環境(E)

当社は、「地球環境保全」が今後の人類共通の重要課題であることを認識し、事業活動のあらゆる段階で地球環境の保全に配慮した活動を推進します。

基本方針

  1. 当社の事業活動、製品及びサービスの環境影響を継続的に改善し汚染を未然に防止するため、環境マネジメントシステムを構築する。
  2. 当社が定める環境マネジメントシステムにおいては、環境目的・環境目標を定めるとともに、定期的なレビューを通じて、継続的、計画的に実施する。
  3. 当社の事業活動、製品及びサービスにおいて省エネルギー化、省資源化、廃棄物削減を図る。
  4. 当社の事業活動、製品及びサービスは環境に関連する法令、条例等を順守する。
  5. 当社は、この環境方針を実行、維持するために、全従業員又は当社のために働くすべての人に周知する。
  6. 当社は、この環境方針を社内外に公開する。

環境マネジメントシステム

当社は、環境マネジメント体制の構築にあたり、ISO14001認証取得を推進しています。

ISO14001取得一覧
会社名 認証機関 認証番号 有効期限
アイコム株式会社 本社 一般財団法人 電気安全環境研究所 E20-682 2026年8月6日
本社地区
東京事業所
東京営業所
ならやま研究所
紀の川事業所
和歌山アイコム株式会社 有田工場
紀の川工場

環境法令の遵守状況

当社は、2023年度において、環境に係る重大な法令違反の発生はありませんでした。今後もISO14001環境マネジメントシステムの運用などを通じて、法令遵守を図ります。
また、サプライヤーに対しても、地球環境の保全が今後の人類共通の重要課題であることをご理解いただき、環境負荷の少ない製品作りの推進に積極的な取り組みをお願いしています。

  • 製品に含有する、または製造工程で用いる有害化学物質の管理による、環境負荷の小さい部品・原材料調達(「アイコム グリーン調達基準」を当社ホームページに掲載)の実施
  • 排水、汚泥、排気などに関する所在国の法令の順守資源、エネルギーの有効活用の推進
  • 資源、エネルギーの有効活用の推進
  • 温室効果ガスの排出量削減及び廃棄物の削減
  • ISO14001に準じた環境保全体制の整備

気候変動への対応

基本的な方針

気候変動をはじめ、エネルギーや資源の枯渇などの環境問題、高齢化社会や情報格差などの社会問題など様々な課題は、今や国・地域を問わない世界共通の喫緊の課題です。これらの課題は、ブランドステートメントに掲げている「How the World Communicates ~コミュニケーションで世界をつなぐ~」にも、100か国以上に製品を輸出し海外売上比率の大きい当社の持続可能な経営のためにも重要な課題(マテリアリティ)であると考えています。

当社はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同(2023年5月)し、日本国内ではTCFDコンソーシアムにも加盟しました(2023年6月)。
このTCFD提言を踏まえて、社会課題がもたらすリスクや機会を捉えることで、リスク管理体制を高度化していくとともに、新たなビジネスの機会も見出し、企業戦略へ活かします。

事業活動に伴うCO₂排出量削減

気候変動への対応:2050年カーボンニュートラルを実現

  • Scope1+2目標:2030年までに2021年比43%削減(総量、グローバル)
  • Scope3目標:Scope3におけるCO₂排出量の算定および事業活動に伴うCO₂排出量削減(グローバル)

購入した製品、輸送、販売した製品の使用による排出量削減

・Scope3カテゴリー1/4/11※に対しサプライヤーとの連携(上流、下流)によるCO₂削減(グローバル)
(※カテゴリ1:原材料・部品および購入した物品に伴う排出量、カテゴリ4:原材料・製品の輸送に伴う排出量、カテゴリ11:販売した製品の想定される電力消費に伴う排出量)

目標達成に向けた活動として、事業所における電力の使用量監視、高効率の生産・空調機器への更新、LED照明等の設備導入を進めており、従業員への環境教育にも力を入れています。また、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)にも参加しており、CO₂総排出量の削減、エネルギー原単位の改善についての連携や情報収集も行っています。

当社は、サステナビリティ推進グループが主体となり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やSBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づく目標)を含む、関連情報の収集や目標設定の議論を深めています。今後も、適切な目標設定、管理と情報開示等により、着手可能な施策から随時取り組みを進めていく予定です。

