2019年3月、8年9カ月愛用したスカイライン250GTから、走行支援機能が充実している電気自動車(EV)LEAF e+ Xへ乗り換えました。今春、モバイルホットスポット移動局(JA1ZNG)の変更申請を済ませて、無線LANルーターによる 「モバイルホットスポット」を計画しました。昨今の高齢者による事故の多発を考慮して、走行中の無線操作(Push to Talkを含む)を控えるのはもちろん、もっぱら高速道のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)から運用するように心がけるつもりです。

昭和35年(1960)8月に開局してアマチュア無線人生をスタートしましたが、同40年(1965)9月ごろ、 "三菱コルト600"に51MHz FM 10W車載無線機を乗せてモービルハムを始めました。以来、半世紀を経てインターネット利用のモバイルホットスポットをEVに持ち込むに至り、クルマの外側に無線用アンテナを一切付けない無線局(モバイルホットスポット)の出現となりました。

モバイルホットスポット

今回の主役はドコモ・モバイルルーター(無線LANルーター)のL-04DとSharkRF社のopenSPOT2、そしてアイコムID-31PLUSハンディトランシーバーの3機種によりモバイルホットスポットを構成します。ID-31PLUSがホットスポットにアクセスしてリフレクタ(仮想リピータ)を経由してはx-NET DCS022(http://www.xreflector.net/)により国内外の愛好者と交信します。JAIG-NETがDCS022Cで毎週日曜日の夕方にネットミーティングを開いていますし、DCS001~DCS033にopenSPOT2の設定を変えて各DCSに参加できます。

※故障時はDCS002Qに移行することがあります。

モバイルホットスポットについてはバックナンバーのNo.222並びにNo.224に詳しく述べましたので参照ください。必要な機材は①openSPOT2 ②モバイルルーターL-04D ③D-STARトランシーバーID-31PLUS の3機種です。 ほかにあると便利なアクセサリーとして ④イヤホンマイク ⑤スマートホン ⑥DC-ACインバーターがあげられます。

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ドコモ・モバイルルーターL-04D(左)とSharkRF openSPOT2(右)

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x-NET DCS022 Dashboad(※クリックすると画像が拡大します。)

電気自動車LEAFを選んだワケ

電気自動車(EV)のLEAF e+ Xは64kWh駆動用バッテリーを搭載した新型です。モーター出力140kWh(218PS)は、EV(electric vehicle=電気自動車)ならではの特徴と、モーター駆動の静粛性を兼ね備えて、走行支援機能の充実が優れています。特に秀逸なのが[プロパイロット]です。運転者が設定した車速を上限に先行車と車速に応じた車間距離を保ちながら、車線中央付近を走行するための運転操作を支援します。ハンドルに手を添えているだけで車線をキープするので(ハンドル支援)、運転がとても楽です。ほかに[踏み間違い衝突防止アシスト][後側方車両検知警報][車線逸脱防止支援システム][後退時車両検知警報][ふらつき警報][進入禁止標識検知][アプリで乗る前エアコン起動]などを装備しています。残念ながらLEAFのグレードがe+ Xなので、プロパイロット・パーキングの装備がありません。

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電気自動車(EV)LEAF e+ X

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LEAFのセンターコンソールにDC12Vの取り出し口がある

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LEAFのセンターコンソール ID-31PLUSの左がL-04D、右上の白い装置がopenSPOT2(※クリックすると画像が拡大します。)

ドコモ・モバイルルーターL-04D

2012年6月14日、NTTドコモからモバイルルーターL-04Dが発売されました。モバイルルーターは携帯電話回線を通じてインターネットに接続し、モバイルWi-Fiルーター端末として使います。当時の価格は17,640円でしたが、2019年7月現在アマゾンにて4,480円の値がついています。新型のWi-Fi STATION HW-01Gなら7,400円で購入できます。

L-04Dのサイズが幅90×奥行12.6×高さ62(mm)、重さ89gとコンパクトなのが特徴です。これに使うSIMカードはイオンモバイルのタイプ2(グローバルIPアドレス)を3,240円で購入しました。月額使用料はデータ通信のみの518円/月(税込)です。SIMカードを取り付けるには本体の下部にある凸部に爪をかけてこじ開けます。内部は写真で見る通り、矢印の上にminiUIMカードを装着します。イオンモバイルのSIMカードはいろいろな用途に考慮してNanoタイプにしましたので、ここではNano SIMアダプタ(緑色)を使って装着しました。

※ドコモでは、microSIMをminiUIMと呼ぶ。

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モバイルルーターの内部とイオンモバイルのSIMカード(手前)(※クリックすると画像が拡大します。)

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イオンモバイルのSIMカードを挿入(※クリックすると画像が拡大します。)

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docomo L-04Dの起動画面(※クリックすると画像が拡大します。)

