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No.141 電蓄からデジタルオーディオまで 第43回

携帯型MP3プレーヤーが著作権保護問題の火種に
アメリカレコード協会がデジタルオーディオの著作権保護規格策定団体(SDMI)を設立しなければならなかった最大の理由は、デジタル音声圧縮MP3を使って、CDなどの音楽媒体からパソコンのHDDや携帯型MP3プレーヤー、CD-Rなどに音質劣化無く簡単にコピーできるためだった。本来、MP3はCDに約1時間の動画を記録できるビデオ圧縮規格MPEG-1の音声部分を圧縮するための規格MPEG-1 Audio Layer-3(MP3)だった。このMPEG-1は画質的には高精細とは行かなかったが、ビデオCDなどに利用され、ビデオCDカラオケなどで使われた。

このビデオCDは、より高画質なDVDの登場もあり、期待されたほど普及しなかったが、MP3の方は通信による音楽配信をはじめ様々な用途に活用された。また、MP3のサンプリング周波数は、32kHz、44.1kHz、48kHzの3つがあり、CDと同じ44.1kHzが含まれていた。

メモリースティックやSDメモリーカードは著作権保護技術を採用
著作権問題を解決しないままMP3プレーヤーやパソコンのHDDにCDをコピーする音楽ファンが急増したため、著作権者と機器メーカーの間で問題となっていた。このため、メモリースティックやSDメモリーカードを録音媒体とするデジタルオーディオプレーヤーの発売にあたっては著作権問題が発生しないように著作権保護技術「Magic Gate」や「Open MG」、「SD-Audio」などが採用された。

デファクトスタンダードを目指してファミリー作りに力
また、メモリースティックとSDメモリーカードの生き残りをかけたデファクトスタンダード争いにおいては、それぞれファミリー作りに力を入れて行く必要があった。先行したソニーは、メモリースティックに関して1999年9月に、アイワ、ケンウッド、 三洋電機、シャープ、パイオニアのハードウェア5社と、メディア関連の富士通を加えた6社とライセンス契約を結んだ。さらに、同年11月にはメモリースティック・ファミリーライセンス契約合意企業は25社(ハードウェア24社、メディア1社)まで拡大している。その後も、2000年2月に19社が契約し、契約会社は日本国内ばかりでなく欧米の企業も含まれ、業種もオーディオだけでなく、エレクトロニクス、コンピューター、通信、自動車まで幅広い業種が加わった。

2003年、メモリースティックのメディア、対応製品の累計出荷数5000万枚/5000万台に
2003年10月のソニー発表では、メモリースティック発売から5年目でメディアおよび対応製品の累計出荷数は5000万枚/5000万台に達した。そして、同年10月に千葉県・幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2003」会場において、「メモリースティックパビリオン」が設けられた。そこでは、動画コンテンツを携帯できる新しいアプリケーションである「モバイルムービー」に対応した製品をはじめ様々な製品を展示し、着実に市場が拡大していることをアピールした。さらに、「メモリースティックパビリオン」には、国内外から45社の賛同企業各社が共同出展するなど順調な拡大振りをアピールした。

2003年9月時点でメモリースティック賛同企業数は480社を超えており、各社から多様な製品が発売されている。また、KDDI、沖縄セルラー電話などが「モバイルムービー」対応の携帯電話の導入を発表、携帯電話への「モバイルムービー」の展開が始まった。

1,000社の会員企業がSDアソシエーションに加入
一方、SDメモリーカードにおいては、前回の連載で簡単に触れているが、2000年1月にパナソニック、東芝、サンディスクの3社がSDアソシエーションを設立。最初に加入したのは14社だったが、その後、加入企業が増え、2017年までに約1,000社の会員企業がSD規格の設計と開発を行っている。メンバー企業には、「ボードメンバー」、「エグゼクティブメンバー」、「ゼネラルメンバー」の3種類がある。加入企業の業種は、デジタルカメラメーカー、家電メーカー、携帯電話・スマートフォンメーカー、自動車メーカー、コンピューターメーカーなど幅広い業種の企業が加入している。設立会社であるパナソニックや東芝などは当然「ボードメンバー」13社の中に入っている。だが、その中にはライバルだった、ソニーも「ボードメンバー」入っておりSDメモリーカードが事実上、デファクトスタンダードとなったと言えるだろう。

デファクトスタンダード争いでメモリースティックが負けた要因は?
初め華々しく登場したメモリースティックだが、なぜ後発のSDメモリーカードにデファクトスタンダード争いで負けてしまったのか。メモリースティックの機能や設計思想などが評価され、多くの企業がファミリーに加わり、そのころ市場に普及していたコンパクトフラッシュからシェアを奪う勢いだったのに、である。それは、まず後発のSDメモリーカードとの競争において物理的サイズで不利だったことが大きい。2000年1月にSDアソシエーションを設立した当時からSDメモリーカードの物理的サイズは、幅24×長さ32×厚さ2.1mmと小型・薄型で、メモリースティックの幅21.5×長さ50×厚さ2.8mmと比べ有利だった。その後も、両者の小型・薄型化や、大容量化、データ転送スピードの高速化などの競争が続いた。ソニーも小型・薄型化では2000年4月にメモリースティックDuoを発表、サイズは幅20×長さ31×厚さ1.6mmでSDメモリーカードを上回る小型・薄型だった。

この後も、両者の小型・薄型化競争は激しく、2003年3月にSDメモリーカードは、より小型のminiSDカード(幅20×長さ21.5×厚さ1.4mm)を発表した。さらに、2005年7月には、もっと小さいmicroSD(幅11×長さ15×厚さ1.0mm)を発表して小型・薄型化競争をリードした。ソニーも同じく2005年9月に、幅12.5×長さ15×厚さ1.2mmと小型・薄型のメモリースティックmicroを発表し、両者相譲らぬ激戦となって行った。しかし、実はもっと決定的な要因は別にあった。

  SDメモリーカード miniSDカード microSDカード
24mm 20mm 11mm
長さ 32mm 21.5mm 15mm
厚さ 2.1mm 1.4mm 1.0mm

  メモリースティック メモリースティックDuo メモリースティックmicro
21.5mm 20mm 12.5mm
長さ 50mm 31mm 15mm
厚さ 2.8mm 1.6mm 1.2mm


参考資料:JAS journal(日本オーディオ協会編)、日本ビクターの60年史、SOUND CREATOR PIONEER、ソニーHP、ソニー歴史資料館、パナソニックHP、JEITA・HPほか


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