Onlineとーきんぐ
No.220 「RS-BA1 Ver.2で始めるリモコンシャック」
IPリモートコントロールソフトウェアRS-BA1 Version 2 (,500+税)が発売されました。
Version 2はIC-7851、IC-7850、IC-7610のデュアルワッチ、デュアルスコープに対応しており、MAIN、SUB同時にスペクトラムスコープの表示が可能になりました。MAIN、SUB両方の音声操作が可能であり、従来のシングルモードにも対応しています。
RS-BA1 Version 2の機能比較表(アマチュア無線機器製品情報・オプション)によりますと、IC-7700はデュアルワッチ、デュアルスコープに対応しておらず、またIC-7600はこれらの2つの機能に加えてサーバー機能に対応していません。しかしながら山中湖村シャックのIC-7700とIC-7600を設置している関係から、埼玉県所沢のシャックのパソコン(PC=クライアント側)にRS-BA1 Version 2リモコンソフトをインストールして、PCの操作画面がどう変わったかに興味がありました。操作画面を見てまっさきにRITの新設に気づきました。ダイヤルが左側に移り、その後にRITが新設されました。RITは各モードで交信中に相手局の周波数がズレた場合に、送信周波数を変えないで受信周波数だけを微調整できますので有用な機能です。
IP REMOTE CONTROL SOFTWARE RS-BA1 Version 2の箱
RS-BA1 Version 2のインストール
プログラムCDをトレイに挿入して、画面の指示に従ってインストールすると、二つのアイコンがデスクトップにできます。最初に設定するのは左側の[Icom Remote Utility]です。設定が済むまで「RS-BA1 Remote Control Ver 2」をクリックしても使えません。
二つのアイコン
[Icom Remote Utility]をクリックすると[注意]が表示されますから「OK」をクリックして先に進みます。
環境設定(※クリックすると画像が拡大します。)
[環境設定]のPC名は機能に影響しないので好みの名称を入力します。
例:JA1FUY_HP-PC など。
その他の項目はサーバー側が標準設定ならこのままにしておきます。インターネット回線は光回線ならFTTH(光回線)のままに、言語設定も日本語のままとします。登録ボタンをクリックすると次の画面が表示されます。
Remote Utility
[OK]をクリックして次に進みます。
Windowsセキュリティの重要な警告(※クリックすると画像が拡大します。)
ファイアウォールの警告が表示されるので[アクセスを許可する(A)]をクリックします。
簡単セットアップ(※クリックすると画像が拡大します。)
「Icom Remote Utility」が起動すると、[簡単セットアップ]が表示されます。右上の[クライアントのセットアップ(サーバーPCと無線機の登録)]を選びセットアップを進めます。
クライアントのセットアップ(※クリックすると画像が拡大します。)
IC-7600にノートPCを接続したリモートコントロールシャックが山梨県山中湖村のシャックにセットしてありますので、リモートコントロールができるようにセットアップします。
サーバーの追加(※クリックすると画像が拡大します。)
サーバーのアドレスまたはネットワーク名は山中湖村のリモートコントロールシャックのインターネットルーターに付与されているグローバルIPアドレスを指定します。
この辺りは過去の記事(参考資料)を併せてご覧ください。
サーバーの追加(※クリックすると画像が拡大します。)
IC-7600のRS-BA1サーバーに接続するためのユーザーIDとパスワードを入力します。事前にサーバー管理者からこれらの情報を入手しておきます。
サーバーの追加(※クリックすると画像が拡大します。)
わかりやすく[IC-7600]としました。完了ボタンをクリックして設定が保存します。
Icom Remote Utility(※クリックすると画像が拡大します。)
IC-7600サーバーに接続できた画面です。
Icom Remote Utility(※クリックすると画像が拡大します。)
[無線機一覧]でIC-7600サーバーに接続されているIC-7600が表示されます。接続設定が未定なので「仮想COMポート番号」が未設定となっていて、この状態ではまだ接続できません。画面左下の[接続設定]ボタンで仮想COMポート番号を設定します