気候変動の推進管理と体制

当社は、「気候変動への対応」をサステナビリティ経営における重要な課題の一つとして認識しています。
具体的には、経営会議の直下の組織として、2023年4月にサステナビリティ推進グループを設置し、気候変動を含むサステナビリティ推進策を迅速に実行するための体制を整備しました。
サステナビリティ推進グループは、気候変動対策推進とその進捗管理の全社的な調整を行い、関連部門と連携し、マテリアリティ(重要課題)やKPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)の定期的な見直しや、気候変動による事業への潜在的な影響についての調査・情報収集、サステナビリティ関連情報の開示拡充に取り組んでいます。
加えて、社内における気候変動に関する問題意識の醸成や理解促進に向け、関連各部署と積極的なコミュニケーションを図りながら、事業とサステナビリティを結び付ける取り組みを主導しています。
また、気候変動問題に対応するガバナンス体制として、同グループは、毎年1回以上招集され、必要に応じて臨時開催し、議論の内容は経営会議に報告します。
また、「サステナビリティ推進グループ」のメンバーとして、テーマごと(気候変動については環境部会)に関連部門からメンバーを招集した専門部会を設置し、それぞれのテーマの課題の抽出、目標や実施計画、具体的対応等を協議し、推進していきます。取締役会は、これらの委員会、会議の報告を受け、必要事項を承認し、意思決定を行います。

種類 ドライバー 概要 期間 1.5℃
シナリオ
影響度
4℃
シナリオ
影響度
対応策
物理
リスク
急性
リスク
サイクロン、洪水などの異常気象の激甚化 異常気象に対する対策費用の増加 短期
  • 現在ハザードマップ外にある拠点を含めた継続的な情報収集(統合委員会にて実施)
  • 継続した分散調達および代替品の検討・準備
  • BCPの策定等によるリスクマネジメントの高度化(例:取引先及びメーカーの製品ごとの拠点・生産体制確認)
  • サプライヤーとの対話を通じた防災対策・災害時の状況確認
  • 不足部材把握体制やフローの整備
  • 気象予報に対する業務シフトの調整
物流網(トラック・鉄道・船舶等)の寸断、センター機能不全、従業員出勤不可等による操業停止 中長期
従業員が長期にわたり通勤できないことによる生産活動への影響 中長期
慢性
リスク
平均気温の上昇 エネルギーコストの増加(石油・ガス等) 短期 -
  • 工場付帯設備の更新等を実施中(LED化、エアコン等)
  • 和歌山アイコムでは2023年度に面実装機入れ替えによる省エネ対応により電力効率アップ
電力価格の変化や、電力使用量の増加によるコストの増加 短期
海面上昇 湾岸拠点が忌避されることにより、顧客ニーズに応えられなくなるリスク 中長期
  • 現在ハザードマップ外にある拠点を含めた継続的な情報収集
  • BCPの策定等によるリスクマネジメントの高度化
  • 損害保険によるリスクヘッジ
移行
リスク
政策及び法規制 GHG排出の価格付け進行(カーボンプライシング) 炭素税の導入によるコストの増加 短期 算定中 算定中
  • GHG削減/省エネ導入による炭素税回避とエネルギーコストの削減
GHG排出量の報告義務の強化 情報開示・レポーティング業務に係るコストの増加 短期 -
  • 既存人材の気候変動関連の知見向上に資する取組み(研修等)
技術 既存製品/サービスの低炭素オプションへの置換 無線機製造における新技術導入・開発によるコストの増加 中長期
  • 顧客との対話等を通じた新技術導入が必要な製品群・時期の見極めによる確信度の高い開発推進(投資毀損リスクの極小化)
  • 有効な商品開発戦略と予定厳守によるロスの削減
市場 顧客行動の変化 低炭素製品・サービスを重視する顧客ニーズへの対応不足による顧客流出リスク 中長期 -
  • 消費者のニーズ、消費地の気候条件等に最適化された低炭素/省エネ製品の開発検討
  • 市場情報の早期収集、グリーン調達指針等への反映、各国規制に基づく設計対応と必要部材の早期供給)
納入先等からのGHG削減要請への対応コストの増加 中長期 算定中 -
  • GHG削減目標設定とこれに準じた削減対応策の実施
  • 部品数削減への各種取組み
評判 消費者の嗜好の変化 気候変動への対応不足による信頼低下、二次被害として製品が売れなくなるリスク 中長期 -
  • 既存の気候変動関連開示内容の継続的更新および高度化
  • サステナブルファイナンスの検討
製品
及びサービス
低排出商品およびサービスの開発・拡大

