IC-705で30年ぶりに、HFにカムバック。

免許を取得して10年くらいはアクティブに運用していましたが、仕事が忙しくなるにつれ、情熱は冷めてしまい、ここ30年はハンディ機で、年に5~6回電波を出すのがやっとの状態でした。しかし、IC-705の発売を機に、もう一度、HF運用をしてみたくなりました。バイクツーリングが趣味の1つですが、IC-705なら旅先でも運用できるんじゃないか、というのも購入した理由です。

さっそく移動運用してみました

さて、アマチュア無線歴は、そこそこある私ですが、移動運用は初めての経験でした。運用地に選んだのは兵庫県川西市にある妙見山(標高660m)。特にこの日は雨模様で、訪れる人はほとんどなく、悪目立ちすることはありませんでした。

準備が終わり10:00前には、IC-705の電源をON。この日は「6m AND DOWN コンテスト」だったので、多くの局が出ており、交信相手には困りませんでした。430MHzFMでCQを出すとすぐに応答があり、交信が終わると、すぐに呼ばれる状態でした。その後、144MHzのSSBでも運用しましたが、同じような状況でした。

●使用機器

・IC-705
・144/430MHz用GP
・電源:ポータブルバッテリー(外部電源)

アウトドアで実感、リアルタイムスペクトラムスコープの威力

初めてスコープを搭載したリグを使用しました。実際に使うまでは、信号を探す際、耳で聴くのと、それほど差はないのではないか、と思っていました。しかし、5分もしないうちに、耳よりスコープに頼るようになっていました。特に、騒音がある屋外で耳を澄まして信号を探すのは大変です。スコープは移動用のリグにこそ必要なものだと感じました。また、空き周波数を探す際も、スコープで見当をつけ、しばらくワッチするという手順でとてもスムーズでした。今回のような山頂だと信号が強く、しかもノイズが少ないこともあり、空き周波数がはっきりとわかりました。10Wに小型のアンテナだと、こちらの電波が届くか心配です。できるだけ強力に入感している局を選んで応答したいところです。そんな時も、信号の強弱が一目でわかるスコープは有効でした。

ノイズが少ないので、信号がくっきりと浮かび上がっています。電波の質も一目瞭然です。

ぶっつけ本番でもOKの操作性

取説は読まず、とりあえず使ってみる派ですので、30年ぶりのHF機ですが、ほぼぶっつけ本番で使ってみました。

設定を変更したい項目を、とりあえずタッチするだけで、何の問題もなく各種設定ができました。それどころか、各項目をどんどんタッチすることで、どんな機能があるのか、詳しく知ることができました。コンパクト機はボタンやダイヤルが少ないため、操作性が劣るという認識でしたが、タッチパネル採用のIC-705については、そんな心配は不要でした。

屋外でも聞きやすいスピーカー音

CWができないので、SSBとFMでの運用でした。スピーカーマイク、ヘッドホンを試しましたが、私的にはスピーカーの音が一番聞きとりやすいと感じました。スピーカーマイクとヘッドホンが悪いというより、スピーカーが優れている印象です。前面にスピーカーがあることも功を奏していると思います。昔はヘッドホン一択でしたが、IC-705ならスピーカーを常用しそうです。

私的には、IC-705の内蔵スピーカーが一番聞き取りやすい音でした。また、ミニ三脚があると自由にIC-705の角度を変えることができ、非常に便利です。

HF運用には必須のSWRグラフ機能

自宅でアンテナ(HF用)を調整した時のことですが、エレメントをどれだけカットしたら目的の周波数に合わせられるのか?その見当をつける際、SWRグラフ機能が便利でした。アンテナアナライザーを持っていない私には必須の機能です。特に帯域の狭い短縮形のアンテナを使用している時には、使用頻度の高い機能です。移動地では、環境が変わるため、SWRも変化します。そんな時も、素早くSWRをグラフ化できる機能は大いに役立ちます。

周波数ステップも切り替えることができます。この機能があるおかげで、安心して電波を出せました。

あまり興味がなかったD-STARですが・・・

これは島根県松江市に移動した時のことですが、HFはコンディションが悪く、CQを出しても応答なし、信号の入感もなし、V/UHFは閑古鳥が鳴いているという状態でした。このまま1局もQSOできないのか、と諦めかけた時、思いついたのがIC-705はD-STARにも対応している、ということでした。D-STARなら、コンディションは関係ありません。松江市に土地勘は全くありませんでしたが、最寄りレピータ検索で、すぐにアクセスできるレピータ(出雲430)を見つけることができました。そして、3局ほどQSOできました。しかも、D-STARでの通信は安定しており、音質も優れているので、屋外でも非常に聞きやすく、リラックスしてQSOを楽しむことができました。屋外で弱い信号を聞き取るのは疲れますが、D-STARではそれがありませんでした。移動運用でD-STAR、新しい発見でした。

コンディションが悪い日や時間帯も、IC-705ならD-STARでのQSOを楽しむことができます。

HFからV/UHF、DVを含むオールモード対応に対応したIC-705は、やりたいことは、ほぼ何でもできます。そして、タッチ操作により何でも簡単にできてしまいます。IC-705をひとことで言うと「何でも、簡単にできるリグ」という印象を持ちました。