IC-7600(IC-7600)ネットワーク設定(※クリックすると画像が拡大します。)
ここで「仮想COMポート番号」のラジオボタンで適当な番号を指定します。
例:COM5
IC-7600(IC-7600)のデバイス設定(※クリックすると画像が拡大します。)
この画面で設定が良ければ[OK]ボタンをクリックして次に進みます。
なお、スピーカー=既定のデバイス、マイク=既定のデバイス となっているのは、クライアントPCのマイクとスピーカーの設定に依存します。具体例を次に示します。パソコンのサウンド設定を確認しておきます。
サウンド(※クリックすると画像が拡大します。)
[再生]は受信音が流れてくるデバイスです。ここではスピーカーから音が出るようにスピーカーを既定のデバイスに指定します。
サウンド(※クリックすると画像が拡大します。)
[録音]は同じようにマイクを選択します。なお、後述するトラブルシューティングでは、この辺りを見直します。
Icom Remote Utility(※クリックすると画像が拡大します。)
セットアップが正常に済むと各項目が埋まります。ここで画面左下の[接続]ボタンを押すと
Remote Utility
仮想シリアルポート(仮想COMポート番号)は5と表示されます。通信用語として先の記述ではCOMポートと表示されていますが、この画面ではシリアルポートと表現されています。同じ意味ですので読み替えて進めます。
続いてパソコンのデスクトップ画面から「RS-BA1 Remote Control Ver 2」のアイコンをクリックすると、操作パネルが現れます。
RS-BA1 Remote Control Ver.2の操作画面
始めに操作画面の上部にある[Connect Set]ボタンをクリックして、IC-7600の基本的な情報を登録します。
接続設定(※クリックすると画像が拡大します。)
はじめての設定では「モデル」が選ばれていませんし、そのほかの情報も現状を反映していないので、ブランクを一つずつ記述していきます。
接続設定(※クリックすると画像が拡大します。)
[モデル]はIC-7600 (Ver2.00-)を選び、[接続方法]に「REMOTE」、Remote Utilityは「IC-7600」を選択します。CI-Vアドレス(無線機)の情報が自動的に更新され、COMポートは先に指定した仮想COMポート番号5が、CI-VアドレスもIC-7600の「7A」に変わります。この時、オーディオデバイス(ボイスメモリー)が仮想オーディオデバイスのICOM_VAUDIO-1になっているときは、[スピーカー(High Definition Aud)]に変更して[OK]ボタンをクリックすると、次の注意事項が表示されます。これも[OK]をクリックして先に進みます。
RS-BA1 Remote Controlの注意事項(※クリックすると画像が拡大します。)
Version 2の操作画面
操作画面にトランシーバーの情報が表示され、スピーカーから受信音が聞こえます。マイクの設定をリモコンに合わせるため、[MIC SET]をクリックして、次の画面を呼び出します。
MIC SET
ラジオボタンで[ACC]を選択してこの画面を閉じると変更が反映され、マイクが使えるようになります。なお、SSB運用時にモニターオンでハウリング(ギュルギュル音)が起こる不具合が発生した場合は、ヘッドセットを使用します。また、クライアントPCに接続するマイクやヘッドセットを変更した場合は、必ずミキサーの設定で確認しておきます。設定が書き換わって予期しないトラブルに遭遇することがありますので、リモートコントロールの構成図を作っておくと全体像を把握できて便利です。
遠隔地のリモートコントロールシステム(※クリックすると画像が拡大します。)
あとがき
RS-BA1 Version 2を利用してアマチュア局を遠隔操作するには、「無線局事項書及び工事設計書」の備考欄に必要事項を記載するとともに、適合説明資料を添付して申請・変更手続きをすませてからリモコン操作を行います。詳しくはRS-BA1 Version 2取扱説明書の8-1「RS-BA1に関わる申請手続きについて」をご覧ください。次回は携帯に便利なタブレットPCにRS-BA1 Version 2をインストールして、IC-7700のリモートコントロールがテーマとなります。
参考資料
Onlineとーきんぐ No.195 「本格的リモートシャックの構築」その1