各シナリオにおいて以下の通り市場規模・需要が増加する

<4度シナリオの場合>
気候変動に伴う世の中の防災意識の高まりを受け、既存製品群において突発需要も含めた全体的な需要が増加

<1.5度シナリオの場合>
各種規制の強化を受け、低炭素製品・サービスの需要が増加

中長期 -
 

既存コア無線機事業

  • 既存無線機事業の需要拡大に応じた製造・販売体制の整備
  • 新たな製品需要(環境配慮型製品等)の発生を見据えた研究開発、製造の検討
  • 上記新製品群に関し、各種認定取得による競争力強化を検討

新規事業展開

  • 突発需要を見据えた無線機器のサブスクリプションサービスの充実
  • 防災ニーズの増加等を見据えた各種新規ビジネス(事例1)通信拡張ユニットを通じた各種無線機とIP電話網(RoIP網)の連携による通話システムの確立(事例2)インフラ寸断時のBCP対策としても有用なハイブリット無線機の市場投入
研究開発とイノベーションによる新製品またはサービスの開発
事業活動を多様化する能力
 
消費者の嗜好の変化
市場 公共インセンティブの利用 低炭素製品の普及拡大を後押しする補助金制度によるコストの減少・売上の増加 中長期 -
  • 当社事業が対象となる補助金等制度に関する事前情報収集、タイムリーな対応
レジリエンス 資源の代替/多様化 梱包材の入替(発砲スチロール⇒段ボール等)によるコストの減少 短期 -
  • 品質を維持しうる範囲での梱包簡易化を仕入先へ依頼

気候変動に関するリスクと機会

1.5℃含む複数の気候変動シナリオに基づいてリスクと機会の分析を実施しています。自然災害の激甚化による物理的なリスク、被害を軽減するために導入される各種規制から生じる移行リスクに対して、脱炭素に貢献する製品展開の拡大、省エネ・省資源に伴うコスト低減等の検討を進める予定です。

気候変動のリスク管理

当社では、気候変動を含む環境課題を重要課題の一つと捉え、「サステナビリティ推進グループ」を中心に気候変動に関するリスクと機会の特定や評価、管理のための取り組みを推進しています。リスクにおいては、同グループのみならず総務部リスク管理ユニットと連携の上で各種リスクの特定・評価・管理を実施しています。
同グループは、経営会議直下の組織として年1回以上招集され、気候変動関連の課題を経営会議が審議・検討・監督するための事務局機能を担い、リスクと機会の特定・評価・管理のほか、各事業年度におけるGHG排出量実績評価や排出削減の進捗管理、対外開示の内容など気候変動に関する様々な事項を協議・整理します。
また、同グループでの協議・整理を経て、気候変動に関する各種事項は経営会議に報告され、取締役会で最終承認を得ます(気候変動に関する議題については、年次データの報告、要求事項の変更や環境対応に関する勉強会等で年1回以上の頻度で取り扱います)。決定事項・施策等については同グループがその後の社内実行・浸透までの進捗管理を担います。

指標と目標

当社では、2021年度分より年間の事業活動を通じたGHG排出量の算定を開始しました。当社排出においては総排出量60,640t-CO2の内約68%をScope3が占め、かつそのScope3の内70%以上が「カテゴリ11:製品の使用」に該当します(下表参照)。
こうした実績・特色を前提として、当社は具体的なGHG削減目標として2030年にScope1・2の排出量43%削減(2021年度比)、2050年にはScope1~3の総排出量実質ゼロを目指します。この目標を着実に実現へと近づけるため、徹底した省エネ活動や再エネの利活用で自社排出(Scope1・2)量削減を推進するとともに、Scope3についてもサプライチェーンとの対話に注力しながら、自社製品の強みや魅力を維持したうえでのネットゼロ達成を目指していきます。

【GHG排出量削減目標・ロードマップ】

算定対象拠点:本社、東京営業所、東京事業所、大阪営業所、アイコムアメリカ/アイコムヨーロッパ/アイコムスペイン/アイコムオーストラリア

算定対象拠点:本社、東京営業所、東京事業所、大阪営業所、アイコムアメリカ/アイコムヨーロッパ/アイコムスペイン/アイコムオーストラリア

化学物質の適正な管理

当社では、汚染防止と有害化学物質の適正な管理を行っており、以下の目標を掲げています。

化学物質の適正な管理(有害化学物質)

当社グループでは、「地球環境保全」や「人々の健康」を事業活動における重要課題と認識しています。この活動の一環として、資源の有効利用に貢献し、環境負荷の少ない部品や材料を優先的に採用するためグリーン調達基準を設け取り組んでいます。

グリーン調達

グリーン調達を推進するために、当社グループが調達する部品・材料等に対するお取引先様への依頼事項等を「アイコム グリーン調達基準」に示し、この調達基準に基づいた部品調達活動を行っています。