1.はじめに

いつもの事なのですが、新しい事を始めた頃は一時的に前のめりになり、次々に計画を進めてしまいます。もちろん全てが上手く行くはずもなく、つまずく事も良くあります。私に限らず、普通はそうだと思います。何かを始める時には勢いも必要ですので、仕方ないのでしょう。後で気が付くと、先にこんな冶具を作っておくべきだった、なんて考えるのは実は良くある事です。始めた時には良く見えていなかった全体像が見えてくると、「やっぱり作っておくべきだった」とやっと気が付くのです。そして「あ~失敗した」とつぶやきながら後戻りをし、記憶を巻き戻しながら作る事となります。

そこで紹介するのが、写真1のPSoC用テストボードです。順序が完全に逆ですが、PSoCのMiniprogでソフトを書き込み、小型のブレッドボードで簡単な動作チェックを行う事のできるテストボードです。一応PSoCのシリーズとしては、作った順番どおりに紹介しているのです。

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写真1 このようなアルミ板上に作ったテスト用のボードです。

2.テストボード

テストボードなのかアダプタなのか良く解りませんが、AVRなどでも動作チェックと書き込み用の専用ボードを作っていました。全く同じ考えです。何しろ、このような作業をしていると写真2のように全部をブレッドボードで組立てる必要があります。終わった後の処理にも困ります。壊したあとで相当期間が経過してから「また使いたかったのに・・」となり、「組立てるの面倒」という最悪のパターンを繰り返す事になるわけです。

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写真2 全部をブレッドボード上に組んでいるところです。

このような事で、なるべく簡単に多くのPSoCの書き込みとテストをするのが目的となります。もちろん同じ回路になるはずがありませんので、ある程度はジャンプワイヤーでブレッドボード上の配線をするのは仕方ありません。大規模な回路は少々無理という事は、充分に承知の上で作り始めています。自然と何となくの仕様も決まりますが、趣味の世界ですので明確に決めるはずもありません。

3.回路

ほとんど回路でもないのですが、図1のようにしました。これはCQ出版社の「PSoCに目覚める本」にある「実験ベンチ」や「アダプタモジュール」を多少アレンジしたものです。PSoCには8ピン、20ピン、28ピンの3種類があります。どのICの書き込みもできるように、ジャンパーピンで電源を選択します。20ピンは見かけないようなので、8ピンと28ピンだけで十分なのかもしれません。電源の選択もジャンパーピンを使わずに、全てジャンプワイヤーで接続しても良いのかもしれません。

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図1 回路図です。(※クリックすると画像が拡大します。)

28ピンになると外付けの回路も多くなります。どちらかと言えば、本機はソフトの書き込み用です。8ピンではNo.138などで紹介したAF発振器等の簡単な機能でしょうから、本機で動作までチェックできます。そのために単3×2本の電池を乗せました。書き込みだけなら電池は不要です。書き込み用の端子を設け、Miniprogを接続するようにしています。まあ、外部ブレッドボードを用意して作業するよりは、多少は効率が良くなるでしょう。

もちろん、外部回路が複雑になる場合のテストは簡単ではありません。そのような場合には、回路にプログラマーを接続する端子を設けているはずです。極端に考えれば、8ピンの専用としても良いのかもしれません。

4.作製

写真3は集めた部品です。この他に全体を載せるアルミ板があります。簡単なものですが、図2の実装図を作ってからハンダ付けを始めました。アルミ板に電池ボックスと基板と超小型のブレッドボードを固定して完成です。後々の事を考え、間違ってもMiniprogを逆接しないようにしておきます。そのためコネクタが入らなければベストなのですが、最低でも端子の表示をしておくと良いと思います。写真4のようにテプラで表示しておきました。

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写真3 集めた部品です

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図2 実装図です。(※クリックすると画像が拡大します。)

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写真4 端子の表示をテプラで行っています。

5.使用感

No.138で作ったAF発振器程度であれば、出力にコンデンサを付けるだけです。これはブレッドボード上にすぐにセットできます。この様子が写真5になります。テプラで表示をしたのがこの後でしたので、少々締まりが悪いです。書き込みと動作チェックが同時に、しかも簡単にできます。これで、とても簡単にICが作れるようになりました。

本機はPSoCを始める時点で作るものでしょう。私の発想は大体がこの程度で、基本的に後先を考えていません。

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写真5 書込みをしている様子です。