[近畿大正会アワード]

近畿大正会では、日本の道アワードの他に、もう2種類のアワードを発行している。「近畿大正会アワード」と「JH3YAA 10エリア特別賞」である。「近畿大正会アワード」は、「日本の道アワード」を含む3種のアワードの中で一番歴史のあるアワードで、基本ルールは「近畿大正会メンバーを含む大正生まれの局50局との交信」である。ただし、近畿大正会メンバーについては大正生まれでは無くても良いという特約がある。つまり、近畿大正会メンバーと、会員外の一般局で大正生まれの局を合わせて50局と交信し、QSLカードを得ることで完成する。このアワードは紙の賞状ではなく特製の盾が贈られる。

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近畿大正会アワードの盾のデザイン。

アワードは、基本の「近畿大正会50局賞」の他、100局賞、200局賞、300局賞、400局賞、500局賞までの6種類が用意されている。かつては、さらに600局賞から1300局賞まで(ただし900局賞は無く、代わりに888局賞)が用意されていたが、これからの時代に、600局賞以降の完成は不可能に近いことから、2009年の役員会で、上限が500局賞に決まった。

[JH3YAA 10エリア特別賞]

次に、「JH3YAA 10エリア特別賞」は2009年1月1日から発行を始めた、3種の中では一番新しいアワードで、ルールは「日本の全10エリアから運用するJH3YAAとの交信」である。具体的にはJH3YAA/1からJH3YAA/0まで10交信を行うことで完成する。なお、このアワードも「日本の道アワード」と同様、2007年1月以降の交信を有効としている。

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JH3YAAのQSLカード。

このアワードのユニークな点は、QSLカードの取得を条件としていないことが挙げられる。その理由は、JH3YAAは近畿大正会の社団局なので、すべてのログは、アワード発行者である近畿大正会が持っている。これによって、アワード申請書に記載された交信事実の確認は、近畿大正会の事務局にある電子ログデータで容易に照合ができるからである。

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JH3YAA 10エリア特別賞。

[アクティビティの維持]

ひとつの社団局の、全国全エリアからの移動運用と交信するにはかなり難しいものの、2009年11月現在ですでに約20件の申請があったという。これは全国のメンバーが協力して、アクティビティを維持しているからである。当初は、柳原さんと宮本さんが全国を走り回っていたが、現在では、全国に無線機と免許状をワンセットにして「では1ヶ月がんばって下さい」といって送付し、基本的に月単位で各エリアで持ち回り運用を行っている。

その結果、全エリアで各2〜3名ぐらいずつ、全国で20名強のメンバーによりアクティビティが支えられている。その効果もあって、2007年以降のJH3YAAののべ交信局数はすでに30000QSOに達している。それでも、機器発送の手間や経費もバカにならないし、度重なる発送で機器も傷むため、一案として、機器を10台集めて変更申請で追加し、全国の各エリアに1台ずつ配備するような方法も考えているという。

近畿大正会では、2008年より「日本の道アワード」、2009年より「JH3YAA 10エリア特別賞」の発行を始めて以来、新しい入会者は3エリア以外が多くなってきた。特に移動運用に関心のある局が多く、まさにアワード効果といえるだろう。

[活発な活動]

近畿大正会では、アワードの発行、移動運用の他、毎年2月に「近畿大正会コンテスト」を開催している。これは開催期間(1週間)が決められているだけで、細かいルールはないが、近畿大正会の会員とより多く交信することで高得点が得られるようになっている。そのためメンバーのアクティビティの向上、ひいては、アマチュアバンドの活性化を目的としたコンテストであるが、もろちん会員以外の参加も自由である。柳原さんも入会後は毎年参加している。

その他の活動としては、ロールコールの開催がある。近畿大正会では、現在3エリア内に5支部と、その他のエリアをまとめて1つの支部とした合計6つの支部があり、VHF帯では支部毎の開催。HF帯ではもちろん全国参加型である。特に7MHzでのロールコールは月曜から金曜まで毎日開催されている。

また、ジャンクの有効利用という活動も始めている。長くアマチュア無線をやっていると、がらくたが貯まってくる。それらのジャンク(不要品)を会に寄付してもらう。それを会がジャンク市などで販売し、得られた対価を移動運用のバックアップなど、支部の活動費に充てるというもの。現在、テストケースで始めているが、本人にしてみれば捨てるつもりものが会に貢献できるとあって好評という。なお、将来アンテナやタワーの処分については業者と契約して対応する予定をしている。

「このような活動は、100人規模のクラブでないとできません。現在、近畿大正会には200人弱の会員がいるから、やれていますが、これから大正生まれの会員がどんどん少なくなっていくでしょう。若い会員が気軽に入ってこられるようなクラブにし、会員数を維持していかないといけません」と話す。

[その他の所属クラブ]

柳原さんは、近畿大正会の他に、生活拠点の地域クラブである神戸クラブ、さらに、地元福井の福井72クラブに所属している。神戸クラブは、1960年の創立で来年50周年を迎える歴史のあるクラブで、クラブ報は創立以来途絶えたことがないという。「メンバーの平均年齢は60歳を超えていますが、アクティブなメンバーが多く、月次のミーティングはもちろん、ハードの制作、FOXハンティング、さらには移動運用など、常に動こうとしているところが良いんです」と話す。

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神戸クラブのミーティングで、スモールループアンテナの説明をする柳原さん。

柳原さんは、神戸に転職してきて以来のメンバーであり、ミーティングや、毎年8月のフィールドデーの移動運用にはできる限り参加するようにはしているが、最近は近畿大正会の方にエネルギーを集中しているため、担当となっているホームページの管理などは、他の会員に頼んで担当をやってもらっている。一方、福井72クラブの方は現在会長を務めているが、「こちらもあまり積極的に参加できていません」と話す。

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神戸クラブのホームページ。