トランシーバー(インカム、無線機)は様々な業務や作業のコミュニケーションを円滑にする便利なツールです。しかし、「使い方が分からない」、「操作方法が難しそう」という懸念から導入を迷われている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、トランシーバーの基本的な操作方法や通話のコツを初心者の方にも分かりやすく解説。また、音が聞こえない等のトラブルが起きた場合の対処方法、業務に役立つ機能についてもご紹介します。

トランシーバーの基本的な使い方

ここでは、トランシーバーの使い方について紹介します。機種によって異なる部分もありますが、多くのトランシーバーで基本的な操作方法は共通しています。

1、電源を入れる。

2、音量を調節する。

3、通話したい相手とチャンネル(周波数)を合わせる。

4、PTTボタン(送信ボタン)を押しながら話す。

5、PTTボタン(送信ボタン)を離して、相手の音声を聞く。

このように、トランシーバーはボタンを押すだけのシンプルな操作で通話ができるため、初めての方でも簡単に使うことができます。下記では、より詳しい操作手順について解説します。

電源と音量の設定

最初にトランシーバーの電源を入れます。電源ボタンが付いている場合もありますが、音量ツマミが電源を兼ねている場合が多いです。ツマミを音量が大きくなる方向へ回すことで、電源が入ります

電源が入ったことを確認したら、音量のツマミを左右に回して音量を調節します。電源が入っていても音量が小さいと、聞こえない場合があるので注意が必要です。

反対にツマミを音量が小さくなる方向(左)に「カチッ」と音がするまで回すと電源が切れます。

通信相手とチャンネル(周波数)を合わせる

トランシーバーには、テレビやラジオのようにチャンネルがあり、発信側と受信側のチャンネルを合わせることで、通話ができるようになります。そのため、作業の前に通話相手とチャンネルが一致しているかを確認しておきましょう。

チャンネルはトランシーバーのツマミやボタンで設定できます。

PTTボタン(送信ボタン)を押して話す

チャンネルが設定できれば、PTTボタン(送信ボタン)を押しながら話すことで、相手に音声を届けることが可能です。基本的にトランシーバーは、PTTボタンを押している人のみ音声送信ができるため、話す権利を譲り合いながら通話する必要があります。

そのため、発言の最後に「どうぞ」と一言を添えてPTTボタンをはなす等、相手が話しても良い状態であることを伝えることが大切です。

PTTとは:Push To Talkの略。ボタンを押している時に音声送信状態になる通話の方式。一般的にトランシーバーの送信ボタンはPTTと呼ばれることが多い。

トランシーバーの通話方式と特長を解説

先ほど、基本的にトランシーバーは交互に話す権利を譲り合いながら通話するとご紹介しましたが、実はその他にも通話の方式があります。

トランシーバーでの通話方式は、「交互通話」「同時通話」「一斉同時通話」の3種類。それぞれの特徴を知ることで、より業務内容や目的に適したトランシーバーを選びやすくなります。

交互通話

交互通話は、PTTボタンを押している時だけ、相手に音声を送信できる通話方式です。発信と受信を同時に行うことはできず、PTTボタンを押していないときは送信を中断し、相手の電波の待ち受け状態になります。多くの機種で採用されている、トランシーバーの基本的な通信方式です。

同時通話

同時通話は、携帯電話のようにお互いが同時に話せる通話方式です。発信と受信を同時に行えるので、相手の発言時もPTTボタンを離す必要がありません。相手が話し終わるのを待つ必要がなく、よりスムーズなやり取りが可能です。

多重通話(一斉同時通話)

多重通話(一斉同時通話)は、グループを使用している全員が同時に話せる通話方式です。多人数とリアルタイムに通話ができるので、電話会議のような使い方が可能です。グループ全体で密にコミュニケーションを取りたい場合に便利です。

