エレクトロニクス工作室


前の記事  | 

No.136 R3500D

1.はじめに
R3500Dは中国製3.5MHzのARDF用受信機キットです。ARDF用の受信機は日本製が無く、この写真1の中国製キットが主力のようです。私もこのような受信機を自作してみたいと考えていたのですが、どのようなものか解らないと自作もできません。

photo

写真1 このような受信機です。いろいろな色があるようです。

そこでJARL栃木県支部で行われた製作講習会に参加し、その中で作ったものです。このように極めて異例の場所で作ったもので、もちろんJARL栃木県支部の許可を頂いて記事にしています。ありがとうございます。

2.キットについて
この受信機はダイレクトコンバージョン方式です。3.5MHzを発振させて、アンテナから入力した信号とミックスしてAF信号を作ります。そしてトランジスタのアンプとICで増幅し、ヘッドホンを鳴らすという構造です。

3.5MHzのARDF受信機としてはPJ-80が有名のようで、見た目はほとんど同じです。PJ-80の後継機が、R3500Dですのでうなずけます。回路的にはAFアンプのICが違う程度ですが、単3×4本の交換が容易になる等、改良されています。ところが同じR3500Dでも、完成品バージョンにはSMD(表面実装部品)が使われているらしく、訳が解りません。キットバージョンにはアキシャル部品が使われていますので、ハンダ付けに問題はありません。

ネットで検索すると、R3500DもPJ-80も日本語の詳しい説明や図面が出てきますので、参考にする事ができます。入手方法もすぐに解ると思います。

3.作成
部品は写真2のように、袋に小分けされています。中国製のキットなので、図面を使って良いものか解りません。取りあえず控えておきます。取説は中国語のもので私には読めませんが、回路図と実装図がありますので、特に問題なく作れると思います。

photo

写真2 キットを開けたところです。

取りあえず製作講習会ですので、栃木県支部で用意した図面を元に組み立てました。もちろんキット付属の図面でも作成可能です。私はあまり気にならなかったのですが、ダイオード3本の使い分けと方向に苦労されていたようです。

普通のペースで作って2時間程度でハンダ付けは終わりました。もう少しかかるのが一般的かもしれません。LEDはケースに入れる事を考えてハンダ付けしないと、ケースが閉まらなくなります。写真3は基板のハンダ付けが終わったところです。写真4がハンダ面です。バーアンテナとロッドアンテナの取り付けなどには構造を考え、先を読んで組み立てるようにします。

photo

写真3 基板のハンダ付けが終わったところです。

photo

写真4 ハンダ面になります。この後で電池ボックスとアンテナを接続します。

4.調整
信号源を使い、調整を重ねて納得するまで行います。十分な性能が得られたという納得もありますが、これが限界という納得もありますので難しいところです。このキットの場合、後者の「限界」という感じがします。どうもクセがあるというか、怪しい動きもあり、発振気味になる事があります。「単向」ボタンを押した時に怪しさが増えたりします。これは調整で逃げる事ができました。

基本的にはT2で受信周波数を合わせます。外部発振器のSG等を用いて3.5~3.6MHzをカバーするようにします。次にバーアンテナとパラのトリマーCTと、RFアンプのT1を調整し感度最大点とします。

理想的にはバーアンテナを使った時には8の字特性となり、「単向」ボタンを押すと垂直のホイップアンテナ特性と組み合わせとなり、図1のようなカージオイド特性になるはずです。ところが私もずい分と試しましたが、カージオイド特性をきれいに出すのは難しいようです。たぶん、バーアンテナで最高感度に調整し、「単向」ボタンを押した時にヌル点が出るようにホイップアンテナの長さを調製すれば良いはずですが、全く見つかりませんでした。図1における緑の円の大きさを調整して、青の8の字にレベルを合わせるというイメージです。内部の抵抗R1も調整するのでしょうけど、長さの調整で見つからないものは無理でしょう。試しにバーアンテナの同調を少しずらしてみると、「単向」らしき特性の出るポイントがありました。但し、広いフィールドで試したわけではありません。全て兼ね合いなのでしょうけど、これで良いのかは不明です。高周波的には正しい調整とは思えません。

photo

図1 エクセルで計算してみた、カージオイド特性です。
青のダイポールに緑のホイップを組み合わせると、赤のカージオイド特性になります。
ピーク点は鋭くありませんので、ヌル点を探すのが得策と解ります。

あるHPには、このカージオイド特性は出ないので使わずに、8の字特性を使うとありました。これはPJ-80についてですが、R3500Dも同じでしょう。しかし、これが出なければ何とも面白くありません。もう少し苦労する必要がありそうです。

なお、「単向」というのはケースに写真5のように表示されているもので、日本語ではありません。何と表現すれば良いのか解りませんが、なんとなくピッタリします。なお、マイクロスイッチの使い方の問題と思いますが、今一つ接触が良くないようです。

photo

写真5 赤いスイッチに「単向」と表示されています。

実際に使われた方はすぐに気がつかれると思いますが、同調をとろうとするとサーというノイズが出ます。良くある可変抵抗のガリとは異なるようですが、あまり心地良いものではありません。また、イヤホンジャックにプラグを入れると電源が入るようになっています。便利なようですが、うっかりヘッドホンをしながらプラグの抜き差しをすると、結構な音量のノイズを耳に受けます。取り扱い注意です。

5.終わりに
中国製キットというと、昔は雑な基板をイメージしていました。そのような事もなく、基板もケース等の加工も問題無いようです。自分で同じような受信機を作ってみて良く解りましたが、完璧ではないとしても、良く出来たキットです。何しろ日本で部品を集めると、残念ながらまず不可能な価格でしょう。

JARL栃木県支部の協力もあり、このような講習会に参加させて頂きました。ありがたく思います。ARDFの世界には、まだまだ自作や工夫の余地が沢山あるように思えます。逆に自作をする人は、ほとんどARDFには目が向いていません。私が自分で走り回るようなつもりもありませんが、多少なりとも技術的な支援ができれば良いと思います。


前の記事  | 
←記事一覧