周波数という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。その一方で、周波数という言葉について正確に理解している人は少ないかもしれません。

ここではトランシーバーと周波数の関係、周波数の意味と役割、そしてトランシーバー選びにおいて重要である周波数について分かりやすく説明します。

トランシーバーの周波数とは?

トランシーバーと周波数の関係性

トランシーバーは決められた周波数の電波を出し、同じ周波数の電波を受け取って音声を通信する機械です。使用できる周波数はトランシーバーによって違い、また使用する周波数によって異なる性質を持ちます。

低周波数帯(50MHz帯以下)では電波が遠くまで届きやすく、障害物を越えやすい特性があります。高周波数帯(140MHz帯、300MHz帯、400MHz帯)は通信速度が速く、よりクリアな通信が可能ですが、物理的障害物や距離による制約を受けやすくなります。適切なトランシーバーを選ぶためには、使用目的に応じて周波数の関係性と役割を理解することが必要です。

トランシーバーと周波数・周波数帯

使用する周波数・周波数帯はトランシーバーの種類によって異なります。ここでは業務用として利用される3種類のトランシーバーについて紹介します。

特定小電力無線機

特定小電力無線機は400MHz帯の特定周波数を利用しており、免許不要で使用できる無線機です。最大通信距離は市街地で約500m、見通しの良い場所で約2kmとなります。小さな電力で運用できるため、大容量の電池を必要としません。また無線機自体の大きさもコンパクトで軽量のため、持ち運びがしやすいという特徴があります。一方で送信出力が小さいため通信距離が限られています。また使える周波数が限られているため混信の影響を受けることがあります。

特定小電力無線機

簡易業務用無線機

簡易業務用無線機は154MHz帯、300MHz帯、400MHz帯の周波数を利用しており、出力が高く、通信距離も市街地で約1km、見通しの良い場所で約4kmと非常に長いことが特徴です。簡易業務用無線機を利用するためには免許または登録が必要(無線従事者資格は不要)です。数年毎に免許の更新が必要となります。1局(1台)あたり年間200円の電波利用料を納付しなければなりません。大きな送信出力となるため消費電力もおおく、そのため電池も大きなものになります。簡易業務用無線機の本体は特定小電力無線機と比べて大きく、重くなっています。

簡易業務用無線機

IP無線機

IP無線機は携帯電話会社の通信網を利用しており、700MHz、800MHz、900MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHz、3.5GHz、3.7GHz、4.5GHz、28GHzと非常に高い周波数を使用しています。免許不要で持つことができ、携帯電話が使える場所であればIP無線機も使用できることになります。広い通信エリアがIP無線機の最大の特徴です。ただし、IP無線機は携帯電話回線を利用しているため毎月の通信料を支払う必要があります。使用前には回線契約が必要となります。

IP無線機

無線機タイプ 周波数 通信距離 特長
特定小電力無線機 400MHz帯の特定周波数

市街地:約500m

見通しの良い場所:約2km

・免許不要で使用可能
・乾電池数本で使用可能
・コンパクトで軽量
・通信距離が限られる
・使用できる周波数が限られる

簡易業務用無線機 154MHz帯、300MHz帯、400MHz帯

市街地:約1km

見通しの良い場所:約4km

・出力が大きい
・通信距離が約4kmと長い
・免許または登録が必要(無線従事者資格は不要)、免許更新と電波利用料が必要
・大きく重い(特定小電力無線機と比べると)
IP無線機 700MHz、800MHz、900MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHz、3.5GHz、3.7GHz、4.5GHz、28GHz 携帯電話の通信範囲で使用できる。 ・免許不要で使用可能
・広い通信距離範囲
・毎月の通信料が必要
・回線契約が必要

トランシーバーにはこれら以外にも、大きな送信出力と外部アンテナを利用し地球の電離層を介して電波を遠くまで飛ばすHF無線機、海上で船舶の航行をサポートする海上無線、航空機や飛行場施設で使用されているエアバンド等、様々な機種が存在し、それぞれ異なった周波数を使用しています。

