八丈島遠征を計画

QTC-Japanハムクラブ(JA1ZNG)の活動はOnlineとーきんぐNo.33「IC-706MKⅡGMを国境の島"対馬"に持ち込む」、No.69「国境の島 対馬でDXバケーションを楽しむ」、No.99「南の島グアム(KH2)DXバケーション」の履歴が示す通り、移動運用が好きなグループとして知られていますが、このほど10月1日~3日(2泊3日)、東京都八丈島八丈町への遠征計画が実施に移されました。羽田空港から全日空(ANA)のエアバスA320で約55分、有志5人(JH1VVW、JF1GUQ、JA1KJW、JA1XVY、JA1FUY)が参加しました。

八丈島

八丈島の面積は東京・JR山手線の内側と同じくらいと言われ、東山と西山の二つの火山が接合した北西―南東14㎞、北東―南西75㎞のひょうたん型の島で南方287㎞、東京から伊豆大島―利島―新島―式根島―神津島―御蔵島―八丈島―青ヶ島の順に伊豆諸島が並びます。青ヶ島へは八丈島からヘリコプタで往復できるとのこと。ただし、人気がありすぎて予約は難しいそうです。

八丈島へ55分

八丈島へのアクセスは羽田→八丈島空港 ANA直行便で約55分、船なら東京・竹芝桟橋→八丈島(底土港または八重根港)へ東海汽船の「橘丸」にて約11時間です。今回は忙しいメンバーが多いため5人とも飛行機便の利用となりました。空港には先着のメンバーによる迎えのレンタカーに乗って路上に出ると街路樹のソテツとハイビスカスの鮮やかな赤が歓迎してくれました。

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八丈空港にてJF1GUQ

空港レストランで遠隔操作

台風が日本に接近しつつあり、飛行機の欠航が懸念されましたので、一便繰り上げて八丈島空港へやってきました。レストランにて昼食を済ませてヒューレットパッカードのノートパソコンをバッグから取り出して電源スイッチをオンにしました。RS-BA1のRemote Utilityアイコンをクリック、サーバー一覧の[IC7700 direct]を選択、接続ボタンを押すと「接続中」になり、次に無線機一覧の[IC-7700]を選択後[接続]ボタンをクリック。RS-BA1リモートコントロールソフトを起動するので[Connect]ボタンを押すとPCのスピーカーから7MHz帯SSBの受信音が流れてきました。

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RS-BA1による遠隔操作の確認

固定局(山梨県南都留郡山中湖村)のアイコムのIC-7700をRS-BA1で遠隔操作をして良い結果が得られました。空港に無料Wi-Fiがないため、インターネットはスマホ(HuaweiのP9)のテザリングにて接続しました。念のため回線速度を"BNRスピードテスト"で測定すると8Mbpsを確認できました。レストランの中なので客の迷惑を考えてイヤホンマイクを装着してオペレーションはやりませんが、遠隔操作による交信は十分に可能な状況にありました。山中湖村シャックのIC-7700と3.5/7MHzフルサイズダイポールは十分な性能を発揮していました。リモートコントロールによる電源スイッチON/OFF、メインダイヤル、バンド切換、TUNER、TRANSMITなどすべての動作を確認しました。

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スマホのテザリングでインターネットに接続

ハウスタンポポ

東京都八丈島八丈町大賀郷のペンション「ハウスタンポポ」から移動運用を行いました。運用地の地形は適度に町から離れた西向きの海辺の崖の上になり、ロケーションが良く国内的にもDX向けにも良さそうです。部屋の窓から八丈小島が間近に眺望でき、180度以上がオーシャンビューの贅沢な環境でした。「くさやが食べたい」と注文をすると、ご主人が買い出しに出かけて夕食の一品に加えてくれました。キンメダイの刺身など海の幸のほか、島のアシタバ、ハイビスカスの天ぷらなどの珍味が食卓に並びました。広い庭に面した部屋を3部屋借り、許可をいただいてベランダにアンテナを何本も張りました。宿代は朝夕2食付の@8,000円でした。

