1.はじめに

2018年7月29日に「東海ハムの祭典」が愛知県の日進市で行われ、暑い中を1エリアから参加しました。ついでに依佐美送信所跡等に、行ってみたかった事もあります。この時に「CQオーム」さんからカタログを貰っていたのですが、これを見ていてスピーカの「HYUGA」が気になっていました。これは無線機専用のスピーカで、IC-7300Sに使うのに良さそうと思ったからです。その1か月後のハムフェアの時に「CQオーム」さんも出店され、仕入れる事ができました。もちろんWEB(https://www.cqcqde.com/)からも入手できますので、ハムフェアを待つ必要はありません。

組み立ててIC-7300Sに接続し、写真1のように使っています。上にあるのはNo.167で作った電源です。もう少しスピーカの背が低いとピッタリなのですが、これは仕方ありません。

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写真1 IC-7300Sに接続している様子です。ちょっと大きめです。

2.キット

ビッグサイトから持ち帰ったキットは、写真2のように段ボール箱に入っていました。あまり大きくはないのですが、ハムフェアの帰りですのでもろもろの荷物が増えてしまい、少々重くなってしまいました。この中身は写真3のように木材が中心のキットで、自分で用意するのは木工用接着剤とハンダ付け用品だけです。よじって済ませる方法も書いてありますが、あまりお勧めはできません。私の場合は、他に多少の小物も使いました。

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写真2 このような段ボール箱に入っていました。

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写真3 中に入っている部品です。

木材には、スピーカ用の合板MDF材を使っているという事です。この材質がどのような物か知らなかったのですが、木材を粉々に砕いたものを固めたもので、市販スピーカのほとんどに使われているそうです。スピーカは写真4のような8Ω2Wのものです。

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写真4 8Ω2Wのスピーカです。

どうしてHYUGAと呼ぶのか不思議だったため問い合わせたところ、担当したスタッフの名前という意外な答えでした。てっきり宮崎県の日向市が由来かと思っていました。WEBで見ると完成品とキットがありますが、工作室なので当然キットを仕入れています。ほとんどが接着剤付けの木工工作ですし、ハンダ付けはスピーカへの配線の2カ所しかありません。

3.作製

説明書に従って組み立てのシミュレーションを行いました。構造と組み立て方法の意図が見えてきます。その後で自分なりの作り方と完成状態をイメージし、工作を開始しました。こんな手順が良いかと思います。

まず写真5のようにスピーカをネジ止めします。ネジは2種類あり指定はありませんが、当然黒いネジは表側のグリルを止めるのに使います。スピーカは金属色のネジで固定します。次にグリルを残りの黒ネジで止めます。ここで少々手間がかかりました。木材にあるガイド穴が、微妙にグリルのリングの穴とズレているのです。写真6のように、ネジが斜めに入ってしまいそうです。無理をすれば入りそうな気もしましたが、ここは写真7のようにヤスリで穴の位置を修正して対処しました。4カ所共に、少しだけ外側に広げただけです。プラスチックですので、この修正は簡単です。なお説明書ではスピーカグリルの取り付けは、最後に行うようになっています。これは工作中にメッシュの部分を凹ませたり、キズを付けるのを防ぐためと思います。

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写真5 スピーカをネジ止めします。

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写真6 グリルをネジ止めしようとしたのですが・・

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写真7 ヤスリで少しだけ外側に穴を広げました。

説明書では先にスピーカへの配線をするようになっていますが、これを行うと裏側の板に配線を通す必要が出てきます。すると、この先の仮組がやり難くなると思い、最後に回す事にしました。ただ、ハンダ付けが苦手という場合を考えて、先に行うようにしているのかと想像します。ハンダ付けができない方はよじってとしていますが、それで接着剤で箱を閉じてしまうと接触不良の修理もできません。個人的にはハンダ付けを、と思います。

ダボを入れながら写真8~10のように仮組を行うと、すぐに構造が理解できるでしょう。説明書にもありますが、木材を合わせる部分を黒く塗ると「シックな感じになる」というので、まず写真11のように目立たないところで試してみました。この右側が塗ったところです。「まあ、そうかな」という事で、全部の縁を塗りました。

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写真8 仮組みを試しているところです。

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写真9 吸音材です。

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写真10 こんな感じで組立てるのが解りました。

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写真11 重ねた部分の右側だけ黒く塗っているのが解ります。

仮組ではいろいろな向きを試し、組み立てた時のフィット感が良い方向にしました。多少のクセはあるようですので、試してみると良いでしょう。見た目は同じでも、触った時の僅かな凹凸感が違います。このようにして、まず写真12のように筒の形状として木工用接着剤で固定しました。

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写真12 4枚の板を木工用接着剤で筒状にします。

次にスピーカ用の配線を裏蓋側から通します。スピーカにハンダ付けする前に、写真13のように熱収縮チューブで処理しました。更に写真14のように、ナイロンクリップと短めの木ネジでコードを固定しました。見えないところでも手を抜かないという美学ですが、自己満足には違いありません。裏蓋のところは写真15のように結束バンドを使ってストッパーにしました。取説のように結んでも良いのですが、ハンダ付けの前にする必要がある事と、長さを合わせるのが面倒だったからです。もちろん結束バンドは写真16のようにカットしています。無線機などの自作で結束バンドを使って配線を束ねる時は、後で指にキズを付けないようになるべく短くカットします。中途半端にカットしていると、後で痛い目に遭う事があるからです。しかし、ここではストッパーですので、間違っても通り抜けは困ります。という理由で多少長めにカットしました。ナイロンクリップと短めのネジ、熱収縮チューブ、結束バンドは手持ちの部品を使っています。必要という事ではありません。

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写真13 スピーカにハンダ付けする前に行った処理です。

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写真14 ナイロンクリップと木ネジでコードを固定しました。これは手持ちの部品です。

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写真15 裏側は結束バンドを使ってストッパーにしました。

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写真16 もちろんカットします。

次に前後の板を木工用接着剤で接着し、写真17のように完成です。なお木工用接着剤は、外側にはみ出さないように木材の内側とダボを中心に塗っています。ダボに塗るときにも内側にはみ出るようにしています。これで良いのかは分かりませんが、強度的にはガッチリと組みあがってビクともしません。

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写真17 前面と裏面も木工用接着剤で固定して完成です。

4.使用感

このスピーカをIC-7300Sに接続して使ってみました。無線機用というだけあり、明瞭度の良い響きを感じます。上を向いたIC-7300Sの内蔵スピーカと比べて、f特は同じようなものと思います。しかし、実際の交信を同じ音量で比べてみると聞きやすい印象です。スピーカは自分に向いている方が明瞭に聞こえるといのは、当然といえば当然なのでしょう。普段は聞き比べなど行いませんし、そんな性能を持った耳ではありません。劣化した耳での印象ですが、十分な使い勝手かと思います。