[失敗談]

道の駅への移動運用を始めた頃、柳原さんは、初めてモービル用のロングホイップアンテナを作った。駐車枠内からアンテナをはみ出さない様にしながら、良好な飛びを確保するには、アンテナを上に延ばすしか方法がないからである。初代のロングホイップアンテナは全長5mで制作した。

作ったばかりのこのアンテナで運用したところ、想像以上に飛んだため嬉しくなって、運用終了後、そのアンテナを撤収し忘れたまま車を発進してしまった。1kmぐらい走行したところで、電話線に当たり、「何か屋根に当たったなあ」と思い、はたと考えたところ、5mのアンテナを付けたまま走行していたのであった。アンテナはグラスファイバーなのでしなって折れなかったし、電話線にも損傷は無く助かった。「お巡りさんに見つからなくて良かったです」と柳原さんは話す。

車は、当初、トヨタの「GAIA」、現在はトヨタの「WISH」に乗っているが、幸いなことに車の故障は一度もないという。故障はないものの、一度和歌山県内を走行中に追突されたことがあった。相手の免許証を確認し、警察に届けさせ、さらに保険屋にも連絡をさせた。3時間くらい時間をロスしたものの、自走はできたのでそのまま移動運用を予定どおり続け、神戸に帰ってから車を修理に出した。

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「WISH」で運用中。六甲山の鉢巻展望台にて。

「全国制覇を達成」

2003年に北陸3県から始めた道の駅への移動運用も、北海道遠征、沖縄遠征、離島(佐渡や五島列島)遠征をこなし、2007年になると、いよいよ全国制覇が近づいてきた。5回目の北海道遠征で、北海道の道の駅はすべて制覇し、「北方面はすべて終わったなあ」と思っていたところ、11月に北海道で新駅が1つオープンすることが決まってしまった。道の駅アワードのパーフェクトは、国土交通省が登録した(駅番号を割り当てた)全駅からの運用によって達成となる。そのため、まだ新駅がオープンしていなくても、登録されてしまうと、その時点で供用中の全駅から運用してもパーフェクトとはならないルールである。

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五島列島ではレンタカーを借りて運用。「遣唐使ふるさと館」駅にて。

10月末までに北海道のその新駅を除いたすべての駅からの移動運用を完了でき、あとは、新駅からの運用を残すだけとなった。柳原さんは、パーフェクトを達成すべく新駅オープンにあわせて、北海道の斜里郡清里町にある「パパスランドさっつる」駅に向かった。この1駅から運用する目的だけのために、再度北海道に渡ったのである。そうして2007年11月1日、オープンの日に無事に新駅からの運用を完了し、この日をもって、現存する全駅868からの運用を完了。パーフェクトを達成した。

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パーフェクトを達成した「パパスランドさっつる」駅のスタンプ。

[パーフェクトの維持]

その後は、道の駅アワードの発行元である久慈サンキスト倶楽部にアワードを申請し、同年12月16日付で、道の駅アワードQRVラリーアワード部門の全移動特記にて全国パーフェクト賞を受賞した。全国でも初めての受賞であった。その後、翌2008年3月まで新駅の発表が無かったため、4ヶ月間、パーフェクトを維持できた。

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道の駅アワードQRVラリーアワード部門の全国パーフェクト賞。(クリックで拡大)

道の駅は、毎年どんどん増加している。そのため、ある時点ではパーフェクトでも、新駅ができればパーフェクトは消滅する。しかも、国土交通省が登録した新駅がまだオープンしないうちに、次の新駅が登録されてしまうといったケースもあり、このような場合は、その期間パーフェクトが達成できないという状況になる。また、新駅登録の発表は年に何度もある。そのため、柳原さんは4ヶ月間パーフェクトを維持できたが、「こんなに長期間維持できることは珍しいケースです」と話す。

2008年3月までパーフェクトを維持した後、柳原さんは、その後の新駅も回っているが、上記の理由などで、再びパーフェクトを達成するには至っていない。「道の駅はどんどん増えるからおもしろいんです。廃業によって消滅する駅もあります。」「かつてはDXCCに熱中していましたが、DXCCも増えたり減ったりするからおもしろいんです。行き着いてしまうのは、おもしろくありません」、「DXCCはQSLカードの回収にお金がかかりますが、道の駅への移動にもお金がかかります。どちらも同じですね」と話す。

[新駅の情報収集]

柳原さんは、インターネットを使って、未登録の道の駅の情報などを収集し、次の移動運用の計画を立てている。道の駅を作るには、自治体や農協が絡んでいるケースが多いので、自治体や農協のホームページから情報が収集できる。それらのホームページでは、ここを道の駅にすべく検討しているという記事が書かれているからである。早い場合は登録の1年も前から情報が掲載されていることもある。

その他、移動運用の仲間から、「あのへん工事してるで」といった情報も入ってくるので、参考になるという。しかし、できると予想していても必ずしもできるものではなく、「できなかった例もこれまでに多々あります。」と話す。登録された新駅については、なるべく効率よく回れるように遠征計画を立てている。

[再びパーフェクトを目指して]

2009年現在、柳原さんは沖縄の2駅を残すだけとなり、再びパーフェクトが近づいてきた。「もちろんまた沖縄に行ってきます。次回は、ウィークリーマンションでも借りて、1ヶ月間ほど行ってこようと考えています」と話す。そんな中、2009年7月31日には更に新駅が15駅登録され、そのうちの数駅は、翌年の春頃にオープン予定のため、「年内のパーフェクト達成はお預けになりそうです」と柳原さんは話す。