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海の幸がいっぱいの夕食

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ハウス・タンポポのべランダで記念撮影

無線装備

JA1XVY平野氏はICOMのIC-706 トランシーバーとオートアンテナチューナーAH-4にロングワイヤーを組み合わせて、ノートPCにインストールしたMMSSTVでSSTVを運用しました。また、JA1KJW中山氏がElecraftのK2に7/14/21/28 MHz、10/18/24 MHzダイポール、6m長つり竿2~3本、自作のHEXアンテナを用意してCWモードを運用しました。

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JA1XVYによるSSTVの運用

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JA1KJWによるCWの運用

島内観光

八丈島村は観光に力を入れており、魚釣りの客が多く、夏はダイビングと磯遊びに人気があります。銭湯感覚で浸れる七つの温泉のうちの一軒、樫立向里温泉「ふれあいの湯」(料金:大人300円)を訪ねました。ここは地元の人が毎日入浴に来るという人気の温泉です。建物には八丈島のスギやヒノキを使用し、総檜造りの大浴槽と露天風呂を備えています。泉質はナトリウム・塩化物強塩温泉、定休日:月曜日。ほかにやすらぎの湯、裏見ヶ滝温泉、足湯きらめき、ザ・BOONなどの温泉があります。

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八丈富士の中腹から滑走路、大賀郷方面を望む(JH1VVW)

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八丈小島に夕日が沈む光景

島内の交通機関は日に4往復のバスのみで、観光客はもっぱらレンタカーの軽自動車を使います。何軒かあるレンタカー店から「カーセンター」(八丈町大賀郷)を選び、軽自動車を3日間借りて港とハウスタンポポを往復しました。観光はレンタカーで八丈富士(854m)、南原千畳敷などを回り、途中、看板を見つけて黄八丈(きはちじょう)機織を体験できる織元「黄八丈めゆ工房」を訪ねました。黄八丈は、八丈島に伝わる草木染めの絹織物で島に自生している植物の天然染料で黄色、鳶色、黒に染め上げられた絹糸を平織りまたは綾織りに織り、縞模様や格子模様を作るもので、伝統的工芸品として国の指定を受けています。「黄八丈めゆ工房」の "めゆ"が気になり、由来を尋ねると「祖母の名前です。」と機織りの娘さんが答えてくれました。

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島内観光は軽のレンタカーが大活躍。品川ナンバーに注目!

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染織元「黄八丈めゆ工房」の機織りを見学

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溶岩が流れて固まった南原千畳岩海岸。遠くに八丈小島が見える

八丈島流人の祖・宇喜多秀家

折から大河ドラマ「真田丸」は豊臣から徳川へ政権が変わる様子を描いていて、八丈島に流された豊臣五大老の一人・宇喜多秀家(57万石の大名)に関心を持ちました。関ケ原の戦(1600年)に敗北して駿河久能山に幽閉、そして流罪(1606年)となったのが「鳥もかよわぬ八丈島」でした。赦免されないまま83歳で病死(1655年)した歴史がいまも息づいています。宇喜多秀家住居跡(大賀郷 東里)を訪ねましたが、記念碑と共に宇喜多秀家手植えのソテツが残されていました。

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宇喜多秀家住居跡の記念碑

あとがき

八丈富士(854m)、三原山(700m)、八丈小島(無人島)の景観に感動し、くさや、アシタバの天ぷら、豊かな海の幸を堪能した旅となりました。移動運用の成果はJA1KJWがCW にて260、JA1XVYがSSTV にて20 QSOでした。コンディションに恵まれない中、それなりに楽しめたと総括しています。また無線機と電源、アンテナ類は梱包して宅配便で自宅へ送ったほか、一部は全日空の"快速宅空便"を利用して自宅へ送りました。羽田空港からジェット機でひとっ飛び、東京都亜熱帯区八丈島を満喫した旅となりました。