AISとは

AIS(Automatic Identication System:船舶自動識別装置)とは、自船や周辺海域を航行する他船の位置、船速、針路、大きさなどの情報データをVHFの無線電波帯で送受信するシステムです。
AISには、船舶、海岸局、航路標識、捜索救助艇とSARTの5種類があり、国際的に船舶にはクラスAとクラスBの2つがあります。日本国内の船舶には、クラスAと簡易型AIS※1の2つのクラスが認められています。 クラスAのAISトランスポンダーは、SOLAS船(大型船舶や国際航路に従事する船舶や、旅客船など)向けで、搭載することを義務付けられた船舶用です。簡易型AISトランスポンダーは、SOLAS船以外の大型船と小型船舶(ヨットやボート、漁船など)向けで、任意にAISトランスポンダーを搭載する船舶用です。 このため簡易型AISトランスポンダーはクラスAと比べると送信するデータの中身や頻度が簡略化されています。
AISデータを受信すると、周辺を航海する船舶の情報を画面上で確認することができ、込み合った海域や海岸線が入り組んだ狭い海域、夜間や霧などの視界がない状況でも、安全に航行することができます。従来のレーダーでは見分けのつかなかった波と小型の船舶や、レーダーでは届かなかった島や大型船の裏側が”見える”※2ことになり、小型船舶にとっては自船の存在を大型船に認識してもらうことで衝突を回避することができます。
※1 簡易型AISは、クラスBでは任意の扱いとなっているいくつかの受信情報を標準で受信します。
※2 AISデータを送信しない船やブイや岩礁はAISトランスポンダーでは表示されません。
簡易型AISトランスポンダー(簡易型船舶自動識別装置)
自船の船舶情報が移動速度に応じて、30秒~3分間隔で自動的に送信されます。また、2つのAISチャンネル(CH87B、CH88B)で、クラスA、クラスBのAIS情報を2波同時受信します。これにより、AISを搭載してる船舶の情報を知ることができます。
【MA-500TRJの送信情報】
静的情報 | 動的情報 |
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大型フルドット・マトリクス表示で簡単操作を実現
大型フルドット・マトリックスディスプレイ(128×128ドット)上に、自船位置および周辺のAIS対象船の情報をリアルタイムで表示します。また、夜間でも見やすいようにディスプレイと各ボタンの明るさ(7段階)とディスプレイのコントラスト(8段階)を調整できます。本機にはプロッター画面、ターゲットリスト画面、危険船リスト画面の3種類の表示タイプがあり、[表示切替]ボタンで表示タイプを切り換えることできます。また、詳細画面では選択された船の船舶情報が表示します。
【クラスAの船舶詳細画面】
※ 簡易型AISの船舶詳細画面は、目的地情報画面とその他の情報が一部省略されます。
CPAとTCPAの衝突警報機能搭載
CPA(自船との最接近ポイント)を0.1海里~6海里、TCPA(CPAに到達するまでにかかる時間)を1分~60分に設定することができます。AIS対象船が設定した両条件の範囲よりも近づいた時には、警告音で知らせます。また、プロッター画面上では、CPA=6NMとTCPA=60min両条件の範囲より近づいた時に、すべてのAIS対象船を点滅して知らせます。
最大100のウェイポイントを登録可能
最大100の位置情報を登録することができ、ディスプレイ上には旗のマークで表示されます。
また、[MOB]ボタンを押すと現在位置をウェイポイントとして登録できます。
メッセージ受信機能
AISトランスポンダー搭載船や海岸局から安全航行関連のメッセージを受信できます。メッセージを受信するとメッセージアイコンが点灯します。受信したメッセージは最新の20個が自動的にログメモリーに保存されます。
IPX7の防水性能
バッテリーパックを正しく装着した状態で水深1mの静水(常温の水道水)に静かに沈め、30分間放置したのちに取り出して、無線機として機能することです。(コネクター部は除く)
NMEA0183対応の入力/出力ポートを3系統装備
本体背面に15ピンD-SUBコネクター(NMEA入力/出力ポートを3系統)を搭載。レーダーやパソコンなどへの外部出力、外部GPSとの接続が可能です。データ速度はNMEA1およびNMEA3ポートは、4,800bpsと38,400bpsから選択でき、NMEA2ポートは38,400bps(固定)です。
