[無線以外の趣味]

永井さんは、アマチュア無線以外の趣味について、「ゴルフはリタイアと同時に止めましたので、今は家庭菜園での野菜作りくらいですね」と話す。自宅の庭で、キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、カボチャなどを栽培している。その他、今年初めて、スイカに挑戦し、夏場の収穫を楽しみにしている。「旅行は、以前は時々行きましたが、今は父親のことが心配で、泊まりではどこにも行けません」と話す。前述のように、神戸の実家で103歳になる父親が1人暮らしをしているからである。

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玉ねぎを収穫してご満悦の永井さん。

[ハンガリー旅行]

1989年、永井さんは夫婦でヨーロッパ旅行に出かけた。当時はベルリンの壁の崩壊直前で、すでに東ドイツが政情不安定になっており、多くの東ドイツの国民が、ハンガリーを経由してオーストリアに亡命しているような時代であった。ハンガリーではすでに共産党が政権を失って半年ぐらい経過していた。永井さんは、オーストリアのウイーンからハンガリーに入国し、ブタペストに日帰りで旅行に出かけた。当時は、オーストリア-ハンガリーの国境では自動小銃をもった兵隊が警備しており、入国するレーンも1個しか開けていなかった。

1991年、永井さんは夫婦でオーストリア、ハンガリー、スロバキア、チェコ、ドイツを回ったが、オーストリア-ハンガリーの国境を再度越えたときには、入国レーンは8レーンになっており、兵隊が入国管理官に変わっていた。観光を見据えて道路も良くなっていたし、女性はスカートはいているなど「あまりの変化に驚きました」と話す。

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永井さん夫婦。ハンガリーのレストランにて。

[北欧旅行]

翌1992年、永井さんは夫婦で北欧旅行に出かけた。まずはエリツィン時代のロシアに入り、モスクワからサンクトペテルブルクに移動した。そこからは観光バスでフィンランドのヘルシンキに移動したが、サンクトペテルブルクを朝10時に出発して、午後3時半頃にはもうヘルシンキに到着してしまった。想像していたより近くて驚いたという。

ヘルシンキで1泊後、夕方に船に乗りスウェーデンのストックホルムに渡航した。さらにストックホルムで1泊後は、ノルウェーのオスロに飛行機で移動する予定であったが、オスロ空港の職員がストライキを起こし、飛行機が飛ばず、やむなくバスで国境を越え、オスロに向かった。この時もストックホルムを朝9時頃出発し、午後4時頃にはもうオスロに着いた。夏場の北欧は夜が短く、午後10時頃にならないと暗くならないため、十分に観光が行えた。「フランスやチェコは治安が良くないが、ロシアや北欧は比較的治安がよいので、機会があれば、また行ってみたいです」と話す。

仕事では、ヨーロッパ各国の他に、オーストラリア、それに米国に出張した。米国には2週間行った。ワシントンの治安は良かったが、行った時期が悪く高温多湿で、外を歩くと汗びっしょりになったという。その他、ロサンジェルスや、サンフランシスコにも行ったが、治安が悪くて、夜はホテルから外出するなと言われた。「2週間、英語しか使えず苦労しました」と永井さんは笑って話す。

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サンフランシスコの金門橋にて。真ん中が永井さん。

[現在の無線活動]

永井さんの現在の無線活動は、海外局との交信、DXハンティングがメインとなっている。まずは毎朝シャックに入り、コンディションのチェックを行う。そして、冬場のコンディションの良い日は3.8MHzと7MHzのローバンドを運用している。特に5バンドDXCC完成に向けての追い込みで、3.8MHzを重点的にワッチしている。

3.8MHzのアクティビティの低い日は7MHzを運用している。7MHzでも「どこか新しいところができたらいいな」、と思っていつもワッチしているという。日が昇るとハイバンドにシフトし、アンテナを北米方向に回して14MHzや18MHzで、カリブ海の局などを捜している。一方、コンディションの悪い日は、DXクラスターだけチェックしたら、さっさと引き上げてしまうという。

夜は、テレビでの野球観戦を最優先にしており、野球放送が終わってから運用を開始している。ローバンドでの北米方面、ハイバンドでの欧州へ方面を狙ってワッチしている。コンディションが良ければ自局からCQを出す。なお、日中は、時々国内QSOも行っており、話が弾めば、1時間以上にわたってラグチューを行うことも珍しくない。最近では、野菜作りで話が弾むことも時々あり、先達から色々と教えてもらって、自宅庭での家庭菜園に活かしているという。

かつては、ほとんど移動運用を行わなかった永井さんであるが、最近では、小型機IC-706MK2GMを入手し、ドライブがてら道の駅や、見晴らしの良い駐車場などから運用することもある。それでも多くと交信するのが目的ではないので、本格的移動局のような長時間運用は行っていない。

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永井さんの「EYサフィックス」コレクション。

[雷と風]

土地柄、永井さんは常々天気を気にしており、インターネットとテレビからの情報に注視している。特に注意しているのは雷で、雷注意報が出ている日は、エレベーターでアンテナを下ろし、避雷防止のために同軸も切り離してしまうため、ワッチもしない。雷の他には強風にも注意をしている。一旦風が強くなってしまってからでは、アンテナを下ろしている途中でレールが脱線する危険があるので下ろせない。そのためいつも早め早めに対応している。

同じ町内に在住するJA3GD菅谷さんは、クランクアップタワーを使用しているが、「このあたりは風が強いことが多いので、菅谷さんは運用するとき以外、いつもクランクダウンしていますよ」と永井さんは話す。