[スキート]

スキートは6人で競技を進めるトラップとは異なり、1射団1人から6人で構成され、全員が1番射台から競技を開始する。最初の射手が1番を撃ち終わると、2人目の射手が1番射台で射撃を行う。次に2番射台に移動していた最初の射手が射撃を行う。この要領で全員が8番射台までを撃ち終わると25発となる。放出されるクレーはトラップと同じ1ラウンド25枚だが、1枚に対して1発しか撃てないため、消費する装弾は25発の固定である。

スキートでは、半径19.2mの半円上に7個の射台、さらに半円の中心に1個の射台(8番射台)が設けられていて、半円の両端にある発射装置(プールハウス)から、毎回、同じコースで時速70km以上のスピードでクレーが放出される。半円に向かって左端にある1番射台から撃って行くが、射台によっては、半円の左右にある2台の発射装置から同時にクレーが放出されるため、2発で2枚を撃つ場合もある。

半円の真ん中にある4番射台では左右に位置した発射装置から同時に放出されたクレーが、射台の19.2m先をクロスする様に真横に飛ぶことになり、難易度が高い。真横にクレーが飛ぶ場合は、クレーの1.5m程度前を撃つ必要がある。半円の中心にある8番射台ではクレーが頭上を飛ぶため、天空を撃つ感じになる。ちなみに、もし1発で2枚のクレーを撃ち落としてしまうと得点は無効になる。

射撃距離が19.2mと決まっているので遠射はないが、真横から放出される2枚のクレーや、真上を飛ぶ2枚のクレーを撃ち落とさないと行けないため、銃の振りが速くかつ大きくなり、さらに撃ち損じた場合の追い撃ちができないため、スキートはトラップより難易度が高い。一方、使用する散弾については、鉛粒を小さくして沢山の散弾を放出する9号を使うため、その分トラップより反動は少く、よって疲労が少ないという。海老原さんは、トラップ射撃も行ったが、スキート射撃の方に熱中した。

photo

全国射撃クラブ連合京都支部主催の射撃大会スキートの部で優勝。

[競技会に出場]

全国レベルの大会で上位入賞を狙うには1発も外せず、京都地区の大会でも23点は取らないと上位には入賞できないという。散弾は1回撃ってしまうと再利用ができないため、練習には費用がかかり、「1点上げるのに何十万円も使わないといけません」と話す。練習で撃てる弾は1日200発(現在は400発)までと決まっていたが、海老原さんは、多いときは限度となる1日8ラウンド(200発)練習した。「当時1発120円くらいでしたので、200発撃つと24,000円となり、射場利用料や保険料をいれるとゴルフコースのプレー代より相当高くつきますよ」と話す。

海老原さんは、練習場に熱心に通い、所持許可を得てから1年も経たないうちに腕を上げていった。競技会にも度々出場するようになり、猟友会が主催する大会や、全日本射撃クラブ連合が主催する大会のスキート部門では多数優勝した。国体予選を兼ねた1979年9月の京都府民総合体育大会の「射撃部門スキートの部」では準優勝したが、1点の差で優勝を逃し、国体への出場は叶わなかった。翌年1980年9月の同大会では、トラップ部門に転向し「射撃部門トラップの部」に出場したが、この時も準優勝で、残念ながら国体への出場は叶わなかった。

photo

1979年、京都府民総合体育大会の射撃部門スキートの部で準優勝。

photo

同大会表彰式の様子。

[ライフル射撃]

その後、猟友会の競技には継続して出場したが、国体を狙う様なハイレベルな競技はストレスとの戦いでもあり、熱が冷めてしまった。1978年に銃砲所持許可を得てから10年後の1988年にはライフルの所持許可を得、ライフル競技にも度々出場している。ちなみにライフル射撃の競技会ではクレーではなく直径18cmの静的を撃つ。1ラウンド5発で2ラウンドの合計点で争うが、大会によっては最大4ラウンドまで撃つことができ、得点上位の2ラウンド分を採点するという場合もある。そのため、最低でも2ラウンドの10発、最大は4ラウンドの20発を撃つことになる。

猟友会でのライフル射撃大会では、たいていが狩猟で使っている実猟銃を使う。実猟に使うライフル銃にはいろいろな規制があり、銃身長は22インチ以上、銃に装填できる装弾数は5発以下で、22口径(22/100インチ=5.5mm口径)などの小口径ライフルは許可されないため、普通は30口径(30/100インチ=7.62mm口径)の銃を使っている。

クレー射撃練習場は、かつては最寄りの山科射撃場に通っていたが、ここが閉鎖されたため、今は宇治市にある笠取国際射撃場か、京都市右京区にある京北綜合射撃場に行って練習を行っている。ただ、笠取国際射撃場はライフル射撃のフィールドがないため、クレー射撃とライフル射撃の両方ができる京北綜合射撃場に行くことの方が多い。現在ではライフル射撃の練習は、猟期開始前の照準合わせと、猟期終了後の残弾処理を行う程度になっているが、「ライフルの弾は1発480円(30-06装弾)しますので、20発撃つだけで1万円近くになります」と話す。

また「標的射撃に熱を上げていた時は、消費数が多かったので既製品(ファクトリー・ロード)を買っていたのでは高くつくため、雷管、火薬、弾頭、薬きょう(3回くらいの使い回しが可能)を単品で買って手詰(ハンド・ロード)をしていました。これだと1発が150円くらいで済み、経済的ですし、集弾率もいいのです」とも話す。そのため海老原さんは手詰め用ローディング・マシーンも購入した。

なお京北綜合射撃場には、ランニングボアーという50m先を横方向に動くイノシシの形をした鉄板を撃つ設備があり、弾が的に当たると向こう側に倒れるようになっている。海老原さんはこのランニングボアーで実猟に近い練習をすることもあるという。