今後も世界規模で市場拡大が予測されるデジタルカメラ

ミラーレス機の登場によってデジタルカメラ市場は活性化してきたが、今後どのような動きを見せるのだろうか。カメラ映像機器工業会では、2013 年(1〜12 月累計)のデジタルカメラ総出荷の予想を発表しているが、予想出荷台数は8700万台、前年比 88.7%と見ている。前年を大きく下回る予想だが、これは構成比の高い「レンズ一体型デジタルカメラ」(コンパクトデジタルカメラ)が6430万台と前年比 82.4%に落ち込むと予想しているためである。逆に「レンズ交換式デジタルカメラ」は2270万台、同112.4%とさらに伸びると見ている。その「レンズ交換式デジタルカメラ」だが、「日本向け」が200万台、前年比 111.1%、「日本向け以外」でも 270万台、113.1%と見ており、今後も世界規模でさらに市場は拡大すると予測している。

交換レンズが世界規模で需要拡大

また、「レンズ交換式デジタルカメラ」はミラーレス機の登場によって幅広いユーザー層に普及し、マニア層が楽しんでいたレンズ交換による撮影の楽しさを一般ユーザー層に拡大した。そして、その結果「交換レンズ」の需要も拡大しており、2013年で3420万本、前年比 112.5%へと伸張すると予想している。地域別では「日本向け」350万本、109.4%、「日本向け以外」370万本、112.9%と世界規模で需要が拡大すると予測している。

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撮影目的に応じて交換レンズを選ぶことで撮影の楽しさが広がった

ハード面だけでなく規格標準化が業界発展に貢献

デジタルカメラ、交換レンズなどハード面で強みを発揮して世界に冠たるデジタルカメラ王国となった日本。だが、カメラ業界、エレクトロニクス業界が現在の地位を築けた要因はそれだけではない。その陰には、銀塩フィルムカメラ時代から、今日のデジタルカメラ時代まで延々と努力してきた規格標準化がある。2002年7月に現在のカメラ映像機器工業会(CIPA)が設立されたが、その前身である日本写真工業会(JCIA)時代から様々なカメラの規格が制定されてきた。カメラに限らず、どんなエレクトロニクス製品や工業製品においても、製品によって規格がまちまちでは互換性がとれず、ユーザーにとっては使いづらいものになってしまう。

フィルムカメラ時代から規格標準化に力

カメラの場合では、例えば三脚取付部用ゲージやフラッシュの取付ソケットなどが標準化されてなければ、ユーザーにとっては非常に不便となる。現在では、JCIA時代から引き継がれた規格として、カメラのフラッシュ発光機構ソケット、カメラの三脚取付部用ゲージ、カメラのレリーズ用ゲージ、精密機器用ねじ十字穴(0番)、精密機器用十字ねじ回しビット(0番ビット)、精密機器用十字穴付き小ねじ(0番ねじ)、カメラのリチウム電池交換表示方法、カメラの記号Eによる操作表示方法、カメラのグラフィカルシンボル、カメラの質量及び寸法の表示方法、防水カメラの種類と表示、写真機等に使用するメートル細目系ねじの12の規格がある。

デジタルカメラ時代となっても規格標準化に努力

さらに、2007年7月に設立されたカメラ映像機器工業会(CIPA)になってからの規格として、電池寿命測定方法、デジタルカメラの解像度測定方法、デジタルカメラの感度規定、"Picture Transfer Protocol" over TCP/IP networks、デジタルスチルカメラ用ステレオ静止画像フォーマット、マルチピクチャフォーマット、デジタルスチルカメラ用画像ファイルフォーマット規格Exif 2.3、カメラファイルシステム規格DCF2.0(2010年版)、Exif 2.3 metadata for XMP、デジタルカメラの手ぶれ補正効果に関する測定方法および表記方法(光学式)などが規格化されている。

日本が国際標準規格化で世界をリード

重要なのは、国内の規格だけにとどまらず、国際標準規格として全世界共通の規格とならなければならない。カメラは世界中に輸出されており、どの国、地域にカメラを持っていっても何の支障も無く使うことが出来る必要がある。さらに、デジタルカメラが主流となり、インターネットが普及するとともに通信で映像データをやり取りする必要が出てきた。このため、カメラ映像機器工業会(CIPA)では、国際標準化機構(ISO)や国際電気標準会議(IEC)などの国際標準化団体に国際標準化の提案活動を行っている。国内業界で制定した標準を国際標準化することは、国内業界の競争力の強化にもつながり、日本のデジタルカメラ産業発展の原動力にもなる。

日本が提案してISO標準となったISO標準画像規格「Exif/DCF」

例えば、日本が提案してISO標準となった画像の規格「Exif/DCF」は、ほとんどのカメラメーカーが採用している。画像の規格が統一されたことによってユーザーは、安心して画像データのやり取りが可能となった。カメラ以外でも工業製品の規格を国際標準化することは、世界市場での競争力強化につながるわけでHDテレビ放送、地上デジタル放送、電気自動車の充電プラグなどにおいても放送方式や規格統一の綱引きが行われてきた。日本政府も国際標準化の提案で世界をリードしていくことの重要性を認識しはじめ、国策として推進し始めた。カメラ映像機器工業会(CIPA)では、国際的な写真関係の標準化の推進のために、米国の写真関係の工業会I3A (International Imaging Industry Association)とも協力するなど先導役として活躍している。

参考資料:カメラ映像機器工業会(CIPA)HP、コニカミノルタホールディングスHP、キヤノンHP、ニコンHP、エプソンHP、富士フイルムHP、カシオ計算機HP、ソニーHP、ソニー歴史資料館、東芝HP、パナソニックHP、シャープHP、JEITA・HP、他