[コンディション]

「今、もっとも望んでいるのは、早く太陽のご機嫌が直ることです」、「コンディションがアップして、海外局がバンバン聞こえる様にならないと、ローテーターを直す気にもなりません」、「コンディションがアップしたら、リグの整備やアンテナの整備、同軸の張り替えなどをやるつもりです」、「しかしこれらはすべて太陽のご機嫌次第で、もし過去にあった、黒点がほとんど出ないような時期がやってきたら最悪です」と濱田さんは話す。

濱田さんは数年前、屋外設置型のオートアンテナチューナーを購入した。このアンテナチューナーをまずは地面近くに設置したが、給電点が低かったのであまり聞こえなかった。そこで、これを屋上に設置しようと考えているが、屋上ではちゃんとしたアースが取れないので、当初はカウンターポイズで対応しようと考えた。しかしカウンターポイズだと蜘蛛の巣状になり、屋上での作業のじゃまになってしまう。

そこで、濱田さんはアースを取る必要がないループアンテナをエレメントにした実験を行おうと考えている。エレメントを水平方向に展開したループアンテナである。すでにアンテナチューナーは、電工ケースに入れてすでに屋上に設置済みで、同軸ケーブルの引き込みも終わっており、残るエレメントの取り付けはコンディションがアップ次第の状況となっている。

「前のサイクル23でコンディションが良かった時は、21MHzでも海外局がよく入感し、オーバーシーQSOが楽しめました。ベルギーやドイツからSWLカードも届きました」、「10年くらい前は太陽のご機嫌も良く、国内、国外の境無く聞こえたらQSOするというスタンスで楽しんでいました」、「今後コンディションが上がったら再び海外局とSSTVでもQSOしたいです」と抱負を話す。

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海外から届いたQSLカード。(イタリア編)。

[電信にチャレンジ]

濱田さんは、「老化防止の一環です」と説明するが、現在電信のマスターにチャレンジしている。かつて新2級への移行試験を受験した際にはもちろんそれなりにはできたが、試験に通った後は一度も運用していなかったため、完全に忘れてしまっているからだ。今年2012年になってエレキー用パドルと、低周波発振器を購入して徐々に送信の練習を進めている。しかし、「一緒に始める局が近所にいないため、なかなか一人では捗りませんね」と話す。

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エレキー用パドルと低周波発振器。

受信の練習については、パソコン用の練習ソフトをすでに何本か入手しており、主にMS-DOSで動くソフトを使って練習している。かつてはテープレコーダーで録音してもらったテープを教材にしたが、今では無料のソフトが簡単に手に入り便利になった。試しに、CW解読ソフトも使ってみたというが、「あれは、打つ人の癖をソフトが吸収できないので、文字にならず、使い物になりませんでした」と話す。

電信での交信文例は、CQ誌に載っていた物を、病院での順番待ちの時間などに見て覚えている。濱田さんの場合、資格もありすでにA1Aの免許も受けているので、ある程度マスターできたら始める予定で、「50MHzに遅い局が出ていますので、まずはそんな局を捕まえて電信でのQSOにチャレンジしてみます」、「慣れてきたらコンテストにも出てみたいです」と話す。

[自作を続ける]

「無線機本体は無理なので、アンテナ切り替え器や、デジタルモード用インターフェースなどの周辺機器くらいしか作れませんが、引き続き自作を楽しみたいです」、「しかし、たとえばアンテナチューナーを作ろうにも、大容量のバリコンなどのジャンクがもう手に入らないなど、部品の入手が難しくなっています」と濱田さんは話す。

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自作のバラン。左が1:4 、右が1:1。

最近は、電池式噴霧器用のバッテリー充電器を作った。噴霧器は自分の畑で使うもので、浜田さんは自宅から歩いていけるところに小さな畑を持っており、そこで野菜や果物それに花を栽培している。噴霧器の電源電圧は6Vと9Vの2台があるが、標準仕様の単一乾電池を使うと、電池容量が残っているか不明なので、どうしても予備の単一乾電池を手元に用意しておかないといけない。

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バッテリー充電器。

その不便を解消するため、濱田さんは12V/30AHのシールドバッテリーを購入して、3端子レギュレーターで電圧可変器を作り、6V用、9V用どちらでも使える様にしている。また電圧可変器には電流計と電圧計を付けて電源と噴霧器の状態がわかる様にした。「これは無線には関係がありませんが、モノを作る時はCADで作図し、色々と変えてみて一番FBと思った形で作るのが楽しいです」と話す。

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自作したビニールハウス。

「自分で色々なモノを作って、DX局とQSOできたときの感激が忘れられません」、「これには、電離層などのコンディションがあり、さらには相手があるものなので、条件が整わないと簡単にはできません」、「アフリカがまだ未交信なので、まずは6大陸との交信を目標にして頑張りたいです」と、サイクル24でのコンディション上昇を心待ちにしている。

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濱田さんのパーツボックス。

「無線は一生続けますが、目が見える間は、自作を続けていきたいです」と話す濱田さんの思いに、アマチュア無線の心髄を感じた。 (完)