GPSレシーバーについて

本体と接続して使う、専用のGPSレシーバーを用意しました。必ずセットでお求めください。
一般仕様
周波数範囲 | 161.975、162.025MHz (初期値)、 161.500 ~ 162.025MHz |
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電波の型式 | 16K0F1D (GMSK) |
消費電流 (DC12.0V時) |
送信時 1.5A以下 受信時 0.7A以下 |
電源電圧 | 10.8~15.6V DC (マイナス接地) |
使用温度範囲 | -20℃~+60℃ |
アンテナインピーダンス | 50Ω不平衡 |
防塵/防水準拠規格 | IPX7※1 |
寸法 (突起物含まず) | 165(幅)×110(高さ)×123(奥行) mm |
重量 | 約1.0kg |
入力端子 | D-Sub15ピン (高密度タイプ) |
送信部
送信出力 | 2W |
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変調方式 | GMSK変調 |
スプリアス発射強度 | -36dBm以下 |
受信部
受信感度 | -110dBm (20%パケットエラーレート時) |
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相互変調特性 | 65dB以上 |
スプリアス妨害比 | 70dB以上 (AIS) 70dB以上 (DSC) |
隣接チャンネル選択度 | 70dB以上 |
スプリアス発射強度 | -57dBm以下 (AIS) |
GPS受信部
受信チャンネル | 66チャンネル WAAS、EGNOS、MSAS、GAGAN |
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受信周波数 | 1575.42MHz |
受信コード | L1、C/Aコード、SPS |
インターフェース(データ入力)
NMEA1、NMEA3 | 4,800bps (IEC 61162-1) または 38,400bps (IEC 61162-2) から選択 (初期値:4,800bps) |
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NMEA2 | 38,400bps (IEC 61162-2) (固定) |
センテンスフォーマット | NMEA1~3: RMC、GGA、VTG、GSA、GSV、 GBS※2、DTM、GNS、GLL |
入力レベル (2V時) | 2mA以下 (2V供給時) |
インターフェース(データ出力)
NMEA1、NMEA3 | 4,800bps (IEC 61162-1) または 38,400bps (IEC 61162-2) から選択 (初期値:4,800bps) |
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NMEA2 | 38,400bps (IEC 61162-2) (固定) |
センテンスフォーマット | NMEA1: DSC、RMC、GGA、VTG、GSA、GSV、 GBS、DTM、DSE、GNS、GLL NMEA2: VDM、VDO、ALR、ACA、ACS、TXT、 RMC※3、GGA※3、GNS※3、GLL※3、VTG※3、 GSA※3、GSV※3、GBS※3、DTM※3 NMEA3: RMC、GGA、VTG、GSA、GSV、GBS、 DTM、GNS、GLL |
出力レベル | 5V/最大40mA (RS-422平衡タイプ) |
※1 コネクターとケーブル類を正しく接続した状態で水深1mの静水(常温の水道水)に静かに沈め、30分間放置したのちに取り出して、無線機として機能することです。
※2 GPSレシーバーからの位置情報がGBSセンテンスを含んでいない場合は、本製品はGPSレシーバーから位置情報を受け付けません。
※3 イニシャルセットモードの「AIS Output」項目で、 「AIS+GPS」を設定している場合だけ出力します。
- 本製品はIEC62287-1に対応しております。
- 定格・仕様・外観等は改良のため予告なく変更する場合があります。
おもな付属品
- NMEAコネクターケーブル
- 本体取り付けブラケット一式
- DC電源ケーブル
