エレクトロニクス工作室
No.95 MP3プレーヤーキット
1.はじめに
aitendo(http://www.aitendo.com/)のHPを見ていると、時々面白いものが出てきます。ただ、キットとはいえ商品のサイクルが非常に短いので、このような記事にした時点での在庫状況や、今後の見通しについては全く予想ができません。しかし、常に同じようなキットを探す事は可能ですので、「参考」にして下さい、という記事になります。
さて、私が通勤で使っているトヨタのスターレットですが、15年も乗っていて相当にクタビレテしまいました。寄る年波に勝てず、カーステレオが壊れました。元々安売りのを買って自分で取付けたものですが、ここまで使えれば十分でしょうし、新しく交換するような状況でもありません。そこで安く作って助手席あたりで鳴らしてカラオケの練習をし、廃車時にはその時に考えよう、として作った写真1の超小型MP3プレーヤーを紹介します。
写真1. バックはキタナイですが、このような超小型ミニコンポです。
2.キットについて
私が購入したのは2012年3月で、「MP3自作フルセット」〔4PMP3C〕2480円です。2012年7月現在でも一応は通販されています。MP3といえば音楽の圧縮形式のmpeg3の事ですが、このソフトに詳しくないと作れないといったものではありませんし、私も全く解りません。
このセットは本体のMP3プレーヤーの他にコントロールパネル、アルミケース、リモコンと揃った、写真2〜5のような4点セットです。これだけでステレオヘッドホンで聞くことができます。車の中で聞くため、別にパソコンで使っていたスピーカをアンプごと利用する事にしました。もちろん、小型のステレオアンプを自作しても良いと思います。
電源は、秋月電子のDC-DCコンバータのユニットで作りました。
写真2. MP3プレーヤーキットです。
写真3. コントロールパネルです。
写真4. アルミケースです。このように綺麗に穴あけ済みです。
写真5. リモコンです。
3.作成
作成といってもあっけないものです。基板は完成済みですし、ケースも完全に穴あけ済みです。ネジ類も全てケースに付属しています。パソコンの自作と同じで、コネクタを差し込むだけとなります。基板は小型ですがケースも小型ですので、余裕は全くありません。写真6のように表示部をアルミのパネルにネジ止めし、ケーブルを本体と接続します。そして、ケーブルを畳んでケースの中に押し込み、ケースのネジ止めをします。写真7はMP3キットが完成したところです。
写真6. このように接続します。ケースには基板ピッタリのレールがありますので、入れるだけです。
写真7. ケースの蓋をネジ止めして電源を入れたところです。
この状態で電源を接続すれば、USBメモリやSDカードに入れたmpeg3をヘッドホンで聞く事ができます。まずはこの状態で、リモコンを含めた動作を確認すると良いでしょう。説明書は付属していませんが、組み立ては簡単なものです。写真8はこのようにしてテストしている様子です。
写真8. USBメモリを入れてヘッドホンでテストをしているところです。
次にスピーカとアンプですが、デスクトップ機に付いていたオマケで、パソコンを更新しているうちに余剰となったものです。本体のリモコンで音量調整ができますので、本来はスピーカのボリュームは不要です。しかし、そこはアナログ人間ですので、しっかり両方使えるようにしました。とっさに操作する場合は、ツマミの方が使いやすいです。元々はUSBから電源を取るようになっていますので、電源は5Vです。
電源には、5Vを出力するDC-DCコンバータを入手して使いました。7805で十分とは思いますが、ここは効率の良いものとし、写真9のように秋月電子のDC-DCコンバータのユニットを使いました。出力は5.5Vに設定し、MP3とアンプを両方動かしています。ハンダ面は写真10のようになっています。タカチのプラスチックケースSW-85の一部をくり抜いて放熱器を外へ出し、写真11のように組み立てました。MP3の説明を読むと電源電圧は6〜14Vなので、車のバッテリー直結で良いのですが、5.5Vで動く事からアンプと一緒にしてしまいました。ちなみに5Vでは動きませんでした。テプラを使って写真12のように表示をすると、少し締まって見えます。
図1. DC-DCコンバータの回路になります。出力は5.5Vに設定しました。 (※クリックすると画像が拡大します。)
図2. 全体の接続になります。 (※クリックすると画像が拡大します。)
写真9. DC-DCコンバータのユニットをジャノメ基板に載せたところです。
写真10. 配線部分はこのようになっています。
写真11. 放熱器がスッポリと出るように穴を開けています。
写真12. テプラで表示しました。
4.取り付け
古い車ですので、しっかりとシガーライターも付いています。「灰皿もライターも要らないから安くして」とセールスマンを困らせた事を思い出します。あの頃は付いているのが「あたり前」の時代でした。今頃になって使う事になるとは夢にも思っていませんでしたが、簡単で安易に済ませるには、ここから電源を取るしかありません。安全のため、ヒューズ付きのシガーライター用プラグを使っています。もちろん、本格的に車内の配線に手を加えても一向に構いません。
スピーカとプレーヤーは両面テープで固定しました。ダッシュボードもスピーカも丸みを帯びていて、かなり不安定です。パソコン用のスピーカとして使っていると全く気にならなかった青色LEDですが、車に取付けると夜間の運転時に目に突き刺さるような感じで、非常に気になりました。これを外すのは大変なので写真13のようにテープを貼って誤魔化しています。MP3プレーヤーも目の前に置くと眩しく感じると思いますが、写真14のように助手席の足元に取付けたので、全く問題にはなりませんでした。普通のカーステレオはライトと連動して暗くなるので問題ありませんが、この場合は無理です。取り付け位置は良く検討して下さい。
写真13. 安全運転のため、気になるものは隠します。
写真14. 本体は助手席の足元に付けました。実はUSBメモリの交換には不便です。
5.使用感
超ミニコンポですが、小気味良く動きます。但し、スピーカがパソコンのオマケの安物ですので、低音も高音も出ません。MP3プレーヤー自体の音質としては、評するような感覚もないので差し控えます。
リモコンまで付いていて多機能なのですが、どのように使うのか取説がなく実は良く解りません。大体は想像で普通には使えるのですが、イコライザを選ぶモードを始め、訳の解らない機能もあります。WEBで見える範囲でしか情報がありませんので、不便なところはありますが、それも面白いと思うしかありません。
なお、このMP3プレーヤーにはUSBメモリとSDカードが使えますので、パソコンで使わなくなったメモリの最後の働き場にピッタリです。128MBとか256MBもあれば十分なくらいに入ります。1GBもあれば嫌になる位に入ります。音楽CDで使われるWAVファイルでも試しましたが、これは再生できませんでした。名前のとおりmpeg3だけしか再生できないようです。パソコンでファイルを変換する必要がありますので、何らかのソフトを探して下さい。