17)ハンドヘルドFMトランシーバー用簡易『VOX』装置の製作


外観写真

今回から無線機用小物の製作シリーズをお届けします。第1回目はハンドヘルドFMトランシーバー用簡易『VOX』装置の製作です。

音声を入れると、自動的にPTT(プッシュ・トウ・トーク)が働いて送信が行われ、音声入力が無くなると、自動的に送信か切れて受信状態に変わる装置です。

この装置はボイス・コントロールの意味から、略称で『VOX:ヴォックス』と呼んでいます。

ここで製作する『VOX』は簡易型ですが、PTT操作を自動的化するには、十分なものです。快適運用で、交信の楽しみを倍増させてみて下さい。

■ハンディ機の外部マイクの入力端子
ハンディ機の外部マイクの入力端子(小さい2.5mmφのジャック側)は、PTT機能を持っており、ダイナミック・マイクを使用した場合には、図1の様な回路構成で外部のPTTスイッチを押せば、送話状態にすることができます。


図1:ハンディ機の外部マイク使用方法
  :ダイナミックマイクのとき

この外部PTTスイッチを押すことなく、音声を入れれば自動的に送信を行わせるのが本器なのです。

■簡易型『VOX』の構成
簡易型『VOX』の構成図を図2に示します。コンデンサ・マイクに入った音声信号は、2段の低周波アンプで増幅され、その出力をコンデンサを使って2方向に分岐させています。一方は整流部を通して信号を直流化してPTT切換え用のスイッチ部へ、もう一方は増幅した音声信号をそのままマイク端子に送り込むものです。


図2:簡易型『VOX』の構成図

外部雑音などで『VOX』が誤動作しないために、ハンディ機との接続間にフィルタを設けてあります。

■簡易型『VOX』の回路図
簡易型『VOX』の回路図を図3に示します。


図3:簡易型『VOX』の回路図

コンデンサ・マイク(ECM:エレクトレット・コンデンサ・マイク)に与えられた音声は、トランジスタTr1とTr2で増幅されて、その出力はコンデンサC3とC4によって、2方向に分けられます。C3側の信号はゲルマニューム・ダイオードD1とD2で整流され、音声信号が直流化されて、プラスの電位信号がトランジスタTr3のベースに与えられます。同時に整流化されたプラス電位信号は、電解コンデンサC5にも与えられて、充電されます。

トランジスタTr3は、PTTスイッチを指で押さなくて済むためのスイッチング用のトランジスタです。

このトランジスタTr3のベースに接続されているコンデンサC5は、トランジスタTr3の動作を保持して、しゃべっている途中で息をしても、PTTが切れないようにするためです。

あまり大きな容量値にすると、しゃべり終わっても、なかなかPTTスイッテが切れずに受信状態に移れずうまくありません。

私の場合、この回路構成では、47μFが快適値でした。皆さんは、自分の好みに合わせて、値を決められると良いでしょう。

抵抗R7は、一応保護用です。この値でしたら、十分にハンディ機のPTTが動作します。

電源は、単四乾電池2本を用いて、3Vを供給しています。

■製作
コンデンサ・マイクは、市販の細長いフレキシブル・マイクを使います。電子パーツ店の軒先に吊るされていた『SSH−2』というものです。フレキシブル:33Cm、重量:45g、こーど長:2mです。コードは実装に合わせて、短く切ります。


写真2:部品組立の様子

部品の配線は厚紙の上にパーツを並べ、組み立てました。プリント基板は使っていません。

トランジスタ、ダイオード、抵抗、コンデンサ・・・などを平たく並べ、リード線をうまく使って配線しています。配線したブロック(かたまり)を厚紙の上にセロテープで固定すれば回路の組立は完了です。厚紙の底に両面テープを付け、ケース内部に貼り付けます。

部品組立の様子を写真2に示します。

使用したプラスチック・ケースは、タカチ製SU−140A(140×35×110)です。ケース内部の全体の様子を写真3に示します。


写真3:ケース内部の全体の様子

フレキシブル・マイクの直径に合わせてケース裏面中央に穴をあけ、その隣にPTT端子に入れるプラグが付いたシールド・コード(コード長:30cmほど)を通す穴をあけます。

前面には、小型トグル・スイッチの取り付け穴をあけます。

PTT用のプラグ・コードは、市販のオーディ用の延長プラグ・コードを流用します。ほとんどステレオ用ですが、これを使います。コードの先端をむくと編み線と、赤線、白線の3本が出てきます。本器で使用するのは、編み線(マイナス極側になります)と白線(PTT出力側になります)をつかいます。赤線は先をむかずにそのままにしておきます。

フレキシブル・マイクには、固定用のクランプが付属されているので、利用されるとよいでしょう。さらにボンドを使ってフレキシブルのもとを固定します。

乾電池ホルダーは、底に両面テープを貼ってケース内に固定します。

■動作させましょう
ハンディ機の電源スイッチをONにして、本器のPTT接続プラグをハンディ機のマイク端子に差込みます。ハンディ機が受信のままになっているはずです。もし、送信状態になるようでしたら、PTT接続用コードの先端部分がショートしているか、製作した回路の出力部分がアースに落ちていますから、配線を確認しましょう。

トラブルがなければ、本器の電源スイッチを入れましょう。マイクに近づいて(間隔5cmほど)しゃべります。ハンディ機の送信ランプが点灯し、しゃべり終わってホンの少し経過してから受信状態に移ります。

モニターできる機器がありましたら、音声状態も聞けて確認は完璧にできます。