- 取扱説明書
- 申請書類一式
- 保証書
取扱説明書
名称 | 製品名 | 補足説明 |
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取扱説明書 | MA-500TRJ | |
簡易型AISの開局・運用に当たって | MA-500TRJ | |
取扱説明書 | MXG-5000J | |
取扱説明書 | MXG-5000SJ |
よくあるご質問
MA-500TRJ
- MMSIの番号は何を入力すればよいのですか。
MMSI番号は、無線局免許状に記載される9桁の識別信号です。免許状の「識別信号」欄に記載されている番号を入力してください。
- 更新日時
- 2017/05/29
- 文書ID
- 625
MA-500TR/MA-500TRJ/MA-510TRJ
- 送信の間隔を教えてください。
国際規格 AIS class B規格 IEC62287-1に準じた規格で設計されています。
自船の対地速度が2ノット以下 3分間隔。
自船の対地速度が2ノットより速い場合 30秒間隔。- 更新日時
- 2021/10/20
MA-500TR/MA-500TRJ/MA-510TRJ
- 時計表示はJST表示に対応していますか。
JST表示には対応していません。
時計表示はUTC表示に統一されています。- 更新日時
- 2021/11/24
IC-M504J/IC-M506J/MA-500TR/MA-500TRJ/MA-510TRJ
- MMSI番号の変更は可能でしょうか?
操作でのMMSI番号の設定は1回のみ可能です。
MMSI番号の変更は可能ですが、変更するには、MMSI番号の初期化を行う必要がございます。MMSI番号の初期化のご依頼は、機器をお買い上げいただきました販売店、
または弊社「紀の川事業所リペアセンター」にご依頼ください。
MMSI番号の初期化費用5,500円(税込)および送料はお客様のご負担となります。【発送先】
アイコム株式会社 紀の川事業所リペアセンター
〒649-6402 和歌山県紀の川市北勢田1079-18
電話番号 0736-79-4335
MMSI番号の初期化について、詳しくは弊社サポートセンターに
お問い合わせください。サポートセンター
フリーダイヤル:0120-156-313
受付時間:平日 9時~17時
携帯電話・公衆電話からは:06-6792-4949- 更新日時
- 2021/11/24



防塵・防水保護等級(IP)について
防塵・防水について、IEC(国際電気基準会議)やJIS(日本工業規格)で規格化された保護等級を2つの数字で示しています。たとえば「IP67」の場合、1つ目の「6」は固形異物(粉塵など)に対する保護等級を、2つ目の「7」は水の浸入に対する保護等級を表します。保護等級の表示を省略するときは「X」を記載しています。


防塵保護等級
IP6x (耐塵形) |
バッテリーパック、アンテナを正しく装着した状態で、試験用粉塵を1m3あたり2kgの割合で浮遊させた中に8時間放置したのちに取り出して、無線機の内部に粉塵の侵入がないことです。 |
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IP5x (防塵形) |
試験用粉塵を1m3あたり2kgの割合で浮遊させた中に8時間放置したのちに取り出して、無線機として動作することです。 |
防水保護等級
IPx8 (水中形) |
IPX7を超える防水性能を備えること(具体的な性能は製品ごとに異なります)。 |
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IPx7 (防浸形) |
バッテリーパック、アンテナを正しく装着した状態で、水深1mの静水(常温の水道水)に静かに沈め、30分間放置したのちに取り出して、無線機として動作することです。 |
IPx6 (耐水形) |
注水ノズル(内径12.5mm)をすべての方向に使用して、3mの距離から、1分間に1m2当たり約100リットルの水を3分間以上注入後、無線機として正常に動作することです。 |
IPx5 (防噴流形) |
注水ノズル(内径6.3mm)をすべての方向に使用して、3mの距離から、1分間に1m2当たり約12.5リットルの水を3分間以上注入後、無線機として正常に動作することです。 |
IPx4 (防まつ形) |
いかなる方向からの水の飛まつを受けても有害な影響がないこと。 |
