OnlineとーきんぐNo.222 「モバイルホットスポットopenSPOT・2」ではopenSPOT・2の購入と各部の設定について紹介しましたが、この時は社団局(移動する局)の変更届が[審査中]であり、免許申請(届)の詳細が今回に持ち越しました。

2019年2月6日JARD保証事業センターへ保証願書を送り、三度の修正を経て2月8日、技術基準適合の保証書(PDFファイル)を取得しました。即日、電子申請・届出システムLiteにより工事設計書に保証書を添付して関東総合通信局へ変更届を提出し、2月19日[審査終了]となりました。これによりopenSPOT・2による移動運用ができるようになりました。

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430MHzデジタルトランシーバーID-31とopenSPOT・2

モバイルホットスポットの免許要件

移動する局の場合は表に示すように異なる二つの免許(個人局と社団局)が必要になります。つまりクライアントとアクセスポイントを同一免許による免許申請ができないとする解釈により、クライアント側(自局の移動する局)とアクセスポイント側 (社団局の移動する局 )によりホットスポットの移動運用を実現しました。

※電波法第五十二条 無線局は、免許状に記載された目的又は通信の相手方若しくは通信事項 (特定地上基幹放送局については放送事項)の範囲を越えて運用してはならない。(抜粋)「通信の相手方」に自局が含まれないとする解釈によります。

 

移動する局(ホットスポット)の免許
クライアント側(自局の移動する局) アクセスポイント側(社団局の移動する局)
固定局(ホットスポット)の免許
クライアント側(自局の移動する局) アクセスポイント側(自局の固定局)

変更申請(届)

電子申請・届出システムLiteのホームページを利用して、[変更申請(届)]を行いますので、事前にユーザー登録を済ませてIDとパスワードを取得しておきます。

(https://www.denpa.soumu.go.jp/public2/index.html)

変更申請(届)から手順3をクリックして進みます。

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工事設計書(抜粋)(※クリックすると画像が拡大します。)

openSPOT・2を社団局JA1ZNG(キューティシージャパンハムクラブ)の移動する局の第3送信機として増設する工事設計書(抜粋)を示しました。電波型式、変調方式、終段管の名称個数、電圧はユーザーマニュアルによります。ここで最も重要なのがopenSPOT・2の[送信機系統図と諸元]で、これにより審査に通るか否かが決まります。私の場合は[送信機系統図と諸元](PDF)をリフレクタ(仮想レピータ)に詳しいJF1CXH岡野俊郎氏から提供を受けて工事設計書に添付しました。

この[送信機系統図と諸元](PDF)は岡野氏がJARDにて技術基準適合の保証書を取得した実績があります。送信機系統図はユーザーマニュアルから引用できますが、諸元の作成には専門的な知識を要しますので大いに助かりました。おかげさまでD-STAR、C4FM、DMRの免許を取得できました。ここに岡野氏のお許しをいただいて[送信機系統図と諸元]PDFをダウンロードできるようにいたしました。

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送信機系統図と諸元(※クリックするとA4判のPDFが取得できますので、そのまま申請に利用できます。)(by JF1CXH)

技術基準適合の保証書

openSPOTは技術基準適合機ではありませんので、JARD(財団法人日本アマチュア無線振興協会)もしくはTSS株式会社保証事業部で 技術基準適合の保証書を取得しなければなりません。私の場合はJARDのホームページ(http://jard.or.jp/)から[アマチュア局保証]-[基本保証]-[変更保証(増設・取替えの場合)]-[総合通信局から保証が必要と言われた方(基本保証)]をクリックして申請を行いました。

申請が受け付けられるとJARDから保証料4,000円を振り込むようにとのメールが届きます。郵便局の口座振り込みで送金すると申請書の審査が始まります。申請書に誤りがあると、そのつどメールにて指摘されるので、修正してメール添付で送り返します。何度かやり取りしてて審査が終わると[技術基準適合の保証書(変更)](PDF)が送られてきます。

「以下の申請者に係るアマチュア無線局の無線設備変更申請(届)に関する増設に係る送信機については、電波法第3章の技術基準に適合していることを保証します。」の文言と共に保証番号、免許番号、氏名、呼出符号、都道府県名、備考の記載がありました。

変更申請(届出)

電子申請・届出システムLiteのホームページの[変更申請(届出)]に戻り、工事設計書の添付ファイル名のところに[技術基準適合の保証書(変更)]PDFを添付して関東総合通信局へ送ります。電子申請が届くと[到達]、[受付]、[審査中]などの状態が分かりますので、[審査終了]の日を待ちます。2019年2月9日に申請して2月19日[審査終了]となりました。

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変更申請の状況をチェックすると[審査終了]となりました。(※クリックすると画像が拡大します。)

今回は変更届なので、[審査終了]と同時にopenSPOT・2はJA1ZNG移動する局(第3送信機)として運用が可能となります。念のため新しい免許状の受け取りを手配しました。

モバイルホットスポットの開始

openSPOT・2 Connectorsを次のように設定 (スクリーンショット) しました。

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Connectorsの設定

ID-31でCQを出してx-NET DCS022 Dashoadを見ると次のような画面になりました。この画面からホットスポットが問題なく動作していることが分かります。つまりJA1FUY移動する局がホットスポット(JA1ZNG移動する局)にアクセスしています。

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x-NET DCS022 Dashoad User 抜粋(※クリックすると画像が拡大します。)

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x-NET DCS022 Dashoad Repeater 抜粋(※クリックすると画像が拡大します。)

まとめ

実際の運用に当たってはopenSPOT・2と無線LANルーター(ドコモL04D)を組み合わせます。無線LANルーターのSIMカードはイオンモバイルのタイプ2(グローバルIPアドレス)を3,240円で購入し、データ通信のみの月額使用料518円(税込)を契約しました。

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無線LANルーター(ドコモL04D)

これらのシステムをニッサンLEAF e+Xに搭載してパーキングエリア等で充電中に、屋外のベンチなどからID-31を操作してモバイルホットスポットを経由してリフレクタ(仮想レピーター・D-STAR)にアクセスする計画です。またタブレット(NEW ACER Chromebook Tab 10)にTeamViewerをインストールして山荘シャックのIC-7700(HF帯~50MHz)トランシーバーをリモートコントロールする計画もあります。これらのシステムの詳細は稿を改めて紹介いたします。

参考資料

No.222 「モバイルホットスポットopenSPOT・2」

No.212 「SharkRF openSPOTでつくるホットスポット」

openSPOT・2 USER MANUAL info/sharkrf.com

「電波利用 電子申請・届出システムLite」総務省

「送信機系統図と諸元」JF1CXH 岡野俊郎氏