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No.197 「本格的リモートシャックの構築」その2
IC-7700の設定
IC-7700ではサーバーPCを使わずに背面のLAN端子(RJ-45)にLANケーブルを接続し、宅内LANに接続します。写真の手前から伸びている青色の線がLANケーブルです。
IC-7700の背面にLANケーブルを接続
IC-7700のSETモードからLAN設定を呼び出す(※クリックすると画像が拡大します。)
LANケーブルでRS-BA1をリモートコントロールするには、IC-7700のSETモードに入り、いくつかの項目を初期値から変更します。上の画面はIC-7700のSETモードからLAN設定の項目を開いたところです。変更する箇所に▲▼のボタンで移動し、EDITボタンで変更箇所を指定します。この画面の設定ではIPアドレス:192.168.11.17/24となっています。末尾の24はサブネットマスクを255.255.255.0の24ビットにセットしたことを表します。ネットワーク構成でもそのような表記になっていますのでこれを覚えておきます。
この時、IC-7600と一つのネットワークで2台のトランシーバーをリモートコントロールする予定がなかったので、UDPは初期値の50001から50003になっていますが、UDPを変更することで共存することが出来ましたので、現在は50005から50007に変えて使っています。同様にIPアドレスも192.168.1.17/24に変えました。
次に、メインダイヤルを回して数字を変更します。文字入力は▲▼のボタンで該当の文字が表示されるまでAから順に送って、希望の文字が出たら確定し、次の桁に移る地道な作業を繰り返して完成させます。
IC-7700クライアント側の設定
クライアントPCの設定は「RS-BA1のマニュアル」35頁の「ネットワーク環境について設定する」を参考にしました。最初にPC名とインターネット回線を自分の環境に合わせます。PC名は、サーバーパソコンの名前となりますので、トランシーバーの型番やコールサインなどわかりやすい記述にしました。
サーバー登録の画面
サーバー登録ではネットワーク名に接続するときのプライベートIPアドレスを、外部から接続するときはグローバルIPアドレス(一例)を記入します。
RS-BA1 Remote Utilityの画面(※クリックすると画像が拡大します。)
サーバー登録を終えて画面左下の[接続設定]をクリックして表示される、IC-7700 (IC-7700 direct)の[デバイス設定]赤枠の仮想COMポート番号が未設定です。
IC-7700(IC-7700 direct)(※クリックすると画像が拡大します。)
ここの仮想COMポート番号をラジオボタンでCOM10を指定します。
仮想COMポート番号を指定する(※クリックすると画像が拡大します。)
現実に使わないような番号の方が仮想ポートらしいと思いCOM10としています。
RS-BA1 Remote Controlの画面(※クリックすると画像が拡大します。)
動作中のRS-BA1の画面です。いろいろなつまみやボタンがあり複雑に見えますが、一見して動作が分ると思います。逆に見慣れないボタンこそ、リモートコントロールに必要な「設定」を行うボタンとなります。
Remote Utilityが接続に成功すると「仮想COMポートは(10)です。」と表示されるのでRemote ControlのConnect Setの項目で使います。
Remote ControlのConnectボタンがオフの状態(RS-BA1の画面は表示されていて、周波数等の情報画面が消えている状態)でConnect Setをクリックして接続の設定の各項目を以下のように記入します。
接続設定の画面
オーディオデバイス(ボイスメモリー)は、クライアントPCに接続されている仮想デバイスを含めた音響装置です。デスクトップ画面右下(タスクバー)の音量調節アイコンを右クリックすると、再生デバイスの表示が次の画面になります。
再生デバイスの表示
これをヘッドセットに変更したのが下の画面です。
ヘッドセットに変更した画面
同様に録音デバイスもチェックします。そちらはマイクになっていてSSBで送信し、モニターして変調を確認しました。
Remote Control画面のMIC SETはIC-7700がどの経路で接続されているかで設定が異なります。先に紹介したIC-7600ではACC端子に音声をつないでいるので"ACC"を選びます。IC-7700ではLAN端子に音声を接続したので"LAN"を選びます。受信音が出ない、マイクからの音声がトランシーバーに届かない時は、サウンドデバイスの選択に間違いがあることが多いので、ここを点検します。
アンテナ切換
IC-7600はANT1に1.9MHzフルサイズダイポールアンテナと7~28MHzのトラップアンテナを接続しました。そしてANT2には10/28/24MHzのWARC 3バンド逆Vアンテナをつないであります。ANT1以外のアンテナはRS-BA1 Remote Controlのセットモードの[アンテナ]アンテナ切り替え許可をONにすることで利用できました。
セットモードの画面
IC-7700はANT1に3.5MHz~28MHzマルチバンドダイポールにデュプレクサをつなぎ、50MHz帯5エレメント八木アンテナを1本の同軸ケーブルに給電しています。ANT2は14/21/28MHzのHB9CVアンテナ、ANT3は18/24MHzのHB9CVアンテナを接続しています。
ANT1、ANT2、ANT3のアンテナ群
リモートコントロール・シャックの注意点
RS-BA1が正しくインストールされ、リモートコントロールする無線機の設定が一致している場合、クライアントPCからリモートコントロールすると、次のような動作になります。
クライアントPCからリモートコントロールする時はRS-BA1 Remote Utilityを立ち上げます。Remote Utilityが起動した時点でサーバーに接続しているので、[接続]ボタンをクリックしてトランシーバーに接続します。次にRemote Controlを起動します。もしConnectボタンをクリック前に、受信音が聞こえてきたら、すでにトランシーバーの電源が入っていることになり、変則的な動作になります。
この原因は前回の終了がうまくいかなかったことを示す異常な反応になります。通常はRemote Controlを起動し、Connectボタンを押してトランシーバーの電源がONになり、受信音が聞こえるのはそれからとなります。電源OFFは動作中にConnectボタンをクリックしてRemote Controlを終了します。この時に受信音が切れるのが正常動作です。
受信音が切れないときは何かの原因でリモートコントロールが正しく行われていないことを示しますから、再度Remote Controlを起動し、Connectボタンをクリックして、もう一度終了作業(トランシーバーの電源OFF)を行います。
この一連の動作をまとめると次のようになります。
終了する時は次のような順序になります。
となります。
RS-BA1でリモートコントロールする場合のトランシーバーはスリープ状態からの復帰になります。トランシーバーの電源スイッチがOFFの時は、リモートコントロールができません。
あとがき
この後、「本格的リモートシャックの構築」その3(完結編)へと続きます。項目はインターネット回線のチェック、RC-28リモートエンコーダー、SSTV・RTTY運用の構想、トラブル対策、午前3時の再起動、CW運用の感想、免許の変更届、いつでも監視できる環境を作る、などを予定しています。
参考資料:RS-BA1取扱説明書 RS-BA1導入ガイド(1)、(2) RS-BA1設定までの流れ FBニュース2013年5月号:無線機の遠隔操作―宅内LANを利用した構築例