成田出発のJN3JBC川村さんを除く5人で合計10個まで持っていけるが、スーツケースやスキー袋が9個しか用意できなかったため、電源、無線機、アンテナ、同軸ケーブルなどの塊ごとに重量を計り、その値をメモした紙を張り付け、9個の荷物全てが23kg以内になる様に、パズルをする感覚で組み合わせて梱包を行った。

5人が全員協力して梱包を終えた後は、9個の荷物を宅配便で中部国際空港に発送した。これは出発当日、手回り荷物だけで自宅を出かける様にするためだった。川村さんだけは、当時埼玉県在住であったため、別便で成田から出発しグアム国際空港で合流する段取りとした。