TOKYO MOTOR SHOW 2017 は10月27日から11月5日までの10日間、東京ビッグサイトで開催されて盛会裏に閉幕しました。1954年、第1回東京モーターショーを開催して今回が45回目になります。外国車の参加が少なくなったとはいえ、国産車の近未来がうかがえるコンセプトカーが見られるとあって、内外のメディアが熱気を帯びていました。そんな中、一般開幕に先立つ10月26日のプレスデーに「東京モーターショー2017」の会場を訪れて取材することができましたので、注目のコンセプトカーに絞ってレポートいたします。因みに入場料は1,800円 高校生600円、中学生以下無料、障がい者手帳をお持ちの方(要手帳提示)本人及び付き添い者(車いす利用者の場合2名まで)は無料でした。

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東京モーターショー中央ゲート(東京ビッグサイト)

東京ビッグサイト

アマチュア無線界のビッグイベント"ハムフェア2017"は、西展示棟3・4ホールで開かれましたが、モーターショーも同じ会場で開催されました。モーターショー2017は西1、3、4ホール、東1~8ホールを会場に一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)が主催するビッグイベントです。事前にプレスカードを入手していましたので、西1階の入場ゲートを通り、会場案内図掲載の日本語版ガイドブック〈A4版110頁〉を手に取り、まずはプレスセンターへ直行して取材スタッフと合流しました。

プレスセンターは会議棟1Fレセプションホールがワークスペースとして用意され、デスク780席、ラウンジ136席、ロッカー942名分、プレス専用フリーWi-Fi、すべてのデスクにLAN設置(有線・無線)、電話数台、モノクロFAX複合機、カラープリンター等が設置されていました。カタログや各社の取材キットを集めるために役立つ取材バックを受け取り、早朝なので軽食と飲み物で腹ごしらえをしました。周りではノートPCに向かう記者やカメラ等機材の準備をするカメラマンとそのスタッフ、そして外国メディアの記者たちが右往左往する、プレスセンターは喧騒に包まれていました。

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BEYOND THE TMS日本語版(会場案内図掲載)

「自動車ガイドブック2017-2018」

ラウンジの一角で「自動車ガイドブック2017-2018」の引換券を配布していました。自動車ガイドブック2017-2018 (vol.64)はA4版、312頁の大冊なので持ち歩くのが大変なので会場を後にするときに受け取ることにしています。このガイドブックはモーターショーの開催に合わせて発行されるもので乗用車、商用車、二輪車のカタログを網羅しているほか、最新の自動車技術、安全技術、環境技術など最新テクノロジーを知ることができます。

「自動車ガイドブック2017-2018」は全国の書店、通信販売のブックサービス、または東京都港区の日本自動車会館1階の自動車図書館で販売しています。定価1,111円+税。なお、電子版はマガストア(http://www.magastore.jp/)から入手できます。

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自動車ガイドブック2017-2018と取材メモ帳、ボールペン

注目のコンセプトカー

モビリティ(乗り物)の未来像を提案するコンセプトカー、並びに市販直前の最新モデルが見られます。世界中の自動車メーカーが次世代自動車の目標として掲げる「事故を起こさない車を実現すること」に向けて、人的ミスを防ぐ運転支援の実用化が見どころになっています。以下、選りすぐりのコンセプトカーを順不同にて紹介いたします。

※デザイン的、あるいは機能的に近未来の自動車の姿を示す実験車ないしは試作車のこと。

smart vision EQ fortwo

smartの未来の姿を体現したsmart vision EQ fortwoです。ステアリングとペダルがなく、AI(人工知能)と連携して車両間、他の利用者、歩行者などとコミュニケーションをとり、完全自動運転が可能です。クルマ自体がユーザーの希望する場所まで迎えに来てくれ、車両が使用されていないときは自動で充電ステーションに移動します。(メルセデス・ベンツ)

※社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。

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完全自動運転が可能なsmart vision EQ fortwo

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smart vision EQ fortwoの車内

TOYOTA Concept-愛i

未来の愛車を表した「TOYOTA Concept-愛i」シリーズを代表する四輪モデル。人工知能を応用し、ドライバーの感情認識や嗜好推定を行う「人を理解する」技術をコアに自動運転技術を組み合わせ、ドライバーを安全に導きます。また、「人を理解する」技術とエージェント技術を組み合わせることで、ドライバーの気持ちを先回りした提案を可能とします。

※人間の代行機能として賢さを強調した技術。

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「TOYOTA Concept-愛i」シリーズを代表する四輪モデル

NISSAN IMx

将来の「ニッサン インテリジェント モビリティ」を見据え、「クルマとドライバーが繋がり、クルマで移動したくなる」そんなクルマを具現化したのが「NISSAN IMx」です。コンセプトは「Together we ride」。クルマを意のままに操る喜びと移動の楽しさ、クルマと過ごす時間を充実した生活に変える、身近で頼りになるパートナーです。

※日産自動車の経営方針、及びその経営方針による装備の総称。

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NISSAN IMx「ニッサン インテリジェント モビリティ」

SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT

「VIZIV PERFORMANCE CONCEPT」は、スバルの将来像を示すコンセプトモデル。低重心と硬質なボディー、力強く張り出したフェンダーから放出されるエネルギーをスバルのデザイン哲学「DYNAMIC×SOLID」で表現しました。水平対向エンジンとシンメトリカルAWD(全輪駆動)により高性能車を実現するとともに、アイサイト(運転支援システム)による自動運転技術を搭載。走行性能と事故ゼロを目指した安全性能を融合させています。

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SUBARU VIZIV PERFORMANCE CONCEPT

マツダ 魁 CONCEPT

「マツダ 魁 CONCEPT」は、次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」、並びに次世代車両構造技術「SKYACTIV-Vehicle Architecture(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)」、魂動デザインを採用した次世代のクルマづくりを体現したモデルです。

※マツダが2012年以降の新型モデルに採用している車体デザインの総称。魂動(魂の動き)KODO、マツダの造語。

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「マツダ 魁 CONCEPT」

Honda Sports EV Concept

EV専用プラットフォームを採用し、コンパクトなボディーに電動パワーユニットを搭載。モーターの力強く滑らかな加速と静粛性、低重心による優れた運動性能を実現しました。さらに、AI技術を用いた「Honda Automated Network Assistant」を組み合わせ、人とクルマがひとつになれる次世代のスポーツカーデザインです。

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Honda Sports EV Concept

SUZUKI e-SURVIVOR

スズキのコンパクトSUVジムニーやエスクードを継承した未来のコンパクトSUV。ラダーフレームと軽量・コンパクトボディーに電動化のもたらす四輪独立駆動の4WDの可能性を追求したコンセプトカーです。

※ハシゴ型、またはH形フレームとも言われ、ハシゴ状のフレーム上にボディーを載せ、下の部分にサスペンションやステアリング、走行装置関連の部品が付いている構造のことを指す。

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e-SURVIVOR (イー・サバイバー)

DAIHATSU DN PRO CARGO

軽自動車の便利さを徹底的に追求した商用EVモデル。女性やシニアにも使いやすい、低床フラットフロアによる室内大空間と荷室の使い勝手の良さを実現しました。室内高1,600mmでウォークスルー可能な室内大空間による高い作業性やサービス性、幅広い業種・用途に合わせて変化するマルチユニットシステムを採用しました。

※前席と後席の間、または3列シート装備車では2列目シートと3列目シートの間を、シートを倒すなどの操作をせずに移動できること。

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DN PRO CARGO

MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT

e-EVOLUTION CONCEPTは EV技術やSUV開発で培った四輪制御技術を大きく進化させたクロスオーバーSUVタイプのEVです。EVにSUVを融合することでアウトドアフィールドにも行け、またAI(人工知能)技術を搭載することで、ドライバーの意思や感情を読み取り、コミュニケーションを取ることで、移動がより楽しくなります。

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MITSUBISHI e-EVOLUTION CONCEPT

YAMAHA MOTOROiD モトロイド

オーナーがモトロイドの前に立つと車体を支えるスタンドが立ち上がり、バランスをとりながら立ち上がる。「手招きするとゆっくり走りだし、オーナーの前で停止する、まるで意思を持っているかのようなモトロイドです。知能化技術を用いて、「人とマシンが共響するパーソナルモビリティ」を目指す、驚きの概念検証実験機です。開発コンセプトは、「常識からの解放」ということで、新しい価値を生み出す技術の獲得を目指しています。

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MOTOROiD モトロイド

おわりに

世界の自動車メーカーは事故を起こさないクルマを目指して自動運転技術の開発に取り組んでいます。たとえば衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報、車線維持支援機能、低速走行・車間距離制御機能、ペダル踏み間違い防止機能、車両姿勢制御・ABS横滑り防止装置、商用車の横転防止・二輪車の不倒技術、LEDヘッドライト・ハイビームサポートシステム、AFS/自動防眩ライトポップアップフード※1・衝突安全ボディー、全周囲モニター・後方等確認装置等々、さらにハイブリッド(HV)・電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)・水素自動車、駆動用蓄電池及び関連システム、給電・充電システム、駐車支援・車庫入れの自動化、カーナビ・ITSコネクト※2、クルマと携帯電話の連携・緊急通報等々、最新の技術が一堂に見られる濃密な"東京モーターショー2017"でありました。米国、英国など自動車メーカーの参加がない寂しいイベントと評する向きもありますが、見ごたえのある45回目のモーターショーと高く評価しておきます。

※1 AFS:夜道でカーブを曲がるとき、ステアリングの切れ角や車速を感知し、ヘッドランプのロービームの照射方向を曲がる方向に向けることで、視認性を確保します。

※2 ITSコネクト:見通しが悪い交差点などにおいて、車両同士や道路に設置された路側インフラ設備との無線通信によって得られる情報をドライバーに知らせることで、運転の支援につなげるシステム。

参考資料:TOKYO MOTOR SHOW 2017 NEWS、自動車ガイドブック2017-2018(発行:一般社団法人日本自動車工業会)