JA3ART 海老原 和夫氏
No.69 V63JJ(5)
[運用]
過去に京都クラブで行ったサイパン(KH0)やマーシャル諸島(V73)からの海外運用では、QRVスケジュール表に従って1〜2時間単位でオペレーターを交代し、QSO数をグラフにして掲示を行っていた。しかし、今回はその様な堅苦しいことは行わず、適当に空いたリグで、オペレーターが運用したいバンドモードを自由に選んで運用することにした。
その結果、各オペレーターは、自分の好きなバンドやモードを優先して運用するため、各バンドや各モードの主力オペレーターが自然に決まっていった。まずV60TX山本さんは夜間の7MHzと10MHzのCWを主に運用、V60TI岩本さんは皆が寝て居る間に徹夜で運用。V60DU野原さんとV60KL川村さんは日中にオープンしているバンドでSSBを主体に運用。V60IL杉浦さんは、チャレンジ精神旺盛で、V6からおそらく初めての運用となったPSK31モードを運用し、14MHzで31局、21MHzで2局の合計で33局とQSOした。最後にV63JJ海老原さんは、1.8MHzや3.5MHzのローバンドのCWをメインに運用した。
V63JJで運用中の海老原さん。
[1.8MHz]
海老原さんの最初のQSO相手は、18MHzCWで、同じ京都クラブのメンバーであるJI3DLI藤原さんであった。その後、海老原さんは陽が落ちるとさっそく1.8MHzの運用を始め、1818kHzでCQを出したところ、誰かからコールされているのは分かったが、ノイズレベルが高くてコールサインが確認できないでいた。しばらくそのままCQを出し続けていると、今回参加表明しながら、所用でキャンセルとなって京都にいるJH3QNHさんから国際電話が入った。
山下さんが言うには、V63JJの電波は京都でもよく聞こえており、たくさんの局がコールしているとのことだった。この時海老原さんは、一旦は梱包しながら荷物の関係で諦めた、性能上位の固定機IC-756を持ってこなかったことを悔んだが、気を取り直して再度CQを出したところ、ノイズがピタッと止んで、JA7AO松本さんの信号が599で聞こえ、これが1.8MHzでのファーストコンタクトになった。7月30日0756UTCのことだった。最終的に1.8MHzを運用したのは海老原さんだけで、合計109QSOの結果を残した。
[河瀬さん夫妻が到着]
滞在第2日目の7月31日、ほぼ同じ日程でポンペイに滞在する予定だったJH8BKL、JF8IYR河瀬さん夫妻が到着し、海老原さんらは朝食を一緒に摂った。今回の京都クラブのV6からの運用は、河瀬さんの多大なる協力で実現したものなので、メンバー全員から改めてお礼を伝えた。河瀬さん夫妻は、毎年このポンペイを訪れており、現地人女性と結婚してダイビングショップを経営しているケニー大村さんや、サウスパークホテルのマネージャー菅沼さん、ヨシエエンタープライズという商社の経営者らとも懇意にしているとのことだった。
ヨシエエンタープライズのビルに常設されているアンテナ。
[ログサーチが稼働]
海老原さんらは、出発前に専用ホームページを立ち上げ、オンラインログサーチのページも作っていたが、これを実稼働させるにはサーバーにQSOデータを送らないといけない。これには、ログサーチの立ち上げを担当した杉浦さんと野原さん2人が、他のメンバーの分も合わせてQSOを整理し、直接京都クラブのサーバーにアクセスして、ログをアップロードした。
アップロード前のログデータ整理中。
このログのアップロードは、無線LANで行ったが、まず接続環境が悪く、パソコンを窓際、あるいは蚊の多いバルコニーに持ち出す必要があった。そのため蚊取り線香を焚きながらの作業となり大変だった。また接続速度が遅く、途中でディスコネクトになることもあった。さらにプリペイドカードでの課金制である接続料金が高かったため、ログデータの送信は1日1回のみとした。
[レンタカー]
滞在2日目からはPCRレンタカーという日本人が経営するレンタカー会社で、ダイハツの「パイザー」という1600ccクラスの車を、帰国日の飛行機搭乗直前までレンタルした。ツートンカラーで冷房もよく効いた小ぎれいな車両で、1日50米ドル程度で借りることができた。この車は右ハンドルなので違和感はなかったが、ミクロネシアの通行レーンは日本とは反対の右側通行のため、運転には注意する必要があった。
ミクロネシア連邦は右側通行。
海老原さんは米国やカナダ、パラオなどの右側通行の国で何度も運転の経験をしていたため、運転をはじめて30分も経過したら何も問題なく運転することができた。せっかくレンタカーを借りたので、無線の合間に適当に島内観光に出かけ、この日は日本にいる時から杉浦さんがメールでやり取りを行った、ポンペイ政府の観光局にJICAから派遣されている飯島さんという女性スタッフを訪ねたが、残念ながらその時は不在だった。
レンタカーに乗る海老原さん。
帰路にはパームテラスというスーパーマーケットに立ち寄り、ホテルの部屋で夜食などを作る際の食材や調味料、カップ麺、ボールペン、ノートなどを購入した。このスーパーはホテルから車で5〜10分程度の距離のため、海老原さんらはその後何度も利用し重宝したという。ただし、食材については賞味期限が切れているものまで陳列されており、マヨネーズを買ってきた杉浦さんが、「アレッ、変な色をしているわ」と言って、パッケージをよく見たところ、賞味期限がなんと1年も過ぎていたのであった。