Onlineとーきんぐ
No.200 「Android-x86 Live起動とハム用アプリ」
「ノートパソコンでAndroidアプリが起動する。」と知り、ネットブックのLenovo IdeaPad S10-2にAndroid-x86をインストールしてみました。Google Playから豊富なアプリをインストールできる上に、いわばキーボード付きのタブレットになります。タッチパネルではありませんが、マウスカーソルで難なく操作できます。
SDR Touch+ドングルでFM放送を受信中(Lenovo IdeaPad S10-2)
Googleは「Chrome OS を搭載するChromebookでAndroidアプリが動作するようになる」と発表していましたので、Android- x86 6.0-r3 (2017/01/03) を小型のPCにインストールしてみました。ベースがネットブックPCですから、キビキビと動いてくれます。
Android x86の「.img」形式、または「.iso」形式のファイル(655MB) は、Support Android x86 ( http://www.android-x86.org )から最新版のAndroid-x86 6.0-r3 (2017/04/24) がダウンロードできます。
ISOファイル
友人から次のようなメールが届きました。
「Android x86とPuppy Linuxが入ったCD-Rを郵送しました。インストールは次のWebサイト( http://eizone.info/android-x86/ )を参考にしました。 FujitsuタブレットPCのWindows 10を一掃してクリーン・インストールを実施します。」
≪Puppy Linux (パピーリナックス) をLive CDで起動して、[システム]の中にあるパーテーション変更ソフト[GParted]を開き、任意でパーテーションの作成、フォーマットを行う。≫(EIZホームページより)
の記述の通りに作業します。2枚のCDはいずれもCDのみで起動するので、本体のHDD(SDD)に変更を加えることなく、Android-x86がどういうものかをLive起動で試すことができます。
android x86-6.0-r2(左)とPrecise-5.7.1-JP-02-PAE(右)
Fujitsuタブレットの場合
始めにFujitsuタブレットSTYLISTIC Q550/C FMVNQ4LEにAndroid-x86でLive起動を試してみました。OSはWindows 7 ProをWindows10にアップグレードしてあります。内蔵のHDDは30GBと余裕がなく、しばらく使うこともなく放置されていました。このタブレットのUSBポートが一つなので、キーボード、マウス、光学ドライブを接続するためにUSBハブを用意しました。なお、Android-x86をインストールする際、Bluetoothとスクリーンキーボードが使えませんので、USBハブへの接続は必須になります。このタブレットPCの画面サイズは10.1インチ、メモリ2GBです。
FujitsuタブレットのAndroid起動画面
Live起動が成功したところで、Google Playのハム用アプリの中から、ARRLの "デジタルQST"(ARRL会員のみ閲覧可能)をインストールしました。次にハム用アプリの"CW Trainer"、"JT65 android"、"Droid–SSTV"、そして"SDR Touch"をインストールしました。なおDroid-SSTVについてはOnlineとーきんぐNo.170 「携帯情報端末でかんたんSSTV」Droid-SSTVを参照ください。
デジタルQSTの閲覧画面
HP Miniの場合
HP Mini 5103は10.1インチのビジネスミニノートです。デュアルコアインテルATOMプロセッサー、OSはWindows 7のところをWindows 10にアップグレードしてあります。USBポートに光学ドライブをつなぎ、CD (Android-x86-6.0-r2)をセットします。HP Miniの電源ONでインストールが始まります。言語(日本語)を選び、Wi-Fi 設定を済ませてGoogleアカウントでログインします。この時「@」は「Shiftキー+2」になります。Live起動により動作確認ができました。
システムの起動順位の一番上を選択
Google Playのアプリ選択画面(ミニノート)
ネットブックLenovoの場合
ネットブックと呼ばれるLenovo IdeaPad S10-2(2957)を試しました。画面サイズが10.1インチ、CPU Atom N270 1.6GHz/1コア、Windows XP Home Edition、メモリ容量1GB、重量1.2㎏です。PCの仕様はAndroid-x86に必要な要件を備えていますので、USB Flash Drive からAndroid-x86ファイルをインストールしました。Live起動による動作確認では、各アプリ共にキビキビと動作してPCが生き返った印象です。
ネットブックのAndroidホーム画面
Android x86(上)とPrecise-5.7.1-JP-02-PAE(下)USBメモリ
そこで、内蔵ドライブへのインストールを実行しました。始めにPrecise Linuxでネットブックの受け入れ準備を整えておきます。インストールのスタート画面でInstallation‐Install Android-86 to harddiskを選択して「Enter」、Choose Partition画面でda 、filesystemではex3をそれぞれ選択します。Sda(LinuxではHDD/SSDのこと)ドライブのフォーマットを聞いてくるのでYesが選ばれている状態でEnterキーを押すと、内蔵ドライブのデータが全て消去されます。次にGRUBブートローダーをYes、EFIGRUB2をSkip、QuestionはYes、Enterでインストールが開始されます。再起動で内蔵ドライブからAndroidのホームが起動します。
Google Playからダウンロードしたアプリ一覧
Lenovo IdeaPad S10-2 にSDR Touchの動作画面
ドングルの放熱対策
ハム用アプリの一例として、SDR Touchをインストールしました。USBポートにドングル(R820T SDR & DVB-T)を挿してFM放送を受信すると首都圏のFM局はもちろんのことFM補完放送のTBS(90.5MHz)、文化放送(91.6MHz)、ニッポン放送(93.0MHz)が東京スカイツリーから約30kmの地点に於いて、ドングル付属のホイップアンテナ(22cm)で良好な受信ができました。なお、近畿広域圏のFM補完放送は毎日放送(90.6MHz)、大阪放送(91.9MHz)、朝日放送(93.3MHz)が割り当てられています。
R820T SDR & DVB-Tの内部
このドングルは値段(1,175円〜5,950円)が手ごろな反面、放熱対策が不十分なところがあり、時間の経過とともに内部ICの温度(最高56℃)が上昇して受信周波数が大幅にずれる欠点があり、一部のマニアから玩具扱いにされていました。そこで受信周波数を安定させるための放熱対策を進めて、ICにリン青銅の放熱板を付けることで29℃まで下がり、結果、受信周波数の安定に成功しました。これらの放熱対策については別稿にて詳しく紹介する予定です。なお、ICの温度はINFRARED THERMOMETER(BENETECH GM320)により測定しました。
ドングルの内部温度を実測しました(協力:JF1GUQ)
放熱対策にリン青銅のヒートシンクを付けました(協力:JA1CVF)
まとめ
Android-x86によるPCの活用について、3種類のPCによりLive 起動を試みました。結果は、Windows 10にアップデート済みのFujitsuタブレットとHP MiniはAndroid-x86の効果が実感できないため、内蔵ドライブへのインストールを取りやめましたが、3台目のLenovoネットブック(OS:Windows XP)はAndroid-x86によりタブレットの代用品としても、それなりに使えることが分かりました。このことから2008年前後のローエンドPCの再活用に有効な手段との結論に達しました。