上手く通話するためのポイントをご紹介

トランシーバーは便利なコミュニケーションツールですが、上手く相手に情報を伝えるには少しのコツが重要になります。ここでは、トランシーバーの利点を最大限に発揮するために、通話時のポイントをご紹介します。

自分の名前、伝えたい相手を明確にする

正確な情報を簡潔に話す

・ゆっくり明瞭に発音する

自分宛の連絡を確認した際は返事をする

自分の名前、伝えたい相手を明確にする

トランシーバーの通話では、目の前に話し相手がいません。また、多くの場合1対複数人とのやり取りになります。用件を話すだけでは、誰が誰に向けて発信したのかが分かりません。そのため、話を始める際は、自分の名前と通話相手を明確に伝えましょう。

正確な情報を簡潔に話す

無線機の会話では前述の通り、基本的には交互で発言することになります。そのため、スムーズに会話を行うためには、重要な情報を簡潔に伝えることがポイントになります。また、相手の誤解を招かないように正確に話すことも心がけましょう。

ゆっくり明瞭に発音する

無線機は基本的に音声のみでのコミュニケーションとなります。相手が聞き取りやすいように、ゆっくり明瞭に発音しましょう。また、不要な言葉を挟まず、出来るだけ分かりやすく伝えることを意識することが大切です。

自分宛の連絡を確認した際は返事をする

自分宛のメッセージを聞いたら、必ず「了解」等と返事をするようにしましょう。電波の状況や通信距離によっては、音声が途切れる、聞こえなくなる等のトラブルが生じることがあります。そのため、情報が伝わっていることを相手に伝えるためにも、返事が重要になります。

こんな時はどうする?使用時のトラブルと対処方法

トランシーバーを使っていると、音が聞こえないなどのトラブルが発生する場合があります。トラブルの内容によっては簡単に解消できることもあるので、ぜひチェックしてください。

トランシーバーの電源が入らない

まず、電池/バッテリーが正しく装着されているかを確認しましょう。装置部に汚れ等が付いていると、接続不良を生じる可能性があるため注意してください。

電池切れ/バッテリー劣化の場合は買い替えが必要ですが、バッテリー切れであれば充電して再度装着することで使用できます。また、トランシーバーを長時間使用する際は、予備バッテリーの活用もおすすめです。

通話相手の音声が聞き取りづらい/聞こえない

イヤホンの断線などの周辺機器の不具合の場合は交換が必要です。起こりやすいトラブルのため、トランシーバーの機種によっては「断線検出機能」を備えている機種もあります。

次に、音量やチャンネルなどの設定に間違いがないか確認しましょう。作業中にボタンやツマミに触れてしまい設定が変わってしまうことがあります。ほとんどのトランシーバーには、チャンネルの不用意な変更を防ぐ「キーロック機能」が搭載されているので、こちらの活用もおすすめです。

また、相手方との距離が離れすぎている、地下など電波の届きにくい場所にいるなどの原因も考えられます。そのような場合は、場所を変えてみることで、音声が聞こえるようになることがあります。

関係のない音声が聞こえる

近くで同じチャンネルを使用している人がいる場合、その人たちの音声が混ざってしまうことがあります。前述の通り、トランシーバーは基本的に交互通話のため、相手の音声が聞こえない、スムーズに通話ができないなどのトラブルに繋がってしまいます。

そのような場合は、他のチャンネルに移動するか、他の利用者の通話が終了するのを待ちましょう。

まとめ

トランシーバー(無線機・インカム)は、ワンタッチで多人数と通話ができる便利なコミュニケーションツールです。通話のコツを押さえて正しく使用することで、業務の効率化はもちろん、チームワークの強化を実現します。

アイコムは総合無線機メーカーとして、高機能なトランシーバーを提供しており、多くの企業様や団体、自治体に製品を導入いただいております。業務の内容や現場の状況に応じたご提案が可能ですので、トランシーバーの導入をご検討中の企業のご担当者様は、お気軽にご相談ください。