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トランシーバーと周波数のルール

トランシーバーを使用する上で注意すべき4つのポイントもご紹介します。

各国のルール

電波は国境を越えて届くため、周波数の使い方は国際的に調整されています。国連の専門機関である国際電気通信連合(ITU)が周波数帯ごとの用途を定め、各国はその枠組みの中で自国の周波数の割当てを決めています。日本では総務省がその役割を担っています。

このように周波数ごとに用途を決めておくことで、混信などを防ぎ、安心してトランシーバーを使用できる環境が整えられています。ただし、具体的な割当ては国によって異なるため、日本と海外では使用できる周波数やトランシーバーが異なります。そのため、日本のトランシーバーを誤って海外で使用すると、その国の電波に関する法律に違反してしまいます。海外では日本のトランシーバーは使用せず、その国で販売されているトランシーバーを使用するようにしてください。

免許制度

不要なトラブルを未然に防ぐため、基本的にはトランシーバーの使用に免許が必要となります。総務省・総合通信局は免許を取得した無線局のみに使用を許可しています。これは混信が無く、安全にトランシーバーを使用できるようにするためです。総務省・総合通信局は無免許の無線局の使用を厳しく取り締まっており、もし無免許での使用が発覚すれば逮捕される可能性もあります。トランシーバー使用の際はしっかりとルールに基づいた利用をしてください。

参考:総務省 電波利用ポータル|免許関係|免許

違法改造

トランシーバーの改造も違法となり厳しく取り締まりが行われています。例えば、アンテナの長さを変えただけでも違反となってしまいます。また改造を行いトランシーバーの出力を高めると混信を誘発する可能性もあります。そのため厳重な規制がされており、もし違反すれば100万円以下の罰金を科されることもあります。

引用:総務省|関東総合通信局|不法無線局

出力を高めトランシーバーの通信距離を長くして利便性を高めたいと思っても、改造の実施は絶対に避けましょう。遠距離通信を行いたい場合は、IP無線機などの利用をおすすめします。携帯電話会社の通信範囲であればどこからでも通信が可能です。

IP無線機

技適マーク

日本国内でトランシーバーを使用する際には、必ず技適マークの有無を確認しましょう。技適マークは日本国内で使用可能なトランシーバーかどうかを判断する基準となります。技適マークは電波法の技術基準に適合した無線機器であることを示すマークとなります。

引用:総務省 電波利用ポータル|電波監視|技適マークのQ&A 

中古品やネットオークション等でトランシーバーを購入する際は技適マークが付いているか必ず確認し、分からない場合は問い合わせるようにしましょう。確認ができない場合は購入を見送ることも賢明な判断となります。また、ネットオークション等で購入した場合、修理対応のサポートが受けられないケースがほとんどです。長期的に無線機の使用を目的としているなら正規代理店でのトランシーバーの購入をおすすめします。修理・メンテンナンスなど、気になる点があればいつでもアイコムへお問い合わせください。

まとめ

業務において離れた場所にいる人とコミュニケーションを取る際に、トランシーバーは非常に便利な機器で、その業務を支えるツールとなっています。

トランシーバーは機種によって使用できる周波数が異なり、周波数によって電波の性質も変わります。低い周波数帯は電波が遠くまで届きやすく、障害物を越えやすい一方、高い周波数帯はクリアな通信が可能な反面、障害物や距離の影響を受けやすくなります。業務用には特定小電力無線機、簡易業務用無線機、IP無線機などがあり、それぞれ使用する周波数や通信距離、免許の要否が異なります。

多くの人が利用するトランシーバーを安全に使うためには、目的に応じて適切な機種を選ぶ必要があります。また、不要なトラブルを避けるためにも、各国のルールや免許制度、違法改造、技適マークについて理解しておくことが必要です。トランシーバーは、使用する周波数によって通信できる距離や電波の届き方が変わります。そのため、トランシーバーと周波数の関係や、それぞれの周波数が果たす役割をしっかりと理解した上で、正しく利用することが大切です。

この件についてもっと詳しく知りたい、確認したい点があればアイコムへお問い合わせください。