Googleニュースで"Raspberry Pi Zero Wプロジェクトキット"を目にしたことに始まり、箱書きの"Pirate Radio"に興味を惹かれました。海賊ラジオといえば船に送信機とアンテナを積んで出航し、どこの政府の規制も受けない公海上から放送を行う「海賊放送」を思い出しました。"インターネットラジオ"と海賊放送の関係がよく分かりませんが、海賊放送の伝統を受け継いだオンライン放送局が、いろいろなジャンルの音楽を終日流しているのでしょう。面白そうなのでさっそくキットを購入しました。

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完成したPirate Radio

PIMORONIとは

Pirate Radioは購入先によって値段がまちまちです。PIMORONIから直接購入でき、価格は40ユーロといわれていますが、今回は購入しやすさを優先してamazonマーケットプレイスのウィズテックより8,200円にて購入しました。後にロボット王国で同じキットが6,264円(税込み)+送料540円で手に入ることを知りました。

Pirate Radioのキットを手に入れた後、しばらく手付かずのまま保管していました。というのも同じ時期に購入したダイレクトサンプリングレシーバーのColobriNANOにかかりきりだった事情もあり、その間、心ならずも取り掛かりが遅くなりました。ところでPIMORONIという耳慣れないブランドはなんでしょうか。海賊、モンキー、ロボット、忍者(Pi-Mo-Ro-Ni)の略で「ピモロニー」と発音するとのこと。PIMORONIは2012年にホビイストのためのハイテク製品を製造する会社として設立。英国の北部にあるシェフィールドに本社があり、30人余の従業員を雇用しています。創業以来、毎年驚異の80%の成長を遂げる優良企業と知られています。

Raspberry Pi Zero Wキットの概要

「Raspberry Pi Zero W」キットには、ボード本体「Raspberry Pi Zero W V1.1」のほかに専用ケース、マイクロUSBケーブル、Mini HDMI-HDMI変換アダプタ、microUSB-USB変換アダプタ、GPIOピンヘッダがセットになっています。OS書き込み用のmicroSDカードは付属していません。SoC(システムオンチップ)はシングルコアCPU(1GHz)、メモリ512MB、電源仕様5V/1A。そしてPCM入力D級オーディオパワーアンプMAX98357Aを搭載したDAC拡張カード「pHAT BEAT」でスピーカーを鳴らします。ソフトウェアは、Python library for PHAT BEAT、インターネットラジオ、Spotifyストリーミング、Airplayスピーカーなどがあります。

※SoCではCPUも含めて制御に必要な複数の部品(システム)が1つのチップにまとめられている。

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組み立て前のパネル材と袋詰めのプラスチックねじ(左)

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Raspberry Pi Zero W(左)、Pimoroni pHAT Beat DAC(2×male GPIO pin ヘッダーは装着した後の写真です

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直径8cm 4Ω 5Wスピーカー

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左から50cmのUSB A to micro Bケーブル、mini HDMI-HDMI変換アダプタ、micro USB -USB変換ケーブル

組み立て

キットの組み立ては以下のWebサイト(英文)を参考にしました。

https://learn.pimoroni.com/tutorial/sandyj/assembling-pirate-radio

ほかに日本語で工作体験を披露しているWEBサイトがありますので検索してみてください。ねじとナットはプラスチックなので締め付け以外は指先で回すことができます。組み立て中にねじが1本足りないことに気づいて、販売元の(株)ウィズテックに連絡したところ、不足分をすぐに送ってくれました。

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Rasperry Pi Zero WにPimoroni pHAT Beat DACを装着するための2×male GPIO ピン ヘッダーのランド間の隙間が狭いので半田付けを慎重に進めました。

OSのダウンロード

専用OSを以下のサイトからPCにダウンロードしました。

https://www.raspberrypi.org/downloads/noobs/

NOOBSの中のDownload ZIPをクリックしてPCのデスクトップにダウンロードした後、ZIP形式に圧縮されたファイルを解凍して、16GB micro SDHCカードにペーストしました。これでOSの準備が整いました。

