専用アプリ(RS-MS3A)をインストールしたAndroid端末の外部接続端子と430MHzデジタルトランシーバーID-31PLUSのデータ端子を専用ケーブル(OPC-2350LU)でつなぐと、ターミナルモードによるDVゲートウェイ通信ができるようになります。今回はこのゲートウェイ通信に必要なAndroid端末の機種選びと、グローバルIPアドレスが使える格安SIMカードを調べてみました。

ドコモタブレット

はじめにタブレット端末を探しました。すでにスマートフォン(以下、スマホ)Huawei P9を所持していることから、グローバルIPアドレスが使えるSIMカードに変更する方法もあると思いながら、通信会社との契約上の制約を考慮して中古のAndroid端末を探すことにしました。機種選びに当たっては友人の勧めもあり、ドコモタブレットdtab Compact d-02Hに的を絞り通販サイトを検索すると希望のタブレットPCがすぐに見つかりました。

「中古品・ほぼ新品、本体に目立つ傷やスレも見当たりません。使用感も少なくまるで新品のようなコンディションです。付属品は説明書、自立スタンドです。元箱にすべて入った状態でお届けします。」の説明を鵜呑みにしてd-02Hを12,800円(税込・配送無料)で購入しました。なお、同機はdocomo Online Shopにて2015-2016冬春モデルとして発売しましたが、現在は販売を終了しています。

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傷一つないドコモタブレット「dtab Compact d-02H」

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左からd-02H、ID-31PLUS、イヤホンマイクHM-166LS、手前OPC-2350LU

[dtab Compact d-02Hの主な仕様]

サイズ:約215×124×7.9(mm)

重さ:345g

CPU(チップ名、クロック):HiSilicon Kirin 930

  2.0GHz(クアッドコア)+1.5GHz(クアッドコア) オクタコア

OS:Android 5.1

画面サイズ:8インチ方式

解像度:1920×1200ドット WUXGA

内蔵メモリ(ROM/RAM):16GB/2GB

外部メモリ(最大容量):micro SDXC(128GB)

UIMカード:mini UIM

格安SIMカード

タブレットPCを手に入れたところで、SIMカード選びに着手しました。SIMは小さなICチップが入っているカードのことで、携帯電話番号に対応した固有のIDが組み込まれています。そのSIMカードをスマートフォンやタブレットに装着すると、登録済の通信会社と契約した内容で通信ができます。ただし、プライベートIPアドレスのSIMは、インターネットにアクセスする際にグローバルIPアドレスに変換してインターネットへのアクセスを可能にしますから、機器自体にグローバルIPアドレスが付与されていないため通信相手がこちらの機器を特定できません。

相手から特定できなければ、D-STARの「ならやま自動応答」に送信できても信号を受信でませんからグローバルIPアドレスが使えるSIMカードが必要になります。

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d-02Hの右側面のSDスロット(左)にナノSIMを挿す。緑色の枠はSIM変換アダプタ

イオンモバイルのタイプ2がお勧め

グローバルIPアドレスが使える格安SIMを探すと、イオンモバイルのSIMタイプ2(NTTドコモ回線)にグローバルIPアドレスが付与されていること知りました。 [SIMタイプ2] の月額使用料が518円(税込)からという料金設定に飛びつき、イオンモバイルのWEBサイトから申し込みを済ませました。 なお、[SIMタイプ1] はプライベートIPアドレスなので対象外としました。

※...AEON MOBILE http://aeonmobile.jp/

グローバルIPアドレスが使える格安SIMはイオンモバイルのほかにも、OCNモバイルONE、インターリンクLTE SIM、ASAHIネットLTE ANSIM、イプシムなどがありますが、イオンモバイルの【プラン】データ1GBプラン:518円(税込)を契約し、[SIMタイプ2] を3,240円で購入しました。年間の支払いは518円×12か月=6,216円となります。

余談になりますが、始めにマイクロSIMで申し込んだところ、「マイクロSIMよりサイズの小さいナノSIMが先々タブレットPCを交換した際に使い回しが利く」と友人から強く勧められて、ナノSIMに変更した経緯があり、そのため納期が一週間ほど遅れましたが、Micro/Nano SIMアダプタ(399円)を用意して到着を待ちました。送られてきたナノSIMには、予想通りアダプタの付属がなく、用意した変換アダプタにナノSIMを載せて、d-02HタブレットのSDスロットに無事に収まりました。

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Micro/Nano SIM Adapter

RS-MS3Aのインストール

RS-MS3Aはゲートウェイ機能を使用するためのAndroid端末用アプリケーションです。さっそくd-02HのホームからGoogleの[Playストア]を検索してRS-MS3Aアプリをダウンロードしました。

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Googleの[Playストア]RS-MS3Aアプリのダウンロード画面

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RS-MS3Aの設定画面(d-02H)

RS-MS3Aの設定は次の通りです。

管理サーバーアドレス:初期値(trust.d-star.info)

ゲートウェイコールサイン:JA1FUY D

ゲートウェイ種別:⦿ 日本

許可コールサイン:⦿ 無効

許可コールサイン一覧:初期値のまま

画面自動消灯:有効

ID-31PLUSでターミナルモードを開始する

アプリケーションの起動、送信の手順は以下の通りです。

1. タブレットの外部接続端子(USBポート)にOPC-2350LUのmicro USBプラグを挿す。

2. OPC-2350LUのプラグをID-31PLUSのDATA端子ジャックに挿す。

3. ID-31PLUSをターミナルモードにする。

4. 接続するレピータを選択する(TO:を選択する)。

5. d-02Hタブレットの電源をONにする。

6. d-02H のWi-FiをOFFにする。

7. ホーム画面のICOM RS-MS3Aのアイコンをタップする。

8. d-02HのRS-MS3Aの[開始]をタップする。

9. ID-31PLUSのPTTを押して送信する。

10. RS-MS3Aの[停止]をタップして終了する。

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ID-31PLUSとOPC-2350LU、d-02HタブレットPCを接続

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ID-31PLUSのターミナルモードにして東京日本橋430(JR1VM)からCQを出す

ターミナルモードは機器の操作が簡単で初心者向きです。宅内ルーターに接続した時のポートの開放やパソコンのローカルIPアドレスの固定など、煩雑な設定は全く必要ありません。グローバルIPアドレスが付与されたイオンモバイルのSIMカード(タイプ2)をAndroidタブレットのSDスロットに挿すだけでターミナルモードがすぐに使えるというものの、実際の運用は管轄の総合通信局に変更申請(届)を提出して審査を受けてからになります。

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東京日本橋430(JR1VM)からCQを出す(※クリックすると画像が拡大します。)

あとがき

当初はグローバルIPアドレスSIMカードの実態がよくわからないまま、通信会社との煩雑な契約から敬遠していましたが、友人から「イオンモバイルが安い」との情報を得て、月額518円の格安な料金が気に入り、データ通信専用のタブレットPCを持ちたくなりました。携帯に便利で簡単操作が特徴のタブレットPCとID-31PLUSのコンビはDVゲートウェイ通信の最適な組み合わせと確信できました。なお、本文では小型イヤホンマイクHM-166LSに触れませんでしたが、マイク部の側面にPTTがあり、オペレートをしやすくしてくれるアクセサリとして愛用しています。

※記事内の価格やプランは2018年3月現在のものです。

参考資料:ID-31PLUS/ID-51PLUS2「DVゲートウェイ機能について」 データ通信ケーブルOPC-2350LU取扱説明書ID-31PLUS簡易マニュアル dtab Compact d-02H取扱説明書