1.はじめに

昨年の4月頃に、JA9TTT加藤さんのブログにXR2206を使ったファンクションジェネレータ(以下FG)の紹介がありました。そういえば、SGは何台か作ったものの、FGはMAX038もICL8038も作った事が無いなと思い、作ってみる事にしました。

また、このICはAM変調をかける事が可能ですので、これも一度試してみたいと思っていました。このようにして作った写真1のようなFGです。簡単に作ってしまえと、基板ごと秋月電子のキットを使っています。

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写真1. このようなファンクションジェネレータ(FG)です。

2.このキットについて

写真2のようなキットです。FGとしてはもちろん、XR2206の機能をフルに使えるように、端子や機能を選択するジャンパーピンが出ています。逆に言えば解りにくい図面になっていますが、実験してみると使い方が見えてきます。

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写真2. キットの内部になります。

このICの全ての機能を使うのも大変かと思えます。とりあえずはFGとしてまとめてみる事としました。図1のような回路になりました。ケースを外から見るとFGですが、フタを開ければAMの実験もできるという考えです。

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図1. 全回路図になります。

3.作成

写真3が基板です。それほど部品も多くありませんので、すぐにハンダ付けは完了します。写真4がハンダ付けの終わったところです。

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写真3. 組み立て前の基板です。

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写真4. 部品を取り付け終わった状態の基板です。

ケースにはエレキットブランドのKC-71を用いました。148×100×44の写真5のようなケースで、相当に古いものを発掘して使っています。既にエレキットではケースは作っていないようです。もう入手はできませんので、同じ位のケースを探して下さい。これは、ある物は使わないと「もったいない」からですが、記事にすると「不親切」という事になってしまいます。常にその間ですので「不親切」側の場合はお許し下さい。

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写真5. 相当に古いエレキットブランドのケースですが入手は不可能です。

写真では解りませんが、東日本大震災の時に、上からピカール(金属磨き)の缶が直撃しました。ほんの僅かですが、凹みができてしまいました。写真6が穴アケをしたところです。

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写真6. 穴あけをした状態です。

ロータリースイッチはキット付属のオマケを使いました。写真7がコンデンサを予めハンダ付けしたところです。ロータリースイッチとツマミの関係は、この時にはピタッとしていました。しかし、これでは柄が長くパネルから飛び出してしまいますので切って短くしたところ、スカスカで簡単に抜け落ちるようになってしまいました。そこで僅かですが、ゴム系の接着剤を入れています。本来どういう使い方をするスイッチなのかと思ってしまいました。

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写真7. ロータリースイッチにコンデンサを予めハンダ付けしておきます。

ロータリースイッチもあるので、パソコンで前面パネルの設計をしようと思い、作ってから気が付きました。ケースは黒いパネルであった・・と。しかし、せっかく作ったので物は試しとアルミ色のプリンタ用紙に印字して貼ってみました。あまり違和感はなさそうです。何しろロータリースイッチの表示は、パソコンを使用しないと上手に表示できません。写真8のような表示になりました。

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写真8. パソコンで作った表示です。実はこの後で失敗に気が付いて、作り直しています。

内部は写真9のように配線を行って完了です。このように基板にピッタリな大きさのケースでした。

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写真9. 完成した内部の様子です。

4.動作確認

出力をオシロスコープで見ると、1kHzの波形は写真10〜12のようになりました。これでFGとしての動作は確認できました。周波数を上げて行くと波形が乱れてしまい、レベルも低下するのですが、カウンタで測ると3MHz程度になっていました。最高周波数の1MHzでは十分使用可能です。

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写真10. 1kHzのサイン波です。

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写真11. 1kHzの三角波です。

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写真12. 1kHzの方形波です。

AM変調のテストは内部のピンを変更し、図2のように外部のAFジェネレータを接続しました。これで写真13のように1MHzを1kHzで変調した波形を得る事ができました。このときのポイントは、DCのバイアスを与える事です。これがないと変に歪むだけで、全く変調波形になりません。ちょっと上下のレベル差があるように見えますが、調整しても変化ありませんでした。この原因は今のところ解りません。

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図2. AM変調の実験時の回路です。

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写真13. 1MHzを1kHzで変調をかけた波形です。上下の違いは不明です。

5.使用感

簡単な回路で作る事ができるFGでした。AM変調もできましたので、何かの応用に使えるかと思っています。実はこれを使って適当なクリスタルと合わせて10.7MHz程度に上げ、フィルターで余分な不要波をカットする事で、AMのジェネレータが作れないかと考えているところです。10.7MHzなら50MHzにアップする事も可能です。でもそこまでしてAMを作るか?、とも思ってしまいますけど・・。ともかく、AMを作る事ができました。