2017年10月号の"QST"「SharkRF openSPOT Hotspot」(p.54-57)の記事に触発されて、リフレクタ(インターネット上の仮想レピーター)の「ホットスポット」が紹介されたのが発端になりました。生産国のエストニア(ES)からopenSPOT を取り寄せてホットスポットを始めたくだりは、OnlineとーきんぐNo.212「SharkRF openSPOTでつくるホットスポット」に書きました。その後、初代のopenSPOTは2018年前半に生産を終えて"openSPOT・2"へと引き継がれ、2018年秋に新たに発売されました。

※一般的にアクセスポイントから受信できる場所を、無線LANスポット、Wi-Fiスポット、フリースポット、ホットスポットなどと呼ぶ。

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OpenSPOT・2はさらに小型になり、Wi-Fiを内蔵してモバイルスポット向きになりました

SharkRF ショップへ注文

2018年10月、SharkRFショップにopenSPOT・2を注文しました。

https://www.sharkrf.com/products/openspot2/

注文の際は送受信周波数が430-440 MHz(日本仕様)であることを申し出る必要があります。

SharkRFは日本の免許制度に精通しているらしく、変更申請に必要なブロックダイヤグラムと定格等仕様をWebサイトに公開していますし、日本からの注文に対しては「JP仕様」を送ってくれますから心配はいりません。しかしながら性能的には元々421-458MHzのバンド幅がありますので、このままでは日本で申請できません。

本体価格は199ユーロ(約24,875円)、Shipping(配送料)29.10ユーロ(約3,638円)の計228.10ユーロをクレジットカードで支払いました。そしてエストニアからDHL Expressによる4日で届くスピード配送に驚かされました。今回も空港の税関当局により輸入内国消費税(1,100円)とDHLジャパンから立替納税手数料(1,080円)の計2,180円を請求されました。

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メイドイン・エストニアのSharkRF openSPOT・2

openSPOT・2は写真のような荷姿で届きました。梱包を解くとSharkRFと印刷された小箱が出てきてその中に本体と付属品が入っていました。openSPOT・2 のセットアップに必要なUSB-C ケーブル、AC100V/120V/230 Vのプラグとそのアタッチメント、USBケーブルなどです。

[ユーザーマニュアル(英文のみ)]は付属されていませんが、openSPOT・2のWebサイトからダウンロードします。プリントするとA4版89頁になります。JARD等で保証を受ける際に必要となるブロックダイヤグラムと諸元はこちらにあります。

http://manuals.sharkrf.com/openspot2/en/pdf/osw-datasheet.pdf

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openSPOT・2本体と付属品

仕様

 

寸法 85×48×15 (mm)
重量 32 g
動作温度範囲 0 ~ +60℃ の屋内用
電源 USB ポートから 5 V DC
電力 Max. 150 mA @ 5 V (0.75 W), Avg. 115 mA @ 5 V (0.575 W)

 

Avg. 65 mA @ 5 V (0.325 W) with enabled powersaving

UHFモデム RF出力: 最大13 dBm (20 mW)

 

受信/送信周波数範囲: 430-440 MHz(日本仕様)

受信感度:

 Gaussian 2FSK: @ 9.6 kbps-114 dBm

 Raised Cosine 4FSK: @ 9.6 kbps-109 dBm

発振器の周波数安定度: 0.5 ppm

Emission designators:

 A1A (CW ID)、

 F1E/F1D (D-STAR、System Fusion/C4FM、P25)、

 FXE/FXD (DMR)、

 F1E/F1W (NXDN)、

 F1D (POCSAG)

Wi-Fi
モジュール
IEEE 802.11b/g/n

 

RF出力:

 +15 dBm (802.11b 1 Mbps)、+14 dBm (802.11g 6 Mbps)、

 +14 dBm (802.11n MCS0)

受信/送信周波数範囲: 2.4~2.495 GHz

受信感度:

 -91 dBm (802.11b 1 Mbps)、-88 dBm (802.11g 6 Mbps)、

 -88 dBm (802.11n MCS0)

マニュアル http://manuals.sharkrf.com/openspot2/en/pdf/osw-datasheet.pdf

セットアップの勘どころ

openSPOT・2のWebサイトに"First Steps"という動画が用意されています。それを見てセットアップに取り掛かるとスムーズに進むと思われます。ユーザーマニュアルにも詳しく解説されていますので、それらを活用しながら先に進みます。

セットアップはおおよそ次のようなものです。openSPOT・2のUSB-CポートにACアダプタをつなぎ、隣のボタンをボールペンの先で押してLEDが白色の点滅にします。その上でPC、あるいはタブレットPC、スマートフォン(以下、スマホ)のいずれもセットアップに使えますが、ここではスマホ(Android)をセットアップに使いました。

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システム・ブロックダイヤグラム(openSPOT・2のデータシートより)(※クリックすると画像が拡大します。)

リフレクタのシステム・ブロックダイヤグラムを理解した上で、openSPOT・2のセットアップを始めます。まず、スマホの[設定]から[無線とネットワーク]を開き[Wi-Fi]をタップして、一覧からopenSPOT2 APを選択します。

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Wi-Fi一覧から"openSPOT2 AP"をタップします(※クリックすると画像が拡大します。)

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Japanを選択する(※クリックすると画像が拡大します。)

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Device UIDはopenSPOT・2の裏面に記載の8桁の英数字を入力する(※クリックすると画像が拡大します。)

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自宅のWi-Fiにコネクト(※クリックすると画像が拡大します。)

ここまで進めてきて困ったことに遭遇しました。自宅のWi-Fiにコネクトすると「インターネットに接続されていません」のメッセージが出て何度試みても接続できません。そこで[ユーザーマニュアル]のトラブルシューティング項目に解決のヒントを見つけました。「openSPOT2が携帯電話のWi-Fiネットワークに接続できない」(p.77)に、https://sharkrf.link のURLを試すようにとありました。URLを書き換えてコネクトすると、難なく接続できました。

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"インターネットに接続できない"のメッセージが出る(※クリックすると画像が拡大します。)

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URLをhttps://sharkrf.link に変更する(※クリックすると画像が拡大します。)

次にDevice UIDの入力を求められて、何を意味するのかわからず慌てましたが、本体の裏面にモデル名などと共にUID:XXXXXXXX の8桁の英数字がありましたので、それがDevice IDになると気づきました。これを入力してConnectボタンを押しました。

※UNIX系のOS(LinuxとかMacなど)で使用される、利用者識別用の番号のこと。

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TO:CQCQCQ From:JA1FUY Aのスマホ画面(※クリックすると画像が拡大します。)

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D-STARの設定画面 DCS002/Qに接続(※クリックすると画像が拡大します。)

セットアップの画面はD-STARのセットアップを紹介しました。他のDMR、System Fusion/C4FM、NXDN、P25、POCSAGは[ユーザーマニュアル]を参照してください。

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スマホによりD-STARの設定画面を見ているところ(※クリックすると画像が拡大します。)

あとがき

2月1日、JARD保証事業センター宛てにJA1ZNG(移動する局)の第3送信機としてopenSPOT・2の保証願書を出し、翌2日に保証料(4千円)を郵便局の口座振替に振り込みました。2月8日、待望の[JARD技術基準適合保証書]を取得、翌9日、保証書を添付して関東総通へ変更申請(届)を行い、「到達」のメールを受け取りました。次回はJARDへの保証願書と関東総通への増設(届)を紹介いたします。

参考資料

No.212「SharkRF openSPOTでつくるホットスポット」

openSPOT・2 USER MANUAL info/sharkrf.com

「電波利用 電子申請・届出システムLite」総務省