群馬県伊香保温泉 ホテル木暮様

お客様へのサービス向上や、従業員の労働生産性向上のため、IPトランシーバーを導入。

Osaka Metro

ホテル木暮様は1600年頃創業の歴史がある宿です。伊香保温泉に湧出する湯量の1/4(毎分1000リットル)を旅館で利用する権利を有しており、伊香保温泉で一番多い湯量を誇っています。地下2階から地上7階に客室数が111部屋、500名収容可能なホール・宴会場が3つ、50名程度で利用する小会議室が2つと湯量・設備ともに伊香保温泉で最大級の旅館として評価されています。お客様へのサービス向上や、従業員の労働生産性向上のため、IPトランシーバーを52台お使いいただいています。

導入実績

  • IP1000C(コントローラー)×1台
  • IP100H(Wi-Fiトランシーバー)×50台
  • VR-7000(VoIPルーター)×1台
  • VE-PG3(RoIPゲートウェイ)×1台

導入について

IPトランシーバーを導入したきっかけはなんですか?

当館では、お客様と接する部門の従業員が常時50名ほど働いており、従業員間の連絡手段に内線電話や携帯電話を使用していました。しかし、内線や館内携帯電話では1対1の通話しかできないため、情報を伝えたい相手の人数が多いほど、全員へ情報を伝える速度が低下するという、広域性・同報性の問題がありました。また、内線電話が話中で発信者は待たされる、受け側は電話が鳴動しっぱなしという状況が多々あり、即時性の問題も抱えていました。

オーナー 木暮啓春様

オーナー 木暮啓春様

これらの問題は、お客様をお待たせするなどのサービス面においても影響があるため、何とか改善できないかと考えていました。過去には特定小電力無線やデジタル簡易無線を導入しましたが、これらは単方向通信ですので誰かが交信中の時は他の人が割り込めずに待たされてしまうシステム上の制約と、送信出力が10mWの特定小電力無線では、バックヤードを含めた広大な館内をカバーできないという問題がありました。

各種業務無線がIP無線に移行している状況を知っておりましたので、ホテル業務にも使えるのではないかと考えたのが導入のきっかけです。色々と調べると月々の料金が必要な携帯電話網ではなく、回線料金が不要な館内Wi-Fi網を利用できるIPトランシーバーの存在を知り、これしかないと思いました。

IPトランシーバーは双方向通信が可能なシステムですので、割り込み交信もできますし、トークグループを細分化できるので、部署間での混信も心配なく使えるだけでなく、Wi-Fi®のアクセスポイントを増やすだけで通話エリアを拡大できるのも魅力でした。さらに、内線との接続やオーダーコールとの連携も可能であることから、トランシーバーを持たない従業員も含めて、館内で働く全員がつながるシステムであると確信しました。それ以降、他の無線システムを導入することは一切考えませんでした。

どのようなシステム構成で使用していますか?

IPトランシーバーを内線電話網と、レストランのオーダーコールシステムに接続して使用しています。各従業員専用に個別のトランシーバーを配布して、それぞれに内線電話番号を割り当てましたので、内線電話からトランシーバーを持った個人への連絡が可能です。また、内線電話網は外出の多い営業チームの携帯電話とも相互接続していますので、外出先の営業チームにもIPトランシーバーで連絡を取ることもでき大変重宝しています。

アクセスポイントは館内のあらゆる場所に設置して、エレベーター内などの一部のエリアを除いて館内は全てIPトランシーバーが利用できるようにしました。IPトランシーバーが利用できるエリアマップも作成して従業員へ配布し、どこで使えないかも周知しました。

どのような効果がありましたか?

接客課 課長 飯星崇様

接客課 課長 飯星崇様

主に3つの効果がありました。

  1. 部署を超えて働く人が効率よく情報を共有し、効率よく必要なものを手配できるようになりました。どこで何が起きているか、誰が何を必要としているかなどの情報を館内を走り回って人を探さなくても、効率的に情報を共有できるようになった今となっては、元のやり方には戻れません。
     
  2. スタッフ全員が「つながっている感」をもって仕事ができるようになりました。一人で作業していたり、一人でお客様対応(特にクレーム対応)している時は心細く不安がありますが、IPトランシーバーがあれば、いつでもすぐに仲間を呼べますし、会話の内容をトランシーバーを介して聞いていてもらうこともできます。一人でもネットワーク越しに仲間とつながっているという安心感を持つことができました。
     
  3. 従業員育成に活用し効率よくスタッフのトレーニングを行える。ハンズフリーで交信できるため、お客様の対応方法などを誰かに教えるときは、トランシーバーを介して会話の内容を少し離れた場所で聞いてもらい、適時アドバイスをトランシーバーで受けるなど、ベテランスタッフと二人一組で行動することなくトレーニングを行う事ができるようになりました。通常3ヶ月程度必要なトレーニング期間も、このシステムを使えば、1ヶ月程度にまで短縮することも可能だと思います。

従業員間の連携にどんな変化がありましたか?

