スーパーハイビジョンからロボット掃除機まで広がるイメージセンサー需要

イメージセンサーの高画素化、高感度化、低消費電力化、高機能化が進むとともに小型化、ローコスト化においても急速に進歩してきた。これによって、用途に見合ったイメージセンサーを使ったデジタルカメラやビデオカメラが開発可能となってきており、これまでの人物や風景の撮影からロボット掃除機、エアコンなど家電品から自動車、通信、防災、医療、美容、教育、工場など様々な分野で使われるようになってきた。まさに、これまでも、これからも日本のエレクトロニクスを支えていくキーデバイスといえる。

テレビと密接な繋がりを持っているイメージセンサー

ビデオカメラやデジタルカメラは、撮影した映像を映し出すテレビと密接な繋がりを持っている。ハイビジョンテレビが家庭に普及すると、ビデオカメラやデジタルカメラもそれに見合ったハイビジョン画質での撮影が必要となり、ハイビジョン対応のビデオカメラやデジタルカメラが普及していった。そして、ハイビジョンの次に普及しつつあるのが4Kテレビだ。ハイビジョン(HD)は、1280×720の921,600画素の解像度を持ち、フルハイビジョン(フルHD)は2Kとも言われ1920×1080の2,073,600画素の解像度となる。そして4KのウルトラHDは、3840×2160の8,294,400画素。さらに、その上位の8KウルトラHD(スーパーハイビジョン)では、7680×4320の33,177,600画素となる。

イメージセンサーの方も、テレビの画素数に見合ったものが必要になるが、4K対応テレビが普及し始めるのは2014年となりそうだ。テレビの普及はテレビ放送と密接な関係にあることは、カラーテレビの普及の時やハイビジョンテレビの普及期においても証明されている。4Kテレビの普及においても同じことが言えるが、実は4Kテレビ放送は、2014年6月に開催されるサッカーのワールドカップブラジル大会で試験放送が行われるが、本放送はもっと先になる。それでも2014年が4K対応テレビ普及の年と言うのは、テレビの買い替えサイクルは8〜10年で、数年先の本放送開始を見越して4K対応テレビへの買い替えが進むと見られることがある。

2014年以降普及に拍車がかかる4K対応テレビ

家電量販店では、40インチ以上の大画面テレビにおいて4K対応テレビの販売構成比を高める施策を打ち出している。また、テレビメーカー各社もワールドカップブラジル大会を前に一斉に4K対応テレビの新製品を発売、ラインアップを充実させた。JEITA(電子技術産業協会)の予測では、2018年度には薄型テレビの6割以上が4K対応テレビになると予想している。パナソニックは"ビエラ AX800"シリーズの65V型、58V型、50V型など5機種を発売。東芝は「レグザZ9Xシリーズ」など2シリーズ5モデルを発売。ソニーは、"ブラビア"の49V型から85V型までの3シリーズ8機種を発売した。また、シャープは、業界で初めて4K試験放送を受信できる「AQUOS4Kレコーダー」TU-UD1000と組み合わせることで、臨場感あふれる映像を視聴できる4K対応液晶テレビ「AQUOS」UDシリーズ3機種を発売した。

2018年頃には本格的な4Kテレビ時代に突入

米国をはじめ海外でも4K対応テレビへと市場は動きつつある。2014年春の米国ラスベガスで開催されたCESでは、日本、韓国、中国のテレビメーカー各社は4K対応テレビ中心の展示となった。米国での4K対応テレビの販売台数を米家電協会では、2013年の6万台から2014年は50万台に急上昇すると予測していることもあり、価格の低下しだいでは2018年頃には本格的な4Kテレビ時代に突入するとみられからである。

ソニー、パナソニックなどが4Kテレビ対応カメラを発売

ワールドカップブラジル大会では、ソニーの4Kテレビカメラなどの放送機材が使用されるが、一般向けのテレビカメラやデジタルカメラでも4K対応が進みそうだ。ソニーは、初の民生用4Kカムコーダー"ハンディカム"「FDR-AX1」を2013年11月に発売した。新開発の有効約830万画素裏面照射型CMOSイメージセンサーExmor Rと独自の高性能Gレンズを搭載し、4K、1/60p撮影が可能。CMOSイメージセンサーから送られる4Kの大容量データを、業務用4Kカムコーダーと同じ高性能イメージプロセッサーによって、毎秒60フレームでリアルタイムに高速演算処理し、スポーツなど動きの速いシーンでも臨場感を損なうことなく、滑らかで高精細かつ高画質な映像を記録できる。また、2014年には、「FDR-AX1」の4分の1に小型化し、有効1420画素のイメージセンサーを搭載し、緻密な4K映像を撮影できる「FDR-AX100」を発売した。

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ソニーの4Kカムコーダー"ハンディカム"「FDR-AX100」

また、パナソニックは、世界初の4K動画撮影が可能なミラーレス一眼カメラを、2014年2月にパシフィコ横浜で開催された「CP+(シーピープラス)2014」に出展した。そして、「LUMIX GH4」の機種名でグローバル市場に展開している。この4K動画撮影が可能なミラーレス一眼カメラ「LUMIX GH4」は、新開発のイメージセンサーと新画像処理ヴィーナスエンジンにより、感度・解像・階調・色再現を向上させ、質感描写を追求した高品位な写真画質を実現。また、レンズのぼけ度合い(デフォーカス特性)を使って瞬時に距離を検出する、独自の空間認識技術「DFD(Depth From Defocus)テクノロジー」を業界で初めて搭載し、スピードと精度の両面でオートフォーカス機能を向上している。さらに、SDIやXLRの入出力端子を備えた業務用インターフェースユニットとの組み合わせにより、映像製作分野における多様なニーズにも対応することができる。

医療機器用ではより小型のイメージセンサー開発に拍車

4Kテレビ、8Kテレビ時代に向けて、イメージセンサーも大型化、高画素化が進むとともに、一方では医療機器用でより小型のイメージセンサーが開発されるだろう。飲み込んで胃や腸の中を撮影するカメラ、さらに、小型のものでは血管の中を撮影するカメラなどに使われる超小型のマイクロイメージセンサーの開発も進むはずだ。そして、そう遠くない未来では目の不自由な人が目の代わりに見る事ができる、夢のようなバイオイメージセンサーが開発されることを期待してイメージセンサーのまとめとしたい。

参考資料:、ソニーHP、ソニー歴史資料館、パナソニックHP、JEITA・HP、東芝HP、シャープHP、キヤノンHP、電波新聞他