[参加目的]

郡山さんがコンテストに参加する目的は、入賞を目指すことの他にもう一つある。それはコンテストしか運用しない局と交信してQSLカードをもらうことである。数あるアマチュア無線のジャンルの中でもコンテストしか興味の無い局も実際におり、そういった局はコンテストの時しか運用を行わない。従ってそのような局とはコンテストで交信するしかない。中にはQSLカードは発行しないという局もあり、「相手がQSLカードに興味が無いのだから致し方ありませんが残念です」と話す。

JARL本部主催の四大コンテストであるオールJAコンテストなどでは、正攻法ではなかなか入賞できないが、これらのコンテストでは、初心者を対象としたニューカーマー種目、シルバーエイジを対象としたシルバー種目、若年層を対象としたジュニア種目などの設定がある。シルバー種目には、70歳以上のオペレーターがエントリーできるため、郡山さんは、最近この種目にエントリーすることが多い。

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オールJAコンテストの賞状。電信部門シルバー種目で九州エリア1位に入賞。

[シルバー種目]

シルバー種目は、シングルバンドの設定が無く、オールバンドで運用しないと上位にいけないため、シルバーエイジにとっては身体的負担が大きい。そんなこともあって入賞スコアの水準は一般部門と比べると低い傾向にあり、郡山さんは四大コンテストにおいても、シルバー種目でしばしば入賞している。「以前はコンテストにエントリーしさえすれば、自局のコールサインがJARLニュースに掲載されました。そのため入賞はしなくても、JARLニュースで自分の順位を確認するのが楽しみでログを提出していました」、「しかし、今では入賞局しか掲載されませんので、これも入賞を目指している理由のひとつになっています」と話す。

「JARLニュースにコールサインが掲載されますと、それが交信時の話題になることもあります」、「地方本部や支部主催コンテストの多くは、現在でも全参加者のコールサインが掲載されていますが、これも近いうちに入賞者だけの掲載になるでしょう」、「コールサインが掲載されなくなりますと、それを楽しみにエントリーしていた局がログを提出しなくなり、ひいてはコンテスト人口が減ってしまうかもしれません」と将来を懸念している。

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全市全郡コンテストの賞状。電信部門シルバー種目で全国2位に入賞。

「今でもインターネット経由で結果を見られない局も少なくなく、それらの局がコンテストへの興味を無くしてしまわないためにも、ぜひ全員のコールサインを掲載して欲しいと思っています。」と話す。

[アベック優勝]

夫婦で同じコンテストに参加する場合、今では郡山さんがセカンドシャックから運用し、洋子夫人が自宅シャックから運用するので、同時に同じバンドにオンエアしても全く影響がないが、セカンドシャックを作る前は2局とも自宅から出ていた。郡山さんの運用デスクと、洋子夫人の運用デスクは別々で、アンテナも複数あるため運用バンドが異なれば影響もそれほどではなく、同時運用も可能ではあったが、同一バンドの同時運用は相当な影響があって実質的に不可能であった。

2000年の長崎県コンテストでは、郡山さんが電信部門、洋子夫人が電信電話部門にエントリーし、2局とも自宅シャックから運用した。どうしても同じバンドを運用する必要があるときは、声を掛け合って交信するタイミングをずらして対応したという。一生懸命運用した結果、2局ともそれぞれ1位となり、初めてアベック優勝を果たした。

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アベック優勝を果たした2000年長崎県コンテストの賞状。

そのため、その年の長崎県支部大会に出席し、直接賞状をもらう予定にしていた。しかし、支部大会の直前に義理の父親が他界し、支部大会の日に葬式が重なってしまった。そのため、やむなく同じクラブに所属する友人に頼んで代理で受け取ってきてもらった。それ以降は、長崎県コンテストに関わらず、どちらか一方が優勝することはあっても、2度目のアベック優勝は達成できていない。そのため、「折角のチャンスだったのに」と少々残念がる。

[複数コンテストに同時エントリー]

4月初旬に開催されるこの長崎県コンテストは、いつも和歌山コンテストに重なっているが、郡山さんは、毎年両方のコンテストに参加している。長崎県コンテストは土曜日の20時から始まり日曜日の15時に終わる。一方の和歌山コンテストは日曜日の9時から21時の開催である。そのため、土曜日の20時から長崎県コンテストを始めれば、和歌山コンテストが始まる頃には、ほぼやり尽くしているので、和歌山コンテストにエントリーできる。仮に長崎県コンテストを最後の15時まで運用しても、それから和歌山コンテストを始めれば21時まで6時間あるので十分に楽しめる。

「和歌山コンテストではこれまでに3回ほど入賞して、副賞の梅干しをいただいています。梅干し以外にも、高級な羊羹を贈っていただいたこともあります」、「地方のコンテストでは副賞がいただけることもありますので、それもコンテストの楽しみです」と話す。

DXコンテストについては、参加している海外局を呼んでナンバー交換は行っているが、これまで一度もログを提出したことがないという。DXコンテストに電子ログでエントリーするには、多くの場合、世界標準であるキャブリロフォーマットによるログ提出を要求される。コンテスト用のパソコンソフトで交信ログを入力する場合は、簡単にキャブリロフォーマットによるログが作れるが、紙ログを使っている郡山さんにとっては、キャブリロフォーマットによるログの作成はハードルが高いことが原因である。

[現地乗り込み]

最近、長崎県コンテストには、7M3QQP高橋さんが千葉県からわざわざ長崎までやって来て、県内局として参加する。タダでさえ参加者が少ないローカルコンテストにとって、「このように、県外から県内に乗り込んで参加してくれると、コンテストの活性化になり嬉しいことです」と話す。「実は高橋さんと私は誕生日が同じなんです。毎年7月にバースデーコンテストという名の、コンテストナンバーに誕生日を送るコンテストがありますが、そのコンテストで偶然お会いした時に、誕生日が同じ事を知りました」、「私は忘れてしまっていたのですが、ある時、道の駅でアイボールQSOを行った際、高橋さんからの方から声をかけてくれました」と話す。

かくいう郡山さんも、8月のオール佐賀コンテストには、最近では佐賀県内に移動し、県内局として参加している。「佐賀県はハム人口が少ないですから、活性化のために移動します。しかし8月は暑いので大変です」と話す。

[コンテストでも縦ぶれ電鍵]

郡山さんは、現在、主に2種類の縦ぶれ電鍵を使用している。ハイモンド社のHK802とHK702である。自分が一生懸命CQを出す4月の長崎県コンテストや、11月のオール九州コンテストの時などは、タッチが良く疲れにくいHK802をセカンドシャックに持って行くが、それ以外のコンテストや、通常の移動運用には、廉価版のHK702を持って行く。移動中にHK802を落として壊したりしてしまうと困るからだ。「疲れても手打ちで一生懸命CQを出しています。ただし電信ですと、運用中にパンなどを食べることができますので助かります。電話ではこうはいきません」と話す。

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セカンドシャックで使用中のHK802。

2010年のオールJAコンテストには、電信部門のシルバー種目に参加した。コンディションの良かった14MHzを中心に運用し、270〜280局とナンバー交換したが、日曜日の15時頃になると、すでに交信済みの局ばかりになったため、そこで撤収した。もちろん全ての交信は縦ぶれ電鍵で行い、ログは手書きだった。「残念ながら、50MHzでは1局もできませんでした」と話す。