[2エリアD-STAR協議会]

2エリアでのD-STARネットワーク構築準備を始めるにあたり、木村さんは地方本部に2エリアD-STAR協議会(D-STAR2)を作ったが、同協議会では、D-STARネットワークが稼働を開始した後も、D-STAR全体のアクティビティ向上を目的として様々な活動を継続して行っている。

まずはホームページを立ち上げた。このホームページは適時更新が行われ、常に最新の情報が掲載されている。なかでも全国レピータリストは、新しく稼働したレピータの周波数やコールサイン情報まで掲載されており、実際にレピータを使って運用する際に大変役立っており、D-STAR愛好家の間では必見のページとなっている。

D-STARのホームページに掲載されている全国レピータリスト(2006/11/12現在)

[メーリングリストとロールコール]

また、同協議会では「D-STAR初心者向けメーリングリスト」を開設している。このメーリングリストは、初心者にアドバイスを行うことを目的としたもので、「何度同じ質問をしてもよい」というルールに特徴がある。このため、後から加入した初心者でも、過去のログを見直して、これから行おうとする質問が過去に行われたかどうかを確認する必要はなく、迷ったそのときに気軽に質問できる。

先輩達は、同じような内容の質問に対しても、繰り返して親身な回答を行っていることから、これからD-STARを始めたいハムや、無線機は入手したがどのように運用したらよいか分からないハムにとって、気軽な相談相手となっている。2007年3月現在で「登録ユーザー数は200名に近づいている」と木村さんは言う。

さらに同協議会の活動には、毎週土曜日の夜に行われている「D-STARロールコール」がある。磯直行さん他がネットコントローラーとなって、ネットワークにつながっている全国のD-STARレピータから順番に声を出し、参加局との交信を行っている。大変参加しやすい雰囲気で行われているため、このロールコールへの参加がD-STARネットワークを使った初交信だったというハムも多い。

初心者向けD-STARメーリングリスト」登録ページ

[コンテストとアワード]

平成16年(2004年)7月、デジタル無線機を使用した回線混雑時の実際の運用の様子を調べることを主目的として「プレ・D-STARコンテスト」を開催した。このコンテストは東海地方本部の主催で行ったが、入賞者は全国に散在していたため、8月に東京ビッグサイトで開催されたハムフェアで表彰式を行った。ユーザーが増えた現在、「一部の局で回線が独占されてしまう恐れがあり、D-STARレピータを使用したコンテストの開催は難しくなっている」と木村さんは悩んでいる。このためコンテストの代わりに、QSOパーティのカタチで開催しようという案も出ている。

平成19年(2007年)1月からは「D-STAR JAPANアワード」の発行を開始した。このアワードは2種類(各30枚限定)あり、1つが「D-STAR10局賞」もう一つが「D-STARレピータAJD賞」である。「D-STAR10局賞」のルールは、DVまたはDDモードで異なる10局と交信するというもので、直接波で交信しても良く、レピータを使って交信しても良い。まさに入門者向けのアワードといえる。

D-STARレピータAJD賞

一方、「D-STARレピータAJD賞」は全国10エリアに設置されているD-STARレピータを使って交信するというもの。D-STARレピータが10エリア全てに設置されたため、発行が可能となった。しかし、エリアによってはアクティビティが高くないところもあるため、こちらのアワードの完成は容易ではない。にもかかわらず発行開始から2ヶ月も経たないうちに早くも1人目の達成者が現れたとのことである。「これらのアワードの発行によるアクティビティ向上の手応えを感じている」と木村さんは話す。
[その他の活動]

同協議会は対外的な活動にも積極的に取り組んでいる。各県の支部大会など、アマチュア無線関係のイベントへの参加はもちろん、アマチュア無線とは直接関係のない「防災ボランティアフェア」などでもブースを設けてD-STARのデモ運用、関係資料の配布等の活動を行い、アマチュア無線の楽しさと、非常時におけるアマチュア無線の有用性をPRしている。

木村さんらのD-STAR普及活動は東海エリアにとどまらない。D-STARレピータの開局・設置に関する相談、またD-STARレピータのネットワークへの接続の相談などへの対応は、全国が対象である。全国各地へのレピータの設置、さらには設置されたレピータのD-STARネットワークへの接続が、今後の普及に欠かせないと考えているからである。

今後の活動として、「東海地区の全D-STARレピータ管理者の横のつながりの強化を図りたい」と言う。1つのサイトが不調になった際には、皆で協力して解決していくことが目的だ。「そのためには少なくとも年に1回は定期的な会合の場を持ちたい」と次の戦略を考えている。