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OSのダウンロード画面

プログラムのインストールは以下のWEBサイトが詳しいので参考にしました。

https://learn.pimoroni.com/tutorial/sandyj/internet-radio-on-your-pirate-radio

以下の1行を書き込むとインストールが終わります。

curl https://get.pimoroni.com/vlcradio | bash

途中の質問には「y」を選択しインストールを続け、それが終了したら「sudo reboot」と書いてENTERを押し再起動します。セットアップについては以下のWEBサイト参照ください。

「Raspberry Pi Zero(W)のセットアップ」

https://qiita.com/hishi/items/8bdfd9d72fa8fe2e7573

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Rasperry Piファイルを展開中の画面

アドオンスピーカーキット

オーディオパワーアンプの基板にモノラル/ステレオの切換スイッチと出力端子がありますので、外部スピーカーをつないでステレオで聴いてみたいと考えました。しかしながら手元のBOSEスピーカーに接続したのでは、せっかくのデザインが生かせません。そうした矢先にツクモロボット王国にPirate Radio専用のアドオンスピーカーキット(1,555円)があると知り、注文したのが下の写真(右側)になります。

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アドオンスピーカー(右)追加しました。

次にRaspberry Pi Zero(W)のセットアップに必要なパーツ等を挙げておきます。

microSDカード16GB

OSを収容するmicroSDカードは、micro SDHC 16GBを990円(amazon)で購入しました。

電源アダプタ5V/2A

手持ちの入力AC100~240V、出力5V、2Aの電源アダプタを流用しました。

HDMIケーブル

セットアップ時に付属のMini HDMIアダプタを介して長さ2mのHDMIケーブルを40インチTVに接続しましたが、後に26インチPCモニタに変更しました。

キーボードとマウス

OSのインストール時に、4ポートUSBハブ介してキーボードとマウスを接続しました。USBプラグ付きのキーボードとマウスが必要です。

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マウス、キーボード、モニタを接続してセットアップ

操作の要点について

以前、Linuxの一種UbuntuをデスクトップPCにインストールして少し触った経験があるもののLinuxをよく理解しているわけでなく、Raspberry Piを触るのは初めてですから戸惑いがありました。反面、パネルの組み立てやはんだ付けは得意分野であり、キットの組み立てを楽しむ余裕がありました。

さらにRaspberry Piの二つのマイクロUSB端子は、基板に正対して右がPWR、左がUSBと印字されていることに気づきました。また電源アダプタの仕様は、出力5.1V/2.5Aが必要とわかりましたので、とりあえず手元にあった5V/2Aのアダプタを使い問題なく動作しています。

また、左側側面に5個の押し釦が縦に並んでいますが、上から1~3のボタンを押して選局するほか、下側ボタンの+と-で音量を調節します。電源オフは左側パネル上部裏側に押し釦がありますので、これを押すとオフになりますが、再びボタンを押しても電源が入りません。とりあえず電源アダプタを差してオンにしていますが、おそらくPirate Radioは使い続けるのが本来の姿なのでオフが不要と理解しています。本当のところはわかりません。

おしまいに

Pirate Radioを始めてみたときから独特なデザインが気に入りました。コンパクトで飽きが来ないデザインは、部屋のどこに置いてもなじむところが優れています。pHAT Beat DAC 2×5Wのアンプは8cmのスピーカーを駆動して十分は音量があり、クリアなサウンドは長時間聴いても疲れを感じさせません。気に入ったジャンルの音楽を聴く醍醐味にすっかりはまりました。インターネットラジオは終日音楽を流し、おしゃべりがないところが好ましく、音量を低めに設定してBGMとして使っています。時折、流れるアナウンスは、UK(英国)の英語が聴取できますので、ヒアリングに役立ちます。

参考資料

・PIMORONI

https://learn.pimoroni.com/tutorial/sandyj/assembling-pirate-radio

・Pirate Radio - Pi Zero W Project Kit

https://media.digikey.com/pdf/Data%20Sheets/Pimoroni%20PDFs/PIM261_Web.pdf