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No.139 電蓄からデジタルオーディオまで 第41回

フラッシュメモリーや、HDD搭載デジタルオーディオプレーヤーが登場
1990年代後半から2000年代に入ると、MD以外にもフラッシュメモリーや小型のHDD(ハードディスクドライブ)などを録音媒体としたポータブルタイプのデジタルオーディオプレーヤーが登場してきた。フラッシュメモリーは、NOR型とNAND型があり、いずれも東芝の舛岡富士雄氏が発明した。NOR型は、マイコン応用機器のシステムメモリーに適しており、ROMとして適している。また、NAND型は携帯電話、デジタルカメラ、デジタルオーディオプレーヤーなどの記憶媒体として適しており広く使用された。
NAND型の主な用途としては、USBメモリーや、メモリースティック、SDメモリーカード、スマートメディア、コンパクトフラッシュなどとして幅広く商品化されている。そのためNAND型の需要が急速に拡大し、生産量も急増するにつれ価格も急速に低下して行った。はじめは記録容量比較で、HDDや光ディスクと比べ高額だったが、2006年頃になると、フラッシュメモリーメーカーの生産設備が強化され、増産が進んだため急速に価格は下落した。記録容量比でHDDや光ディスクを下回るまで低下するのは難しいものの十分競争力はついてきた。さらに、ドライブ装置が要らずソリッドステートならではの薄型・小型・軽量であり、耐震性の問題も無い特徴は、携帯デジタルオーディオプレーヤーには最適な録音媒体となった。

ソニーが1997年7月にメモリースティックを発表
このフラッシュメモリーを使ったメモリーカードをデジタルオーディオプレーヤーやデジタルカメラなどに利用しようという動きが出てきた。ソニーは、1997年7月にメモリースティックを発表した。富士通との共同開発で、アイワ、オリンパス、カシオ計算機、三洋電機、シャープなどが協賛した。このころには、コンパクトフラッシュ、スマートメディアなどのメモリーカードがあったが、メモリースティックは、用途をより広範囲に想定した仕様としていた。発売は、1998年9月からで、1998年9月に『MSA-4A』(4MB) と『MSA-8A』(8MB)を発売、1999年4月には『MSA-16A』(16MB)を発売、同年9月に『MSA-32A』(32MB)、11月に『MSA-64A』(64MB)と相次いで発売、記録容量をアップし、4MBから64MBまでのラインアップを揃えている。
また、メモリースティック対応機器として、デジタルビデオカメラ『DCR-PC3』『DCR-TRV10』『DCR-PC100』『DCR-TRV900』、デジタルスチルカメラ『DSC-F505K』『DSC-F55K』『DSC-D700』『DSC-D770』などを発売している。このほかの商品には、デジタルフォトプリンター『DPP-MS300』、デジタルフォトフレーム『PHD-A55』、メディアコンバーター『DVMC-MS1』、パーソナルコンピューター『バイオZ505シリーズ』『バイオLシリーズ』があり、さらには、エンタテインメントロボットAIBO『ERS-110』を発売している。

1999年12月メモリースティックウォークマン『NW-MS7』を発売
そしてメモリースティックを記録媒体としたウォークマン『NW-MS7』を1999年12月から発売した。著作権対応の「マジックゲート(MG)メモリースティック」を記憶媒体に採用。携帯性に優れ、振動に強いポータブルタイプのデジタルオーディオプレーヤーであった。急速に普及が予想されるインターネットを利用した音楽配信サービスEMD(Electronic Music Distribution)から、好みの音楽などを「MGメモリースティック」に記録できるのが特徴で、価格は45,000円だった。「MGメモリースティック」を採用したことにより、幅約37mm、高さ約96.3mm、奥行き約19.2mm、本体質量約65g(内蔵電池含む)と胸ポケットにそのまま収まるコンパクトサイズを実現。これまで発売してきた、カセットテープ、CD、MDの"ウォークマン"に加え、この"メモリースティックウォークマン"を発売することにより、デジタル・ネットワーク時代に向けての新しい音楽の楽しみ方の提案が可能となった。

 メモリースティックウォークマン『NW-MS7』
 https://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/199909/99-0922B/

デジタル・ネットワーク時代を迎え世界中で著作権問題が
一方、デジタルオーディオプレーヤーの普及はレコード会社にとっては、音源である音楽CDの売上減となりかねない大問題だ。デジタルオーディオプレーヤーを発売するメーカーの中には、レコード会社を系列に持つところも多い。こうしたことで、デジタルオーディオ時代、デジタル・ネットワーク時代の大きな課題として著作権問題が世界中で起きてくることになる。ソニーもレコード会社を傘下に持っており、デジタルオーディオプレーヤーであるメモリースティックウォークマン『NW-MS7』を発売するに当たっては、著作権保護技術「Magic Gate」を採用し、著作権者の権利を保護している。パソコンとのコンテンツのやりとりは、著作権保護技術「Open MG」を採用。付属の「Open MG」対応アプリケーションソフトを使用することにより、EMDから好みの音楽をパソコン内のHDDを介して「MGメモリースティック」に記録できるようにしている。このほか、CDのコンテンツも「MGメモリースティック」に記録することもできた。

「ATRAC3」を採用、64MBの「MGメモリースティック」に標準モードで約80分録音可能
EMDやCDのコンテンツをパソコン内HDDへ記録する際には、音声圧縮技術「ATRAC3」を採用している。HDDに圧縮・記録されたデータは、本体(アダプター)とパソコンをUSBケーブルで接続し「MGメモリースティック」に転送し、記録する。付属の64MBの「MGメモリースティック」には「ATRAC3」標準モードで約80分の録音が可能だった。本体には"3行フルドットLCD"を搭載しており、漢字タイトルも表示可能で、パソコン上で入力した曲名などを表示することができた。また、「MGメモリースティック」は簡単に着脱でき、使い勝手にも優れていた。


参考資料:JAS journal(日本オーディオ協会編)、ソニーHP、ソニー歴史資料館、パナソニックHP、JEITA・HP、ほか


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