[アマ無線より折り紙] 

1993年の5月から6月にかけては、バーミンガムで開かれたNVCF(ナショナル・ビンテージ・コミュニケーション・フェア)の見学、地元レクサム市庁舎の見学、勤務している会社の「ファミリーデー」に参加したり、隣町で開かれた「折り紙講習会」に加わったり、アマチュア無線と関係のない活動も多かった。

NVFCはRSGBのコンベンションと同時に開催され、荒川さんは木製ホーンの付いたスピーカーを買い求めている。「折り紙講習会」は、荒川さんの奥様が引き受けたものであり、同行した荒川さんは「一般の人たちにとってはアマチュア無線の公開実験より、日本文化のデモンストレーションの方が面白いようです」と苦笑い。

6月末にはストラットフォード アポン エイボンに住むハーブ(G/OZ7SM)さんを訪ねた。香港で知り合ったハムで、その後米国に渡った後、英国に住んでおり「間もなく定年を迎えるがデンマークには帰らないつもりで農家を買った」と言う。「広大な農場に立派な農家。庭園の池には鯉が泳ぎ、アマチュア無線用のアンテナは高々とそびえ、うらやましかった」と言う。

[5年ぶりのニューヨーク] 

7月末、5年ぶりにニューヨーク、ニュージャージーを訪ねる。荒川さんは1978年から1988年まで約10年、米国に出向してニュージャージーに住んでいた。そのため「会う人、見る町、皆懐かしくあっという間の10日間であった」と言う。かつてのハム仲間はさまざまな方法で歓待してくれた。QCWA(クォーターセンチュリー・ワイヤレス・アソシエーション)北ニュージャージー支部のメンバーは、かつてよく利用した懐かしいレストランの昼食に誘ってくれた。

久しぶりのニューヨーク訪問で、N2JA塚本さんのシャックに集まってくれたJANETのメンバー達

BARAの月例ミーティングにも参加でき「懐かしいメンバーと5年ぶりのアイボール」と懐かしんでいる。また、塚本(N2JA)さん宅でバーベキューパーティが開かれ、JANETのメンバーが集ってくれた。なかでも、かつて勤務していたシャープのテクニシアンからは「不要になった液晶ディスプレイを利用したコールサインの額をプレゼントしてもらった」ことがうれしかったらしい。

[洋子夫人の絵画展] 

英国に戻った荒川さんは9月中旬にロンドンに行き「エレクトロニクスショー」を見学し、また、開店したばかりの日本のスーパーマーケット「ヤオハン」を訪ねている。「エレクトロニクスショー」では、シャープは日本でも人気となっているデジタルビデオカメラ「ビューカム」を出品。「ヤオハン」では「日本人がたくさんおり、一瞬日本にいるような錯覚を起こした」と言う。

地元の市庁舎のロビーがアートギャラリーとして市民の作品を展示することになり、その第1号として奥さんである洋子さんの絵画26点が展示された。「我々外国人といえども町の住民としてみてくれることはうれしい」と感激している。10月にはロンドン郊外で開かれたRSGB HF&IOTAコンベンションに参加。荒川さんが日本語でJA局と交信している情景がビデオで紹介された。

市庁舎での絵画展でメデイアの取材を受ける洋子夫人

[ブタペスト/ウィーン] 

1994年、荒川さん夫妻は正月休みを利用して日本旅行社の団体ツア-でブタベスト、ウィーンを訪問。両国の無線連盟、電波監理局に訪問の手紙を出していたが、ブタペスト連盟は休日と重なり訪問をあきらめていたところ「ジラード(HA5HR)さんがホテルに訪ねてきてくれ、また、持参した144MHzのトランシーバーでローカル局と交信できた」と満足そう。

ウイ-ンではJAIGのメンバーである典子(OE1YOB)さんと、ご主人のマークス(OE1MWC)さんとレピーターを通して144MHzで交信。また、ウィーン郊外にある国連機関のUNOシティを訪問、4U1VIC局を「わずかな時間ながら運用し、JA局とも運用できた」と言う。

[レクサムと群馬] 

2月にはレクサム市内に特別局を設置して、日本ガールスカウト群馬県第4団のアマチュア無線クラブとTDOTA(シンキングデー・オン・ジ・エアー)をすることになっていたが、コンディションが悪く不調。さらに、チェスター市内にも特別局GB2TAを設置して挑戦したが同様な結果となった。

3月「日本ウェールス文化交流の夕べ」がレクサム市内で開かれ、ここでも洋子夫人は琴の演奏、茶道のお手前で協力。この催しは群馬県の前橋市に交換学生を派遣するための渡航費捻出のねらいもあった。荒川さんは「レクサムと群馬県は何かと縁が深いことを知った」と言う。

同じ3月にはロンドンの科学博物館に行き、また恒例の「ファラデーレクチャー」出席のためにリバプールに出かけている。科学博物館には特別局GB2SMが常設されており「公開運用もしている立派な設備だった」と言う。「ファラディーレクチャー」については先に紹介しているが「日本を呼び出す携帯電話の実演があり、思いがけず日本語を聞けた」と言う。

TDOTAでGB4CBCの運用だが、肝心のガールガイド達は無線より折り紙に興味を示す