接客課 主任 横尾小百合様

接客課 主任 横尾小百合様

仲間に感謝する機会が増え、現場では笑顔がより溢れるようになりました。フロントからお部屋セットの変更連絡があった時に、他のお客様の対応中であった場合でも同時に多くのメンバーに情報が伝わるため、対応可能な仲間が即座に「私が行けます!」と言ってフォローしてくれるようになりました。これにより効率良く情報伝達が行え、無駄な待機時間や人探しもなくなり、なによりお客様へのサービスレベル向上も実感しています。お客様にも仲間にも良いことばかりのアイテムですね。

フロント課 課長代理 関上光昭様

フロント課 課長代理 関上光昭様

現場にスピード感・臨場感・緊張感が出てきました。フロント課は館内のあらゆる情報が集まる場所です。それらの情報を関係者全員に対して、一度に無駄なく直接情報伝達ができるため、チームを容易に統制できるようになりました。ホテル業務では状況が刻一刻と変化しますので、フロントよりも新しい情報をもっているスタッフが別の場所にいることもあります。IPトランシーバーを介しての交信は、常に誰かがモニターしていますので、新しい情報をもっているスタッフが修正を行い、効率的に行動できるようになっただけではなく、ミスなどが発生した場合でも、お客様に影響のない範囲で解決できるようになった点も大きいです。

浴室係 係長 金子栄様

浴室係 係長 金子栄様

ホテル全体と「つながり」ました。当館の大浴場・露天風呂はホテル本館と離れた1300坪の敷地に位置します。清掃作業や見廻りなどを行うために、小電力トランシーバーを使用していましたが、本館と離れた別棟からはフロントカウンターに電波が届かず、情報の伝達に最も時間を要していた部署であったと思います。例えば、脱衣所内で忘れ物を発見した場合、フロントカウンターに内線をするのですが、フロントは目の前ににいるお客様を最優先して対応するため、他部署からの内線電話の受話器をとりにくい状況にあります。緊急性が高いときは、遠く離れたフロントまで直接出向く必要がありましたので、浴室係は、物理的・感覚的にも他部門との距離感を感じていました。全館で交信可能なIPトランシーバーを導入して以来、誰かが必ず応答してくれますので、他部門との接点が増えて、距離感を縮めることができました。何かと不安な人数の少ない夜間業務においても、いつでも連絡のとれるIPトランシーバーを携帯することによって、より安心して巡回業務をすることができるようになったと、女性スタッフからも大好評です。

トランシーバーに不慣れな従業員に対して、どのようなトレーニングを行いましたか?

接客課 係長 江川毅様

接客課 係長 江川毅様

まずは社内講習会を企画することからスタートしました。ホテルの従業員は無線通信のプロではありませんし、目の前にいない複数の相手に対して会話をすることに慣れていません。弊社では無線資格を有し、無線オペレーションの経験があるオーナー自らが社内講習会を企画して、トランシーバー使用者全員に受講してもらいました。講習会では、トランシーバーの交信方法(効果的な言葉のキャッチボール)の練習を重点的に行いました。無線交信を本職とするプロの現場などで行われている交信の方法を参考に、ホテル内で交信されている具体例を題材とした練習問題を作成しました。繰り返し模擬交信を行うにつれ、最初はぎこちなかった交信が、伝えたいことを正確かつ簡潔にスピード感のあるテンポで行えるようになってきています。上手な人との交信は、まるで卓球のようにリズミカルに飛び交い、職場の仲間がモニターしていてもストレスを感じません。
こうした上級者の交信内容を受信することで、他の従業員も上達しています。年齢層の高いベテラン従業員は、電子機器の使用に抵抗感がありましたが、まずは装着してもらうことに慣れていただきました。導入して間もない頃は、ただ交信を聞いているだけでしたが、若手従業員の熱心な説明や指導と、実際に現場で活用している姿が模範となり、簡単な操作で便利に使えるシステムという認識をしてもらいました。導入した時期が繁忙期と重なったため、システムの便利さを体感してもらうには絶好のチャンスであったと思います。当初は難色を示していたベテラン従業員も、導入してから1ヶ月程度で使い方に慣れ、積極的にトランシーバーを活用して情報を発信するようになりましたし、ベテランから若手に対して言葉遣いなどの細かい部分を指導するといった変化の他、若手が新たなトランシーバー活用方法を提案するといった従業員間のコミュニケーションも活性化しております。

オーダーコールシステムとの連携で、サービス改善は実現できましたか?

接客課 主任 大木伸一様

接客課 主任 大木伸一様

呼び出しからオーダー受けまでの時間が大幅に短縮されました。今まではテーブル番号確認のために表示板まで移動する必要がありましたが、どこにいても音声でテーブル番号を確認でき、移動時間はゼロです。従来は表示板を2台設置してオーダー受けまでの時間短縮を図りましたが、今では、複数件の同時コールであっても、表示板を確認する必要はなくなり、早ければわずか数秒でお客様のテーブルへお伺いすることが可能となりました。これにより、「オーダー受けの待ち時間」に関するお客様からの指摘が劇的に減りました。時短は期待通りのメリットでしたが、他にもオペレーションのムダを削減し、業務のスマート化に大きく貢献しています。その一例として、オーダーコール受信後に、ホール担当者が「(名前を言って)、5番テーブルお伺いします」と音声で発信してからテーブルへ向かえば、誰がどのテーブルへ移動中かをホールの他メンバーやバックヤードで把握することができますので、同じテーブルに向かって2名が同時に移動を開始するといった衝突を回避することができます。また、手元のトランシーバーでオーダーコールの表示板に表示されるテーブル番号を消去できるため、表示板消し機までの移動時間もゼロになりました。このように、トランシーバーとオーダーコールシステムとの連動で、生産性向上とサービスクオリティー向上が両立できるようになり、現場では非常に助かっています。

※記事中に記載した組織・役職・所属および数値等は、但し書きがあるものを除き、すべて2017年10月現在のものです。