なお、L-04Dは電池パックを内蔵して連続通信(LTE)の使用時間は約4時間です。ドコモのLTEはLong Term Evolutionの略で、モバイルキャリアが提供するモバイル機器専用通信回路のことをいい、3Gが高速化した通信回路で4Gと呼ばれています。

openSPOT2のセットアップ

openSPOT2のUSB-CポートにACアダプタをつなぎ、隣のボタンをボールペンの先で押してLEDが白色の点滅にした状態でPC、あるいはスマートフォン(以下、スマホ)のどちらかを使ってセットアップします。ここではスマホ(Android)の[設定]から[無線とネットワーク]を開き、[Wi-Fi]をタップして一覧からopenSPOT2 APを選択します。これ以降のセットアップの手順はNo.222 「モバイルホットスポットopenSPOT・2」の「セットアップの勘どころ」が詳しいので、そちらを参照ください。

openSPOT2はJA1ZNG(移動局)の第3送信機として増設し、変更申請(届)を済ませました。ID-31PLUSはJA1FUYの移動する局として免許を受けてあります。つまり二つの移動する免許が必要となります。この辺りの事情はNo.224 「モバイルホットスポットopenSPOT・2の変更申請(届)」を参照ください。

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スマホの利用可能なネットワークの中に"openSPOT2 AP"が見える(※クリックすると画像が拡大します。)

USBタイプカーチャージャー

あると便利なAUKEYのカーチャージャーを紹介します。openSPOT2とスマホの充電用に装備しました。入力12V・24V、最大3AのUSB PD(Power Delivery)出力が、スマホ・タブレットなどUSB PD対応機器の急速充電に対応します。USB Aポートは最大5V・2.4Aの出力で急速充電ができます。ほかに内蔵の回路保護システムにより過電圧、過電流、過熱および回路のショートに対応しています。サイズは 10.2 x 6.1 x 3.9 (cm)、重さ 63.5グラムのシガープラグサイズ、価格は2,399円。

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USBタイプカーチャージャー(AUKEY)

D-STARトランシーバー ID-31PLUS

モバイルルーターとopenSPOT2で構成するモバイルホットスポットにアクセスする無線機がアイコムのIC-31PLUSトランシーバーです。openSPOT2の送信出力は20mWなので、それほど離れてホットスポットにアクセスできるとは考えていませんが、車の周辺を歩き回っても問題なく通信できました。インターネットを利用するリフレクタ通信は端末にヘッドセットを使い、無線機を使わない方式が普及していますが、どちらかというと無線方式のopenSPOT2が好みにあいます。そのため手間ひまかけて電子申請により変更申請(届)を行い、アマチュア無線らしさを味わいました。

小型イヤホンマイク

ID-31PLUSに小型イヤホンマイクHM-166LSを装着しました。片耳イヤホンとPTT付きマイクが特徴のイヤホンマイクです。価格は3,000円+税

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アイコム イヤホンマイクHM-166LS

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ID-31PLUSにイヤホンマイクを装着しました

インバーターHF-100

入力DC12V、出力電圧AC100V 、最大出力容量100WのDC/ACインバーター(大自工業株式会社)です。以前、クルマからSSTVやHFパケットラジオを運用していた時に使っていたもので、いまだ健在なインバーターの再登場です。openSPOT2はスマホでD-STARモードを設定すると、PCなしの運用が可能になりますが、リフレクタの部屋を変更するときにPCが必要になります。PCは内蔵バッテリーで動作するのはもちろんですが、AC100VのコンセントがあるとopenSPOT2、L-04D、ID-31PLUS、ノートPC、タブレットPC、スマホなどのACアダプタが使えます。

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DC/ACインバーターHF-100 AC100V、100W まで使用できる

次に30WタイプのDC/ACインバーター30W BAL No.1760を紹介しておきます。入力電圧がDC12V、出力電圧AC100V/DC5V(USB:Aタイプ)、定格出力30Wのインバーターです。ホットスポット(openSPOT2)の充電なら十分です。出力過負荷・出力短絡・高温など保護回路を内蔵して1,662円です。

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DC/ACインバーター30W(BAL)No.1760

まとめ

リフレクタのホットスポットをクルマに持ち込みモバイルホットスポットを作りました。無線機はID-31PLUSのみ、ホットスポットにアクセスして世界中の愛好家とおしゃべりができます。これを車に載せて外に持ち出したいという欲求をかなえたのがモバイルホットスポットです。しかしながら個人局(移動局)とクラブ局(移動局)の二つの免許が必要なことから、正式な運用にこぎつけるまで約1年がかりの気長な取り組みとなりました。

参考資料

No.222 「モバイルホットスポットopenSPOT・2」

No.224 「モバイルホットスポットopenSPOT・2の変更申請(届)」