[道の駅]

郡山さんは、道の駅アワードにも挑戦していることから、移動運用に道の駅を利用することも多い。リクエストがあれば、市郡サービス同様に、道の駅のサービスに出かけることもある。2009年4月18日には長崎県松浦市の鷹島に新駅「鷹ら島」がオープンした。この鷹島には従来、九州本土とつながる橋が無かったが、4月18日に鷹島肥前大橋が開通して九州本土とつながった。それに合わせた道の駅のオープンであった。

郡山さんは、新駅オープン前日の17日にフェリーに乗って鷹島に渡り、オープン前の道の駅の駐車場に乗り入れて新駅サービスを行った。道の駅アワードのルールでは、駅が開業する前でも、国土交通省が新駅として登録し、駅番号を割り当てた時点で有効となる。そのため、オープン前日の運用でも問題はなかった。翌18日に鷹島肥前大橋が開通し、「鷹ら島」駅がオープンすると、郡山さんはさっそくQSLカードに駅のスタンプを押しに売店に行ったが、残念ながらスタンプはまだ用意されていなかった。やむなく、帰途につき、開通したばかりの橋を渡り帰ってきた。

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鷹島肥前大橋の写真を使った郡山さんのQSLカード。

後日スタンプだけ押しに「鷹ら島」駅に出かけたところ、上等な石で作ったスタンプが用意されていた。スタンプにはモンゴル語でなにか文字が彫ってあったが、石だったため上手くQSLカードに押せなかった。それ以降はスタンプを押すためのゴムマットを購入して持ち歩き、堅いスタンプや、下の悪いところではゴムマットを敷いて押印しているという。時にはスタンプ台が乾燥している事もあり、インク補充のリクエストをしてもなかなか対応してくれないケースがあるため、最近ではスタンプ台も持ち歩いているという。

[おおき駅]

2010年4月6日には福岡県三潴郡大木町に道の駅「おおき」がオープンした。郡山さんは、開業前に様子を見に行った。すると、現場は工事の真っ最中であったが、うまく駐車場に乗り入れることができ、工事車両のとなりに駐車して試運用を行った。さすがにダイポールアンテナは展開できないため、モービルホイップを使ってこぢんまりと運用したという。駅はすでに国土交通省に登録されていたためこの交信も有効であった。

オープンの日には自宅を朝4時に出発して「おおき」駅に向かった。主目的は先に運用した分のスタンプの押印であったが、駅に到着すると知り合いの局がすでに運用を行っていた。幸運にもそろそろ撤収するとのことで、郡山さんが引き継いで「おおき」駅から運用することになり、ダイポールアンテナを展開して運用を行った。「このように比較的近い駅なら、後日スタンプを押しに行けばいいので、オープン前に運用することもできますが、あまり遠いところは無理ですね」と話す。

同年3月26〜28日に姶良市の新市サービスを行った後、立ち寄った出水郡長島町にある道の駅「長島」では、たまたまスタンプが整備中か何かの理由で用意されていなかった。そこは鹿児島県のため、そうそう簡単にスタンプだけ押しに行けるところではない。そのため、道の駅というアナウンスは行わずに、単なる長島町移動として道の駅から運用を行ったという。

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東北への遠征中、山形県「白い森おぐに」駅で運用。

[アイボールQSO]

道の駅の移動運用でおもしろいのは、いきなりアイボールにやって来る局があることだという。道の駅からの運用では、駅名をアナウンスするため、正確な運用地点が相手局にも分かる。そのため、いきなりの訪問を受けることがある。「そういう意味でも、運用場所のごまかしが利かないのは良いことです」、「スタンプが必要なので、必ず行ったことを証明できることも良いですね」と、郡山さんは話す。

数年前、大分県中津市にある「やまくに」駅でのこと。ダイポールアンテナを張るスペースが無かったため、やむなく市販のモービルホイップアンテナで運用した。地元の局がアイボールにやってきたが、短いアンテナなのでなかなか見つけられなかった様子で、「こんなアンテナでやっていたのかね」と言われたことがあった。

郡山さんはいつも夫婦で移動運用を行うが、自分たち2局間で交信を行うことは敢えて行っていない。交信を行ってもルール違反ではないが、それをやってポイントを増やしてもおもしろくないことを理由にあげる。そのため、「自分たちが運用した駅で、まだ交信できていない駅は多数ありますよ」と話す。

[7MHz主体]

サンスポットサイクルボトムの現在(2010年)は、コンディションも悪く、21Mに出ている局はほとんどいないため、移動運用では7MHzを主体に運用している。7MHzSSBでJA6FXL、7MHzCWでJA6FOFと両方の局と交信する局も多い。ときどき洋子夫人がSSBで運用していると、「ご主人と代わって欲しい」というリクエストを受けることもあり、そのような場合は、郡山さんはマイクを握って気軽に応えている。

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西松浦郡有田町で7MHz運用中に写真を使った洋子夫人のQSLカード。

3年ほど前のこと、天草市のサービスのため、フェリーに乗って熊本県の天草島に渡った。天草市では事前に無線をやらせてくれる民宿に予約を入れておいた。部屋も1階の隅を確保してもらった。天草市に到着後、さっそく民宿の芝生の庭に7MHzのダイポールアンテナを張って運用を始めたが、バンド中に「パタパタパタ」というノイズが出ていてさっぱり交信ができず、早々に引き揚げざるを得なかった。このように時には7MHzですら使えないこともあるいとう。

[職務質問]

郡山さんは、運用中に警察官から時々職務質問を受けることがある。自宅近辺の移動であれば、地元の警察官とも顔見知りになっており、挨拶程度で済むというが、初めて行く地域から運用している場合は、免許の提示を求められる。運転免許の提示だけで済むこともあれば、無線従事者免許を提示させられることもある。一度、「何をやっているんですか」と聞かれ、「アマチュア無線です」と答えたところ、「では免許を見せてください」と無線免許の提示を求められたため、「アマチュア無線技士の免許は持っていないんです」と答えたところ、困惑されたことがあった。もちろんすぐに通信士の免許を提示して事情を説明したところ、警察官は笑っていたという。