[ファミリー電波教室] 

平成15年(2003年)も年始から荒川さんは大忙し。1月2、3日はJARL主催の「QSLパーテイ」に参加。この年で56回目となる極めて日本的な催しである。荒川さんは帰国して毎年参加していたため5回目。「HF、SSBで運用したが途中で無線機がダウンしたが、代わりの無線機で何とか20局の最低線を上回ることが出来た」とほっとしている。もちろん、現在も参加は続いている。

各クラブの新年会の合間を縫って「ファミリー電波教室」が、大阪国際交流センターで1月5日に行われた。この催しは大阪府電波適正利用推進員協議会の定例行事として行われており、この時は子供たちの冬休みをねらっての開催であった。荒川さんも大阪国際交流センターのメンバーとして手伝った。「全員では50名を超える参加があったが、子供が5名で寂しかった」らしい。

ファミリー電波教室で講義をする荒川さん

この電波適正利用推進員制度は、総務省の全国的組織として発足され、目的は電波を正しく使う啓蒙。街頭での周知徹底のキャンペーンを行ったり、各種イベントの機会にブースを設けたり、また、独自の催しを通じて電波の知識を知ってもらう活動を行っている。荒川さんはこの年に同推進員のメンバーとなっているが「さまざまな活動を通じて青少年が電波に興味をもって、やがてハムになってくれたら」との願いをもっている。

[大正・昭和1ケタの会] 

3月にはアメリカから名黒(WR6M)さん、ドイツから壱岐(DF2CW)さんが大阪を尋ねたため、それぞれ歓迎会が開かれ、荒川さんはしばらくぶりのミーティングを楽しんだ。この月には奈良市で「TS-1」の懇親会が開かれた。大正生まれと、昭和1ケタ生まれのハムの集りとして奈良に設立されて久しいが、「最近ではメンバーが近畿全域に広がり、また昭和2ケタのハムも加わってきたためTS-1・YM(ヤングマン)の名称に変えている」と言う。

6月には中国から一次帰国した中山(JH1TEB)さんと昼食をしながら歓談し、また羽曳野市で「ファミリー電波教室」を開催。この月の「関西ハムフェスティバル」8月の「ハムフェア」10月の地元文化祭でのハム活動など、すでに年間行事になってしまっているイベントも多く、以後いちいち紹介を省くことにする。

[墨田ウェーブ無線クラブとの交流会] 

ただし、この年の「ハムフェア」では新たに始まった動きがある。SCNET(シャープ・コーポレーションNET)として、週1回定時交信している仲間はかねてから「ハムフェア」の折りにミーティングを開いていたが、この年から東京墨田区の「墨田ウェーブ無線クラブ」と交流会を開くことになった。

ついでにこの無線クラブについていうと、その発足はユニークである。10年ほど前に、墨田区が生涯学習の一つとして設立を支援、このためクラブ局JN1ZUAは墨田区生涯学習センターの中にある。SCNETとのつながりは「シャープのハムである社員が東京に転勤し墨田区に住み、同クラブのメンバーとなったことから」と荒川さんは説明してくれた。

墨田ウエーブ無線クラブのクラブ局風景

[電波適正利用推進員の活動] 

10月下旬にはポルトガルからホセ・カルロス(CT1ERC)さんが奈良に立ち寄ったためNDXA(奈良DXクラブ)の呼びかけで夕食会をもっている。この月の月末には大阪で大阪府の電波適正利用推進員の研修、11月には同推進員協議会がそれぞれ大阪で開かれ出席。「総務省から電波行政の現状が説明され、また、推進員からは活動の報告があった。日頃電波を使っているが、あらためて多くの人が電波を守っていることを知らされた」と言う。

11月末にはマレーシアのジョホールバールで開催されたSEANETのコンベンションに参加。近くにあるシャープのカラーテレビの工場に連絡したら「ぜひ会いたい。SEANETが終わるころ迎えに行くと、車で3時間かけて迎えにきてくれた」と言う。荒川さんは定年退職後も講師として、この工場にもしばしば顔を出していた。「慕ってくれる現地の人達がいるのは嬉しい」と言う。

河内長野市民祭りでの電波適正利用推進員協議会のブース前で荒川さん

[TDOTA] 

平成16年(2004年)も各クラブの新年会があった後、2月22日にはTDOTA(シンキング・ディ・オン・ジ・エア)に協力、荒川さんの自宅から運用が行われた。TDOTAは世界のガールスカウト、ボーイスカウトが一斉に交信する目的で設定された。

荒川さんは英国滞在時代にその日に何度も参加しており、容易に日本との交信が出来ずに悔しい思いをしている。日本に帰国した後にも、荒川さんはこのTDOTAの運用に協力しガールスカウトを手助け。「ボーイスカウト本部などと交信している」と言う。

[JAIG大阪大会] 

3月23日から27日、大阪国際交流センターでJAIG(ジャパンアマチュア・イン・ジャーマニー)の年次大会が開催された。日本で開かれたのは2回目であり関西では初めての大会であった。ドイツからは約30名、日本からは60名が参加してなごやかな集りとなった。荒川さんは英国時代に何度かドイツでの大会に出ており「多くの懐かしい方にお会いできた」と言う。

大阪でのJAIG年次大会に集まったメンバー達。大阪城を背に集合写真