1.はじめに

 秋月電子から出されている、PICマイコン学習キットを紹介します。写真1のような学習用のキットです。実際に新居浜高専の教材として使用されているのかは知りませんが、こんな授業なら楽しいだろうなと羨ましく思います。

 コンピュータといえばフォートランという時代に、紙の上でコーディングだけをする授業がありました。全く面白くなかった事を思い出します。それに比べると、格段の技術の進歩と面白さを感じます。このような技術は無線機はもちろんですが、ロボットを始めとする各種エレクトロニクス技術を支えるものです。

 実は高校生になった息子に作らせようとしたのですが、いつまで経っても作らないので私が先に作ってしまう事にしました。

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写真1. このような学習用のキットです。

2.構成

 特に難しい構成とか回路ではありません。CPUがあって、周辺に表示用のLEDやスイッチ等のIOが繋がっているオーソドックスな回路です。しかしよく見ると、一つのボードに色んな事が試せるように、たくさん押し込んであります。何気なくCPUと同時に、デジタル回路の基本的な作り方を教えている事に気が付きます。さすがに教材という事でしょうか。CPUやデジタルが苦手だった学生時代の私なら、間違いなくネを上げていました。

 少ないポートを上手に利用して、様々な事ができるようになっていますので、逆に言えば他の事に転用がやり難い事もあります。しかし、ソフトの勉強用と考えるなら、これほど面白いものはありません。ジャンケン、早押し、カウントアップ、ルーレット等々・・いくらでも生徒に出す課題が浮かんできそうです。

3.作成

 どこから作れというような指定はありません。写真2がこのキットの全部品です。このくらいの規模ですので、あまり大きい部品から付けなければ、どこからでも大丈夫でしょう。私はICソケット、抵抗、コンデンサ、LEDと取り付けました。ハンダ付けをチェックし、最後にICを差し込みます。

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写真2. キットの袋を開けると、このような部品が入っています。

 授業ではどの位の時間をかけて作るのでしょうか。基板を作るだけだと1時間くらいで完成します。写真3が基板の完成したところです。

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写真3. 基板が完成したところです。

 このままでは通電中に机の上の金属部分に接触したり、静電気の影響があったり、少々危険かと思います。できればアルミ板とか生基板上にネジ止めしたいところです。最近は絶縁のゴムシートが市販されていますので、これを貼り付けても良いかと思います。

 なお、電源入力には単3×4本の電池ホルダーを接続しました。普通の単3だと電圧が高くなり過ぎます。ニッケル水素を使うと、4本の満充電で大体5Vちょっとになりますので、ちょうど良いくらいです。電池ホルダーへの線は切れそうですので、写真4のように固定しました。最近では100均でも入手できますので、気楽に使う事ができます。アルミ板に載せれば電池ホルダーも固定できますので、いっそうスマートで安定した構造になります。

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写真4. 切れやすい電池ホルダーの線は固定する方が良いでしょう。

4.動作確認

 SW1〜3を押しながら電源を入れます。すると、押し方によって8種類の遊びができるようになっています。遊びといっても、遊ぶにしては直ぐに飽きてしまう程度の単純なものです。これは、仕方ないでしょう。電子オルガンは多少音痴のようで、勝手に強烈なビブラートを効かせてくれたりします。あまり実用的なものではありません。昔々のカシオの電卓に付いていた、オマケのゲーム位ができないと面白くはないです。まあLCDが付かないと無理でしょうけど。

 この動作確認後に、ソフトの作成練習があるかと思います。実は楽しいのはソフトの開発ですので、ここから気合を入れて下さい。

5.使用感

 このようなキットはこれを作って終わりではなく、作った後こそがスタートです。マイコンボードは、ソフトを作ってこその楽しみですので、キットでLEDを光らせたり音を出しているだけではダメです。LEDを点滅させるだけのソフトとしても、自分で作ったソフトで動かすことが一番の喜びです。また一番楽しい事です。といっても、私自身このまま終わった作品が多々あったような気がします。